人生初の一目惚れ、本当に不思議な始まりの日
こちらも同時連載します。どこか懐かしい古き良きファンタジーさを残しつつ書けたらなと頑張ります
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「ダーリン!!!もう絶対離さないわ!!!私と一緒に永遠に生きるの決定だからね!!!」
スカートを履いた下半身が蛇の女性に青年は巻き付かれていた。尻尾でぐるぐる巻き。体が重たい。
突然、いきなり、何故こうなった。一緒にきた老婆も急展開過ぎて思わず固まってしまっている。
「ダーリン?アオの話さ、ちゃんと聞いてるかな???」
女性は器用にぐるぐるに巻いた青年を尻尾で調整し、向かい合うようにしてそう質問してくる
「聞いてますけど、色々急で良く分からないんですよね」
獲物を捕まえた蛇のような。目を細めてニコニコ笑う女性にそう返した青年は今日の始まりからこうなった経緯を振り返っていた。
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「アンタさんは蛇に会ったことはないかい?」
茶色の少し古褪せた外套を纏った老婆が青年にそう言い放つ。ここは彼女の家で中は広いとは言えずテーブルと椅子と暖炉、あとは小さな台所と隣の部屋にベットが置いてある質素な家だった。
「蛇ですか………蛇ってなんでしょうか?」
青年は目をパチクリ瞬きしながら疑問を浮かべて老婆にそう返した。この青年は早朝、村の隅に倒れていたのを村人が発見して老婆が引き取った。たまたま近くを散歩してただけだったが、顔を見てすぐさま家に連れてくるように村人を説得した。
家に連れてきたのは良かった。起きるまでは問題なかった。起きてから老婆は正直困っていた。青年について何を質問しても覚えていない。
何を質問しようにもまるで水面に映る自分のように疑問で返してくるからだ。
「アンタ、覚えてることは何かないのかい?」
もう4、5回聞いた質問を青年にしてみる。何度聞いても首を横に振っている。
正直な話老婆はこの青年の顔に見覚えがある、名前も知っている、一緒に暮らしていたこともある。仕事仲間だった。本当に⚪︎⚪︎、⚪︎⚪︎⚪︎なのかい?と問いただしたい。
ただ、記憶にある彼と最後会ったのは数百年前になる。そこから一切姿が変わっていないのはおかしい。
最初はもしかして同じ秘密を抱えているのかと期待したが何も覚えていない今の彼に話しても話が通じないだろう。
やっぱりあの子のところに連れて行こうか。
「アンタ名前もないと不便だろうから、持っていた
帽子からニノって呼んでも構わないかい?」
本当の名前を秘密を伝えずに話す事は老婆には出来なかった。
「ニノ………ですか、分かりました。ニノで今日からよろしくお願いします。ピンとまだ来てませんがお世話になってばかりで本当にありがとうございます。」
青年は目を瞑って何か考えた後、ニコリと笑う。
青年のこの笑顔、やっぱり本人に違いない。でも確信がないから決めた、やっぱりあの子に託そう。
「気にしなくていいさ、私の知人に似てたからね。私の名前はアオネ、オネ婆でいいよ。ただ絶対アオとかアオ婆って呼ぶんじゃないよ?」
大事な事を念押しして伝えておく。そうしないとあの子に会った時にヘソを曲げられてしまうだろうから。
「アオネさん、ですね。よろしくお願いします」
青年はニコニコ笑っている。髪の毛はボサボサで前髪が長く、目にかかっていてよく見えない。背は猫背で身長はさほど高くはない。服も上等なものではなく船乗りが着るような上下の服を着ていた。
聞いた話ではこの家に来るまでの記憶が一切なく、自分のことすら覚えていない。時折どこか遠くを見る顔をするが本人は気づいていない。
やっぱりこのままじゃ良くないわ。あの祠に連れて行くしかない。口には出さないが話し方が少し昔に戻っていた。
「ニノに着いてきて欲しいところがあるんじゃが、もうお腹は大丈夫かい?」
先程まで老婆が作った村人から貰った川魚のムニエルと外の畑で育てたリラ豆とウシのミルクのスープを沖田青年と一緒に食べていた。木のフォークとスプーンを青年は問題なく使いこなしていた。
「はい、沢山いただいきました。美味しかったです………行くのは大丈夫ですが、ところでこんな夜にどちらに行くんですか?」
疑っている風はなく単純に疑問に思いながらニノはアオネに聞いていた。
