・ い ち ・
サブタイトル変えました。
真奈の恋人視点です。
クラクションが鳴り、続いて急ブレーキの音。何事かと思い後ろを振り向いた瞬間、あまりの事に十数秒、身体が凍ったように動かなくなった。
車に撥ね飛ばされた女がまるでスローモーションのように弧を描きながらゆっくりと、でも地面に叩き付けられた。その女の顔を見た瞬間、頭が真っ白になる。何かを考えようとするも、まるで脳が考える事を放棄したように何も浮かばない。ただただ、壊れた人形のように横たわる女――真奈と視線が交差しただけだ。
「――もしもし?! 聞こえますか?! しっかりしてください!!」
微動だにしなかった俺とは違い、運転していた男が車から慌てて飛び出し必死に真奈に呼びかける。
「――救急車を呼びました。もう直ぐ来ると思います。だから・・・・!!」
横たわる真奈に必死に呼びかける男。そして虚無の瞳を俺に向ける真奈。
俺は・・俺は何をしてる?
血溜まりに横たわる女は自分の恋人なのに、こんなところでいったい俺は――・・・・
どろどろとした思考に囚われながらも無意識に何かを叫び、俺は真奈に向って走り出していた。
短くてすいません。