五章 協会と教会
協会、すなわち国際魔術師協会は、魔術に関する情報の交換・共有を主たる目的とした、魔術師たちの世界規模の互助組織である。ドイツに本部を置くが、世界数十カ国に支部を有している。一般企業のようにインターネット上にウェブサイトを持っており、日夜その会員ページで魔術師たちの活発な情報交換が行われている。協会の歴史自体はそれほど長くはないが、今では世界中の魔術師の七割近くが加盟していると言われている。
協会ができるまで、魔術師たちは基本的に個人ないし秘密結社の単位で活動を行っていた。
しかし、近年の科学の進歩、特にコンピュータやインターネットの普及は、魔術そのものだけでなく、魔術師のあり方にも大きな影響を与えた。魔術師たちは自己の知識やノウハウを秘匿するのではなく、公開・共有することで更なる高みを目指す方向を模索し始めたのだ。勿論、今でも自分の知識やノウハウを後生大事に隠し持つ魔術師もいるが、既に公開されてしまっている知識の量・質と比して、隠す価値があるほどの知識を有する者は稀であった。
魔術に関する膨大な知識が万人に開かれた結果、知識がそれを悪用する者の手に渡ることも多くなった。そうした悪い魔術師が魔術を用いて普通の人間に迷惑をかければ、普通の人間と共存して、ごくまっとうに真理を探究しようとしている魔術師たちの存在まで脅かすことになる。そのため、そうした悪い魔術師を駆逐するために狩人を派遣することも、協会の重要な責務となっている。
そして、一般の人間との共存という意味において、魔術師協会は各国政府と少なからぬ繋がりを持っている。魔術師の存在を容認する国家はほとんどないが、それでも協会は多くの国の政府と友好的中立以上の関係を築いている。それは協会が、悪い魔術師を討伐するだけでなく、積極的に各国政府の要請を受けて、一般の人間の手には負えない「化け物」の退治をするからだ。
「つまり、その悪い魔術師や化け物の退治を請け負っている魔術師が、鋼玉や私なの。もっとも、鋼玉は厳密には魔術師でも協会の会員でもないから、協会からの協力要請を受けたフリーランスっていう位置付けなんだけどね」
聖夜は国際魔術師協会については理解したが、先ほどまでの会話の文脈上、キョウカイは一つではないと理解していた。
「その国際魔術師協会じゃない方のキョウカイっていうのは、ひょっとしてあの教会なんですか?」
「そう、その教会よ。知っているとは思うけど、魔女狩りの歴史が端的に示すように、教会はわたしたち魔術師とはあまり仲がよくないの。ただ、魔術を使うとは言え、あたしたちはあくまでも魔女ではなくて魔術師だし、当時魔女狩りの実行部隊だった異端審問官も、教会の建前上、既に過去の遺物よ。だから、今のところ協会と教会は表立っては対立していないわ」
魔術師と魔女がどう違うのか、聖夜には全くわからなかったが、聖夜にも奈莉栖の言いたいことは理解できた。
「ということは、本音のところでは、今も異端審問官というものが存在しているんですね……」
聖夜の問いに、奈莉栖は頷いた。
「魔女裁判を行っていたとされる当時の異端審問所は、検邪聖省と名を変えて今も存在するけれど、その役割は文書の検閲だけだと一般には言われているわ。でも、本当はまだいるの。異端を武力で討伐する、異端審問官という者が、ね。詳しいことは分からないけれど、一説には、教皇が自ら選任する、独任制の機関だと言われているわ」
「会ったこと、あるんですよね?」
聖夜の問いに奈莉栖が頷く。
