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【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが  作者: Melon
4章 俺の彼女は幸せを勝ち取りたい
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彼女、慕われる

 次の日、大学の廊下で夏鈴さんとすれ違った。

 すれ違う瞬間、鬼のような形相でこちらを睨んできた。

 また何か言われるのではないかと緊張していたが、特に絡まれることはなかった。

 距離が離れた後、俺と燐華さんから大きなため息が出た。


「昨日の燐華さんの対応が相当効いたみたいですね......」


「そうだね......」


「しばらく平和な日が続けばいいですけど......」


 俺たちはそんな話をしながら講義室に入っていった。

 空いている席に適当に座り、受講の準備をする。

 夏鈴さんとすれ違っただけで精神がすり減り、俺と燐華さんは若干ぐったりとしていた。


 そんな俺たちの目の前に、突然女子生徒二人がやってきた。

 片方は茶髪の女子生徒。

 もう片方は金髪の女子生徒だ。


「あ、あの! 燐華さん! き、昨日のやり取り見てました!」


 茶髪の女子生徒が突然そう言った。


「この子、昨日のやり取りを見て、燐華さんのかっこいい部分に惚れちゃったみたいで、お友達になりたいらしくて......」


 金髪の女子生徒が言う。


「ちょ、ちょっと!」


 恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にする。


「そ、それで......。お、お友達に......」


「いいよ。友達になろう」


 燐華さんはすぐに返事をした。


「本当ですか!?」


 燐華さんがそう返事をすると、よほど嬉しかったのか、テーブルに手を付き、前のめりになる。


「よろしくお願いします!」


「うん。よろしくね」


「あのー。実は私もお友達になりたいなー......。なんて」


 金髪の女子生徒は頬を指でかきながら言う。


「うん。これからよろしくね」


 燐華さんは優しく言う。

 金髪の女子生徒も嬉しかったのか、口元が緩んだ。


「燐華さんモテモテじゃないですか」


 俺が少しからかうように言う。


「モテモテ......。なのかな?」


「そ、そういえばそちらは彼氏さんですか......?」


 茶髪の女子生徒が俺のことを見ながら、燐華さんに聞く。


「うん。志永くんって言うんだ。仲良くしてあげて」


「よろしくお願いします!」


「よろしくー」


「はは、こちらこそ......」


 俺は二人の挨拶に少し恥ずかしがりながら返事をした。

 そんな俺を見て、ちょっとだけ燐華さんの頬が膨れ、嫉妬していたような気がした。


 その後、二人の自己紹介を聞いていると、講義室に教授が入ってきた。

 女子生徒たちは自分の席に戻り、俺は受講の準備を再開しようとした。

 すると、燐華さんが俺の服をつまみ、軽く引っ張る。


「志永くん。浮気はダメだからね......」


 さっき俺が照れているのが気になっていたのか、耳打ちしてきた。


「し、しませんよ......」


「ま、冗談だけど......」


 冗談なら先ほど頬を膨らませていたのは何だったのか、と思ったが、心にとどめておくことにした。



 そんな二人の様子を、夏鈴は講義室の外から覗きつつ、会話を聞いていた。

 自分がいじめてやろうと思った結果、燐華には友達が増えた。

 その事実が受け入れがたく、そして、憎かった。


 夏鈴はトートバックに手を突っ込み、カッターナイフの刃を出す。

 私はいつでも殺せる。

 そう思い込むことで、精神を安定させる。


 そして、夏鈴は落ち着きを取り戻し、去っていった。

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