「夜だから行ける場所じゃ。村近くの森の奥の洞窟に祠があってな、そこに居る者にあって欲しいんじゃ」
村のものがいたら止めるだろう、外のものが聞いたら老婆から怪しげな話をされるとしか感じないだろう。
「洞窟………祠ですか、遠いとアオネさんが大変じゃないですか?」
話を聞いて少し困った顔をする。
ニノはアオネの体力と歳を想像して心配した。ただの老人にしか見えないからだ。
それを聞いたアオネは少しポカーンとした後心配されてる事に気付き笑って返した。
「なぁに、私はまだまだ歩き回れるし、昼間だと人の目がある。私が管理してる場所なんじゃが村人達は怖がって私以外が近づくのを嫌がるんじゃ。でも絶対行けばニノの為になるからな」
そういって了承を得たアオネは外套を被り直しニノを連れて家を出た。
二人で夜の村を歩き回る。
灯りはどの家からも消えており寝静まっている。こんな田舎の村では夜寝る以外やる事もない。最近は魔物もいないので見張も立っていない。村を抜け出す者がいるとは誰も考えないのだ。
起きて見つかっても困るのでニノには家を出る前に声を出さない事を約束し村を越え森の中を進む。
かれこれ10分ぐらい森を歩いた先に小さな洞穴があった。天井はそんな高くなく2メルほどで中に松明がつけられ中を照らしている。アオネに連れられ、奥に進むと何か大きなとぐろを巻いた石の像が一体天井まで届きそうな大きさで鎮座されていた。
ニノが不思議そうに像を見ると像もニノをしっかり見ている感じがしていた。目が離せない。これが何か分からないけれどずっと見てしまう。
「ニノ…!こっちじゃこっち」
アオネに呼ばれた声にニノは我に返り声の方向を見る。
像の端っこに小さな穴があり、そこには縄梯子がかけられていた。梯子がかけられてると思ったのはアオネが穴から顔を出していたからだった。
「こっちにきて下に降りるよ。なぁに、縄梯子があって少しだけじゃ怖くないように頑丈なやつだからね」
アオネはそう言って先に降って行った。
ここまで来たら着いて行くしかないな。
ニノは像がまだ気になっていたがそれを振り切って縄梯子へ向かいゆっくりゆっくり降って行く。
1分もしないうちに底に着いたようで、木を交互に敷いたような床と奥へ奥へ続く横穴が繋がっていた。
「ここはいったい何のために…」
こんな奥に一体どんな人物がいるのか疑問に思いながら先に進もうとすると前から何か急ぐような這いずりながらくる音がしていた。
アオネは前から知っている人物が来ているのに気付き、挨拶しようと声をかけよう…として猛スピードで老婆の横を通り過ぎてく。
ニノは前から黒い影が近づいてきてるのに気づく、間もなく何かがそのまま抱きついてきた。
「ダァァァァァァァァァリン!!」
鈴が鳴るような高い声が何か知らない言葉を話している。ニノが意味が分からず固まっているとそのまま抱きしめてるものがなんだろうとふと見つめると。
白い長髪を一つに結び、両目は黒で顔が整ってる麗しい女性が目の前にいた。
「あっ……!」
記憶にないはずなのに目が離せない。どこかで見たことある様な、守らないといけないような、そして声を聞いた時にビクッと体が動いてしまった。顔が緩みそうになる。今までにない感覚で本人が一番戸惑っている。
ニノは間違いなく目の前の女性に一目惚れしていた。
そして、それはニノだけではなく………。
「ダーリン可愛い!!!めちゃくちゃ好み!!!一目惚れした!!!私アオって言うんだよ!!!ダーリン名前何て言うのかな???」
話をさせる隙もない様に早口で女性はニノに名前を尋ねていた
「あっ、、、………に、ニノです、よろしくお願いします」
少し戸惑いながら照れながら何とか名前を伝えると
「はい!ダーリンの名前はニノね!!!アオの事末長くよろしくお願いします!!!」
そう言った後アオの右目は黒目から蒼く輝き、そのまま抱きしめてたニノは光に包まれた。
光に包まれた後数秒ほどして光が収まり辺りは元の薄暗さに戻る。そしていつの間にか手で抱きしめいたアオが尻尾でニノを抱きしめていた。
「絶対、絶対逃がさないからね?」
ニコニコと笑いながら宝物を護る龍のよう。
アオはしっかり逃げられないくらい力を込めてニノを締め付けている。
「「どうしてこうなったのだろう(のじゃ)」」
ニノとアオネは状況が追いつかず頭を抱えていた。
伏線は沢山、老婆の謎はいつか…そして石おじさんもよろしくお願いします