「道に外れた魔術師は、協会に狙われるだけでなく、異端と認定されて異端審問官の標的にもなることがあるの。実際あたしも鋼玉も、悪い魔術師を討伐しようとしている時に彼らとかち合ったことがあるし、共闘したこともあるわ」
「強いんですか? その、異端審問官って」
「あたしも数人としか面識がないけれど、武力討伐を謳うだけあって、かなりの異能者揃いよ。単純に戦闘能力だけで言えば、上位の魔術師でも互角に戦える者はほとんどいないでしょうね。ただ、数はそれほど多くなくて、おそらく世界中合わせても10人はいない、と言われているわ」
「その数少ない異端審問官が、どうしてこんな田舎町に二人も?」
聖夜の疑問はもっともだ。そしてもちろん、鋼玉と奈莉栖の疑問もそこにある。
「そんなこと、こっちが知りたいくらいだわ。まあ、黒十字の方は、元々この地の産まれみたいね。この辺りはかなり強い霊域として、魔術に縁のある者にとっては有名な土地だから、異端審問官を輩出してもそんなにおかしくはないんだけど」
「輩出するのはいいんですけど、別にここに住み続ける必要もないですよね?」
聖夜の素朴な疑問に、鋼玉が答えた。
「異端審問官が、積極的に自分たちと異なる教義を掲げる広義の異端の排斥や、魔女狩りをしていたのは過去の話だ。現在、彼らには二つの目的しかない。魂を冒涜する者の断罪と、冒涜された魂の救済だ。どちらの任務も、現代ではそれほど多くはないはずだ。たまにある特命を受けて標的を狩るだけなら、どこに住んでいようとあまり変わらないんだろう」
「黒十字はともかくとして、問題は悪魔憑きの方ね。何故わざわざこのタイミングで、何故わざわざこの地に来たのか、全くわからないもの。あまり考えたくはないけど、最悪の場合、標的が被っていることも覚悟した方がいいかも知れないわ」
「確かに、異端審問官の目的からすれば、多くの女性の魂を内包し、更に美女の魂を奪おうとするイシュタルは、二重の意味で許すべからざる存在だろうからな。ただ、イシュタルが標的で、この地に来ていることまで掴んでいるなら、わざわざ悪魔憑きが来なくとも、黒十字が動けばいいだけの話だ。まだ奴らにイシュタルのことは知られていないと思いたいところだな」
鋼玉の意見に、奈莉栖が頷いた。
「まあ、説明すればこんな感じだけど、大体の事情は呑み込めた?」
奈莉栖が、喋り疲れた、といった感じで聖夜に尋ねた。聖夜は曖昧に頷いたが、実際のところ、しっかりとした説明を聞いても、聖夜はまだ、事情をよく飲み込めていなかった。魔術師だの異端審問官だの、真面目に語るには荒唐無稽過ぎる。昨日までの聖夜なら、二人の正気を疑ったことだろう。しかし、あの化け物……イシュタルや、鋼玉の人間離れした動きを見た後では信じざるを得ない。信じざるを得ないが、全てを鵜呑みにするには、聖夜はリアリスト過ぎた。
「他に疑問がないなら、このくらいにしよう。そろそろ遅い時間だけど、聖夜は泊まっていくのか?」
時計は既に十一時を指している。
「えぇ!? お、男の人の家に、ですか?」
もともと、鋼玉を誘惑するために来たとは言え、泊まることまでは聖夜の想定外だった。
「安心して。あたしも泊まるし、鋼玉に手出しはさせないわ」
奈莉栖の笑顔が怖い。聖夜は、奈莉栖の言う「手出し」の主語が鋼玉ではなく聖夜であることを理解した。何れにせよ、奈莉栖がいるなら鋼玉とのラブロマンスを期待しても無駄だろう。
「そうですね。家で寝るのも怖いですし、泊めていただきます。友達の家に泊まると連絡を入れれば、外泊はなんとかなりますし」
聖夜の言葉に鋼玉が頷く。
