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【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが  作者: Melon
3章 俺の彼女は仲良くなりたい

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彼女、入浴する

 燐華さんが病院に搬送されてから二日後。

 経過観察の結果問題ないと判断され、退院することができた。



 そして燐華さんの家にて。

 まだ体中が痛み、一人で体を洗うことができないので、美湖さんを呼んで助けてもらうことにした。


「大丈夫なんですか燐華さん!」


 頭に包帯を巻いた燐華さんを見て、青ざめる美湖さん。


「大丈夫だけど、まだ頭と全身がちょっと痛いかな......」


「私なんでもお手伝いするんで! なんでも言ってください!」


「じゃあ今お医者さんにお酒禁止されてるから、代わりにお酒飲んで......」


「......それって意味あるんですか?」


 ポカンとした表情で美湖さんが返事をする。


 入院時はあんなに弱気だった燐華さんなのに、今ではこんなにふざけることができる程度まで心身が回復した。

 燐華さんは弱くない。

 とても強い人間だった。


「とりあえずお風呂入ったらどうですか? 美湖さんに忙しいなか来てもらったんですし、まずは用事を済ませちゃいましょうよ」


「いえいえそんな! 私なんて暇ですよ!」


 美湖さんはそう言うが、迷惑をかけすぎるわけにはいかない。

 燐華さんも俺と同じ思いだったのか、すぐに風呂場へと向かった。



「じゃあ、脱がしますね」


 美湖が燐華のTシャツの裾を掴み、持ち上げる。

 燐華の不健康そうな白い肌と、体中の擦り傷が露わになる。

 体はガリガリで、痩せていた。


「燐華さんって痩せているというか、痩せすぎというか......」


「あーお酒ばっかり飲んでご飯あんまり食べてないからねー」


「全くもう......」


 そんな会話をしながら、燐華の服を脱がし終える。

 美湖は浴室の椅子に燐華さんを座らせ、シャワーを出し、温度を確認する。

 傷口が痛まないようにぬるま湯に設定した。

 しばらく待ち、ぬるま湯が出たのを確認してから燐華さんの体を流していく。


「傷は痛まないですか?」


「そのくらいの温度なら大丈夫っぽいー」


「じゃあ、洗っていきますね」


 美湖は手のひらにボディソープを出し、背中を洗い始める。


「いたたたたたたたた!」


「だ、大丈夫ですか!」


 慌てて手を放す美湖。

 やはり傷口は触ると痛く、ボディーソープも染みるようだ。


「だ、大丈夫だから続けて......」


「は、はい......!」


「あいたたたたた!」


 痛みから逃げようと必死で体を動かす燐華の体を、美湖は必死に洗うのだった。



 なんとか頭以外を洗い終わった美湖は、シャワーで泡を流していく。


「そうだ美湖ちゃん。ちょっと相談があって......」


「相談ですか?」


 燐華さんは真剣な顔をする。


「実は......。実は、学校で苦手な子がいてね?」


「え、燐華さんにですか!?」


 美湖は驚いた。

 美湖からしたら、絡まれている美湖を根性焼きで救出し、酒ばかり飲む陽気で勇気のある強い人間だ。

 だからこそ、美湖は驚いた。


 しかし、そんな燐華の真面目な質問だからこそ、重大な問題だと思い、茶化さずに聞く意識をする。


「その子は私に良くしてくれるんだけど、私はどうしても無意識に拒否しちゃうっぽくて......」


「そこまで嫌なら、無理に付き合う必要もないと思いますけど......」


「でも、私だって強くなりたいんだ。乗り越えて、仲良くなりたいの」


 それを聞き、美湖は確信した。


「やっぱり、燐華さんは強い人ですよ」


「え、そう?」


 こんな燐華の考えを聞いて、弱いと思うはずがなかった。

 むしろたくましく、立派だとも思った。


「でも拒否感を無くすって難しいですね。やっぱり慣れるとか、あとは相手のことを知るとかですかね? 相手のことを知れば予め心の準備とかできますし、精神的な負担は減るんじゃないですか?」


「そうだね......」


「でも一番大切なのは、そんな時に心を支えてもらえるかじゃないですか?」


「支え......」


 燐華は志永のことを思う。


「燐華さんには志永さんがいるんですし、迷惑がられていないならもっと頼ってみたらどうですか? 勿論、私でもいいですし......」


「......うん」


 燐華は頷いた。


「よし、それじゃあ体流し終わったので、お風呂から出ましょうか」


 燐華と美湖は浴室から出た。

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