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アイディンティティー  作者: 蒼月
1/6

・ ぜ ろ ・

見切り発車のシリアスです。

すいません、サブタイトル変えました。

 



  あぁ・・やっぱり・・・・


 ホテルから出てきたばかりの男女を呆然と見つめつつ、頭ではその場を離れるようにと足に指示を出すが、まるで根が生えたみたいに動かない。


 目の前を歩く男が女性の腰を引き寄せ仲睦ましく歩く。――本来ならばそれは自分であるはずだった。だが男性が引き寄せている女性は自分ではない。たとえ自分と同じ顔をしていてもそれはまるっきりの別人。


 ――異母妹(いもうと)の佳奈だ。


 同じ父親のDNAと母親が双子のため、これまた同じDNAを持って産まれて来た。ただし、正式な嫡子は佳奈――所為、私は愛人の子供・・・。  


 それでも彼は『一生懸命なキミが好きだ』と照れながら告白して来た。のに、わずか一週間で彼は佳奈と身体の関係を結んだ。その後も彼らは身体の関係を続けている。そして彼は何もないかのように私を抱く。


 ――大切な宝物のように、真綿に包むように、この上なくやさしい手付きで・・・。



  啄ばむように何度も何度も、キスを交わす二人の姿に止めどなく涙が溢れ、目の前が滲んで行く。そして心は声にならない悲鳴を上げ、張り裂ける。


 もう嫌だ・・・見たくない。なのに磁石のように体が吸い寄せられる。一歩、二歩と近づくも、悲痛の叫びは彼らに届くこともなく、涙を流し続ける私に気づかない。


 

 どこか遠くの方で鳴り響くクラクション。急いでブレーキを掛ける音が微かに耳に入り、かろうじてそちらに顔を向ける。途端にドンッという衝撃が身体を襲い、そのまま弾き飛ばされ宙を舞う。


 宙を舞いながら薄れいく意識の中で彼らに視線を向ければ、やっとこちらに気づいたのか、驚愕の顔をしてこちらを見た彼と目が合った。彼が必死に何かを叫んでいたが、それを理解するまもなく、私は完全に意識を失った。



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