「二人は2階の客間で寝るといい。今夜再びイシュタルが現れることはないと思うけど、念のため、警戒だけはしておこう。奈莉栖、家への侵入者を感知する結界にプラスして、聖夜の恐怖心に反応して警告を発する魔術をかけておいてくれないか」
「侵入者を感知する結界は月並みだし、気付かれて無効化される恐れもあるものね。その点、確かに、鋼玉が提案した方法なら、勘付かれる可能性はそれほど高くないと思うわ。イシュタルとやらにしたところで、気付かせないように魂を喰らうことは不可能でしょ? 聖夜の感情を魔術発動の鍵としておくことは効果的だわ」
奈莉栖が満足そうに頷く。
「すごいですね。そんなことが出来るなんて」
聖夜が驚きの眼差しで二人を見るが、鋼玉は首を横に振った。
「すごいのは、奈莉栖だけさ。俺にはそんな高度な魔術は使えないよ」
「よく言うわ。使おうとしないだけの癖に。まあ、了解よ。聖夜が恐怖を感じたら、鋼玉に警告音が届くようにしておくわ」
軽く請け合うと、奈莉栖は携帯端末を取り出し、手早く操作した後、聖夜に向かって何事かを呟いた。
「はい、これでよし、っと」
「えっ、もう魔術を使ったんですか?」
効果音も光も何もなく、聖夜の体には異変も感じられない。
「拍子抜けした? まあ、効果は信頼してくれていいわ。発動しない方が、あなたにとっては幸せでしょうけどね。じゃあね、鋼玉、おやすみ」
そう言って、奈莉栖は勝手知ったるといった感じで聖夜を伴って階段を上って行った。
***
鋼玉の家の2階に客間は一つしかなかったが、その一室はリビングよりもやや広く、高級ホテルのように豪華なものだった。ダブルサイズのベッドが2台あり、ベッドから見られるように、大きな液晶テレビがテレビ台にセットされている。
ホテルになど泊まったことのない聖夜は、しばらくの間、部屋のあちこちを物珍しげに調べていたが、やがて沈黙に耐えられなくなり、スマホをいじっている奈莉栖に話しかけた。
「各務博士ってお幾つなんですか?」
奈莉栖はスマホから目を離さなかったが、会話には応じてくれた。
「17よ。奈莉栖でいいわ。今度博士なんて呼んだら半殺しよ」
「お、同い年なんですか!? てっきり、年上かと。でも、私みたいな普通の女子高生からしたら、博士号なんて凄すぎです」
「同い年なら丁寧語もやめて。別に全然凄くないわ。私たちの生きる世界で、学歴に大した意味はないの。鋼玉は素行が悪すぎるから高校を卒業できないかも知れないけど、あなたは鋼玉が自分よりも劣るとでも思っているの?」
奈莉栖が聖夜にバカにしたような視線を投げる。聖夜は首を何度も大きく横に振った。鋼玉の冷静さが深い知性に裏付けられていることは、会ったばかりの聖夜にもわかっていたからだ。
「って、ひょっとして、彼も高校生なの!?」
奈莉栖の言葉に、聖夜は驚いた。あの鋼玉の落ち着きようからして、同じ高校生とはとても思えなかったからだ。
「ええ。一年生よ」
「そんな、後輩だなんて……」
奈莉栖が同い年であることも、鋼玉が年下なことも、聖夜にはかなりショックだった。聖夜自身は自分が年の割に子供っぽいことを気にしているから、なおさらだ。
「こ、鋼玉は、素行が悪いの?」
君付けにするのも変な感じがしたため、聖夜は躊躇いながらも鋼玉を呼び捨てにしたのだが、それについては何も言わず、奈莉栖は頷いた。
「高校に入ってすぐに、複数の同級生・上級生にとどまらず教師とも『恋愛関係』を持ったのがバレて停学になったのよ。卒業どころか進級できるかも怪しいわね」
