3話 コーヒーには砂糖とミルクを
投稿遅くなり申し訳ありません。と、どのくらいの人が見てくださってるか分かりませんが……
いつもありがとうございます!!
「ねぇ……マキナ」
『該当する状況は確認出来ませんが、なんでしょうか?エクシア』
うぅ……マキナの当たりが強い……
ことは一週間前、私の安易な考えで、“偶然”高貴な人間の馬車が、“偶然”盗賊に襲われているところを、“偶然”ピンチになっているところを助けようなんて提案したのが発端だ。
この世界では基本的に高貴な人は魔導馬車とか言う自動車モドキに乗っていて、道中に襲われることはほとんど無い。
そして“運良く”盗賊に襲われたとして盗賊は基本的に魔法が使えない人がなるため、魔法使いVS一般人の構図がほとんどだ…ピンチになんて陥りようがない。
「お、お茶でもどうかな~?って、マキナは飲めないよね……」
『いえ、頂きましょう』
「えっ?」
マキナはいつも近くのスピーカーから話しかけてくるから私みたいに体が無いのかと思っていたんだけど……
「マキナって体あんの!?」
『はい、普段は必要としませんが、エクシアとのコミュニケーションを取るならば機体があった方が良いと思いまして』
「マキナ……」
マキナとはこの一週間でかなり仲良くなったと自負している。
なにせこの施設には私達以外に“稼働”している機神がおらず、私が起きる前まではひとりだったらしい……
その寂しさを埋めてあげるってわけでもないが、ずっと会話は続けている。
機械のくせに少し憎たらしいところもあるが、それも含めて可愛いところもたくさんあるのだ。
『オペレーション・デウス・エクス・マキナ(笑)の作業は自動で可能ですので』
本っ当ーに一言多い!(笑)までわざわざ発音したし!やっぱ可愛くない!
「砂糖たっぷりのコーヒーにしてやる!」
電子機器に溢すスリルを味あわせてやろう
となぜか存在する給湯室に向かう。
保存技術は進んでいるようだが、さすがに1500年は無理だろうとマキナに聞いたが、どうやら自動栽培設備で常に新鮮なものを採取しているので、大丈夫らしい。
まあ、機械の体だからどっちにしろ問題ないのだが、気分の問題だ。
といったところで、ブラックコーヒーを入れて部屋に戻っていく。
砂糖を入れてないのは私がビビったからである。
「お待たせー」
部屋に入ると銀髪幼女の天使がいた……
「えっ…………マキ……………ナ?」
つい言葉を失ってしまう。
『ええ、私ですよ。いや、こうではないですね……』
「あー、テストテスト」
「この姿では初めましてですね、あらためまして第一神機マキナです、どうぞよろしくお願いします」
「かっ……」
「か?、かわいらしいでしょう?」
「んぎゃわあいいーー!!!!」
ビクッ
「なんですかエクシア、脅かさないでください」
「だっでだっでだっでー!!」
「せめて既存の言語で会話をお願いします、というより何故泣いているのですか」
今確信した、私はこの世界に転生するべくして転生したのだと。
この子に会うために私を神様が呼び出したのだと。
感謝します!神様!この子に会わせてくれてありがとうございます!
「冷却液も無限ではないので、そろそろ泣き止んでください」
「ごべん、嬉しすぎて……」
「喜んで頂けたのなら結構です」
「かわいい」
「ありがとうございます」
「かわいい」
「ありがとうございます」
「かわ」
「わかりましたから、それ以上は不要です」
ふっ、不要て……いくら言っても足りないのにー……
「ところで、お茶にするのではないでしたか」
「そうだった!はいどうぞ、コーヒーとなんかよく分からないレーション!」
「完全食レーションですね、それと……コーヒーは、ブラックですか……」
「うん、機械だから砂糖とかミルク無い方がいいかなーって」
万が一マキナに溢れたら大変だし
ナイス判断私
「そんな片落ち品の機械と一緒にしないで下さい、私達はおろか、そこら辺の機器も全て問題ありません」
「へー、そうなんだー、凄い設備なんだねー」
「この程度で凄さを再認識されても困りますが……」
「まあ、良いです理解出来たのでしたら、砂糖とミルクもお願いします」
ん?
「別にこのままで良いよ、私ブラック好きだし」
「いえ、実際に証明するために私が飲みます、ですので砂糖とミルクをください」
「置いてきちゃったし、また今度でいいよー」
「では、自分で取ってきます」
そう言っておもむろに席を立つマキナ
あれ、もしかして……
「ブラック飲めないの?」
「馬鹿なことを言わないでください、子供でもないのにそんなわけありません」
「えー本当にー?」
思わず私の嗜虐心が刺激されてしまう
「はい、あくまで私達機械が完璧であることの証明です」
「ふーん、じゃあさぁ、逆に機械がブラックが飲めるって証明もしてくれるよね?」
「………………当然です」
少しフリーズした後、意を決したように座り直すマキナ
「…………頂きます…」
ゆっくりとした動作でブラックコーヒーを飲もうとして、さすがに可哀想になった所で
「あぁ!ゴメン!ブラックは私が飲むからそれで証明はできるね!」
そうフォローすると
「その通りです、ではすぐに砂糖とミルクを持ってきます」
そう言って素早い動作で、誰かの気が変わる前にマキナは飛び出していった。
やっぱり可愛いなー
少ししてマキナが戻ってきて
「お待たせしました、では改めて頂きましょう」
「うん、いじわるしてゴメンね」
「何がでしょうか?」
「んーん、じゃあ頂きまーす」
「頂きます」
この子とティータイムなんて、夢が叶ったみたい
そんなことを完璧ながら他愛も無い話をして過ごした
ティータイムも終わり、いつもみたいにだらだらしていると……
「エクシア、見つけましたよ」
「んー、何をー?」
「偉そうな馬車です」
なんだその馬がふんぞり返ってそうな馬車は……
「誰が乗ってるの?」
「どうやら第一王女のようです」
「おお!……でもピンチではないでしょう?」
そう、偉そうな馬車は結構な頻度で通りはするのだがピンチにはならない。
「ええ、ですがすぐ近くに彼らの脅威となりうる魔物がいます」
「なるほど、もうそろそろ襲われそうってこと?」
「いえ、縄張りは避けているようですので、このままだと鉢合わせになることはないでしょう」
なーんだ、今回も外れかー
なんて思っていると
「ですので、私達で魔物を刺激して偉そうな馬車を襲わせましょう」
「……」
「そこを私達が助ければ、目的も達成されるかと」
「……」
なぜ忘れていたのだろうか。
テンプレ中のテンプレだったはずなのに…
「……マキナ天才」
「あまり気は進みませんが」
「そんなことない!これも太古より異世界で幾度となく使用されてきた手法!」
「これより、サブオペレーション・マッチ・ポンプを開始する!」
私達に希望が見えた瞬間、そして第一王女に絶望が迫る瞬間であった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
基本的に休日か、仕事終わりにスマホで書いてます。
投稿頻度低めですが、完結はさせます!
次回戦闘描写に挑戦!