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【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが  作者: Melon
3章 俺の彼女は仲良くなりたい
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彼女、仲良くなれそうな気がした

 それから教室に入り、席に座る。

 数分後に教授がやってきて講義が始まった。



 講義が始まってしばらく経過したが、教授がひたすらしゃべり続けているだけなので比較的静かだった。

 燐華さんは眠いのかウトウトしている。

 持っているペンを落としそうになってしまっていたので、俺は落ちないように止める。

 ついでに燐華さんを起こすことにした。


「燐華さん。起きてください」


「んん......!」


 俺が小声で呼びかけると、ビクッと体が動き、目が開く。

 右手で目をこする燐華さん。

 そんな燐華さんが可愛かった。



 それから数時間後、午前の授業が終わった。

 本日の午後は空きコマなので、俺たちは帰宅することにした。

 俺たちは荷物をしまい、教室から出ようとした。


 すると、突然何かがぶつかってきた。


「うおっ!」


「いたた......。あ、燐華ちゃん! ......と彼氏さん! ぶつかってすみません!」


 ぶつかってきたのは夏鈴さんだった。


「いえ......。それより、どうしたんですか?」


「燐華ちゃん大丈夫かなって心配で心配で......」


「わ、私なら大丈夫だよ......」


 元気がない声で返事をする。


「一応今日は家で安静にしてもらおうと思ってますので、もう失礼しますね」


 俺は燐華さんのことを考えて、話をすぐに切り上げた。


「燐華ちゃんお大事にね?」


 夏鈴さんに対し、燐華さんは手を振った。



 それから、俺たちは電車に乗った。

 昼頃なので、比較的空いていたので座ることができた。


「あ、そうだ燐華さん。しばらくの間、俺の家に泊まってくれませんか?」


「え、いいけど......。どうして? 寂しいの?」


「いや違いますよ......」


 俺がそう返事をすると、少し落ち込んでしまった。


「......いや、少し寂しいですけど。急に体調が悪化したら心配ですし、酒飲みますし......。今日もどうせ飲もうとしてたんですよね?」


「うっ」


 明らかに図星である。


「ということで、今日は俺の家に泊まってください。着替えは美湖さんにお願いして持ってきてもらうので」


 美湖さんにあまり迷惑をかけるのは不本意だが、今回ばかりは頼らせてもらうことにした。


「......仕方ないなぁ。そんなに寂しいなら、泊まってあげるよ......」


 燐華さんは少し照れながら言う。


「そんなかわい子ぶっても酒はなしですよ?」


「......ケチ」


 燐華さんは不貞腐れてしまった。


「でも、なんか精神的に余裕そうですね。燐華さん」


「そう?」


 きょとんとした顔でそう返事をする燐華さん。


「だって、数日前に階段から落ちて入院して、しかもこれから夏鈴さんが心配して毎日来ると思いますよ? それだってのに、冗談を言う余裕もあって......」


「あぁ、そのことなんだけどね......。実は、上手くやれそうだなって思ったんだ」


「そうですか......?」


「ここ数日夏鈴ちゃんと話して、ちょっと無神経なところもある感じはするけど、基本的に優しいし......。まぁ、まだトラウマがあるから、ちゃんと接することはできないけど......」


「......ですよね」


「でも、この怪我がきっかけで、むしろ目標に近づけるんじゃないかって思ってるんだ」


 燐華さんの目標。

 過去に酷いいじめをしてきた相手と仲良くなること。


「怪我のおかげで心配してグイグイこないし、そのおかげで少しずつ慣れていけるんじゃないかって......」


「燐華さん......。すごいですね」


 俺は驚いた。

 夏鈴さんのせいで体調を崩し、怪我までした。

 それなのに、その怪我をチャンスと捉え、トラウマを乗り越えようとしているのだ。

 俺なんかには到底真似できない。


「燐華さん。前、私なんて弱っちいって言いましたよね?」


「え? 私そんなこと言ったっけ......? よく覚えてるね」


「燐華さんは弱くなんかありません。......とても強い人ですよ。俺なんかと比較にならないくらい」


「......嬉しいこと言ってくれるじゃん」


 突然燐華さんは顔を近づけ、俺の唇に触れた。

 タバコを禁じられているせいか、タバコの匂いは薄かったような気がした。


「ほめてくれたご褒美。普段はタバコと酒の臭いがキツイだろうから......ってあれ?」


 俺の鼓動は爆速になっていた。

 緊張で爆発してしまいそうだった。


「おーい? 志永くーん?」


 燐華さんが目の前で手を動かし、意識が戻る。


「と、突然そういうことするのはやめてください......!」


「はーい」


 燐華さんは少し嬉しそうな顔をしてそう返事をした。

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