自分がその事実を吹聴したことには触れず、奈莉栖が鋼玉の『悪事』をさりげなく暴露する。鋼玉に近付くと弄ばれることをアピールするかのようだ。
「きょ、教師と恋愛関係で、停学ですか……」
その手の経験の全くない聖夜が真っ赤になる。
「まあ、でも、そもそも高校でも大学でも、学校で学ぶことなんて彼には何一つないでしょうね。あたしにはそれがあった、ただそれだけ。今から思えば、無駄な回り道だったけどね」
「博士号が無駄だったってこと?」
「というより、大学や大学院で学んだことが、ね。魔術を学ぶきっかけにはなったけど」
「どうして魔術師になったの?」
「それは……。昔からね、魔女っ子になりたかったの」
そう言った奈莉栖の顔は、可愛い夢を語る子供のそれではなく、苦い思い出を語る大人の顔だった。
「でも、結局は普通が一番なんだっていうことには、普通でなくなるまで気が付かないものなのよね」
「すごいね。自分が特別だって、しっかりと自覚できてるなんて」
呆れるしかない、と聖夜は溜息を吐いた。自分には他人に語るほどの取柄もない。
「少し違うわ。魔道に堕ちた女を特別とは言わない。単に異常なだけよ」
込められた自虐に、聖夜は何も言えない。やや強引に、聖夜は話題を変えた。
「ねえ、初めて出会った時、鋼玉が私を抱えて空高くジャンプしたんだけど、あれも魔術なの? 鋼玉は特に呪文とか唱えてなかったと思うんだけど」
「鋼玉の『門』のことね。あれを魔術と呼ぶのかは、ちょっと微妙ね。術式としてはプロジェクション、つまり、『投射』で、似たようなことができる魔術師もいるにはいるわ」
「投射?」
「魔術の術式には色々あるんだけど……貴女の言った『呪文』、つまり、いわゆるスペルっていうのもその一つ。代表的なところで言えば、投射の他に、呪文、印章、魔法陣、魔術文字……辺りかな。呪文は、魔術的に意味のある音を口にすることで魔力を扱うんだけど、投射は自身の中にある魔術的なイメージを現実の空間に思い描くことで魔術的な効果を発現させる術式よ。それができるということは、独自の魔術的な世界観を有しているということだから、極めて珍しいことなんだけど」
「じゃあ、奈莉栖の魔術は投射じゃないの?」
「ええ。私が用いるのは魔法陣。魔法陣というのは魔術的なイメージを理路整然と図示したものよ。魔術的なイメージを抽象的に示す印章とはそこが違うの」
「ごめん、よくわからない」
そもそも聖夜には魔術的なイメージというのがどういったものか理解できなかった。奈莉栖が呆れたように肩を竦める。
「見た方が早いわね。ほら、これが魔法陣よ」
言って奈莉栖が、携帯端末を操作して複雑な模様の浮かぶ美しい図形のグラフィックを画面に呼び出し、聖夜に見せた。
「うわ、すごく綺麗だね」
聖夜が感嘆の声を上げる。奈莉栖が満足気に頷いた。
「魔法陣の表現方法が従来の2次元描写から3DのCGになったことで、即座に発動する魔術も容易になったわ。従来の魔術の中には発動までに数日単位で時間がかかったり、効果を明確には知覚できないものが多かったけど、それらはどうしてもイカサマの謗りを受けちゃうからね。その点、あたしの用いる魔術はあなたの思い浮かべるものにかなり近いはずよ」
奈莉栖は聖夜がアニメに出てくるような魔女っ子や魔法少女を思い浮かべていると思ってそう言ったのだが……。
「わたしの中で魔術と言えば、魔女が、巨大な鍋で怪しげな液体を煮込んだりしてるものなんだけど……」
聖夜の言葉に奈莉栖は頭を抱えた。
「なんてアナクロな。まあ、その手の魔女術も、今でもちゃんと残っているんだけどね。さて、そんなことよりも……」
奈莉栖が携帯端末をしまって、聖夜のすぐ横に腰掛けた。
「抱きしめても、いい?」
「えっ?」
意味がわからず、聖夜が間抜けな声を出す。
「抱きしめさせて、って言ったの。二度も言わせないでよ、恥ずかしい」
「え? 何それ、意味がわからないよ……」
聖夜の戸惑いなどおかまいなしに、奈莉栖は聖夜の黒髪に指を絡め始めた。
「あなたの体の持つその魅了の魔術は、異性だけでなく同性にもかなりの効果をもつほど、強力なものよ。さっきだって、風呂場の様子を覗くだけのつもりだったのに、我を忘れて触れてしまいたくなったもの。あたしなら、気を付けてさえいれば抵抗するのはそんなに難しくないんだろうけど……。興味があるの。抵抗せずに受け入れてみたら、どうなるのかなって」
奈莉栖が舌舐めずりしながら、聖夜に擦り寄る。
「え、いやだ、ちょっと、やめてよ」
「ふふ、その怯えた顔、すごくいいわ。あたしには、百合の趣味はなかったんだけど、悪くないかも。さあさあ、あたしの知的好奇心の犠牲になりなさい」
「そ、そんな……」
それは知的ではなく痴的好奇心だと聖夜は思ったが、それを口にする余裕はなかった。何とか奈莉栖から離れようとベッドの上を後退る。
「そんな身体じゃ、遅かれ早かれ不本意に犯されることになるんだから、あたしに抱きしめられるくらい、我慢しなさい」
優しく囁きながら奈莉栖の手が聖夜の頬に触れた。これでは先刻と全く変わらないではないか。聖夜はなりふり構わず立ち上がって逃げようとした。
「あら、往生際が悪いわね」
笑いながら、奈莉栖は再び携帯端末を取り出した。素早く指先で携帯を操作すると、空いた左手を聖夜に向けた。
「捕縛」
奈莉栖が命じたその瞬間、聖夜の身体は動かなくなった。
「最近のスマホってほんと便利よね。一昔前のスーパーコンピュータくらいの性能があるし。直接相手を拘束するほどの強制力を持った魔術のための魔法陣を、自力で一から描こうとしたら何時間かかるかわからないけれど、サーバに保存したデータを呼び出すだけなら数秒で済むもの」
身動きを封じられた聖夜の唇に、奈莉栖の指が触れる。聖夜の口から悲鳴が漏れそうになったその時……。
「どうした、聖夜、無事か?」
突然、ドアが開き鋼玉が駆け込んできた。奈莉栖が先ほど掛けた魔術で、聖夜の恐怖心が鋼玉に伝わったのだろう。
「あ……可愛がってあげようとしただけなのに、そんな怖がらなくてもいいじゃない……」
鋼玉と目が合い、バツが悪そうに、奈莉栖は笑って誤魔化そうとした。しかし、鋼玉は不機嫌な顔で奈莉栖を睨みつけている。
「奈莉栖と一緒なら安全かと思ったけど、逆に危険なようだね。奈莉栖には、実験室にお泊りいただこうかな」
鋼玉が淡々と言う。
「嫌、絶対に嫌! ごめんなさい、あそこだけは許して……」
「実験室」、それは、メルクリウスが存命中に怪しげな実験に使っていた部屋で、イシュタル創造にも使われた曰く付きの部屋だ。未だに、元が何の生き物かわからないおぞましい標本が何体もあり、常人なら気が触れてもおかしくないほどの異様な雰囲気を醸し出している。奈莉栖は一度、鋼玉が止めるのも聞かず興味本位で入ったことがあり、トラウマになっているのだ。
「聖夜も疲れているだろうから、大人しく寝てくれ。次にこんなことがあったら、今度こそ容赦なく実験室に入れるぞ」
鋼玉が去ると、奈莉栖は震えながら布団にくるまって寝てしまった。鋼玉を見て気が緩んだのか、聖夜もすぐに眠りに落ちた。




