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6話 港湾都市での出会い



 ディランさんとの約束の日まで予定が空いたけど、せっかくだから港湾都市を観光するがてら店を開いた時に仕入れる物がないも見て回ろう。

また、逆に冒険者都市から港湾都市で必要な物がないかを調べておこう。

ただ、問題は宿だけど、ライリーが僕が寝てしまった後、店の女性エミリーさんと話して滞在中は泊めてもらえるそうだ。

もちろんお金はいらないし、店の手伝いを申し出たらがそれもしなくてもいいそうだ。

ただ、何もしないのは気が引けるので、開店前の手伝いや野菜を運ぶのはライリーと一緒に手伝った。


「やはり、3人だと速いね。あと、男の子だけあって見た目より力があるね」

「はい、これでも冒険者なので。ただ、やってた事は戦いじゃなくて物資の運搬と買い付けですが」

「いや、それでも立派な仕事だよ。水や食べ物が無かったら戦えないからね」

「はい、わたしもブレインが居たので戦えました」

「同じパーティーだったのかい?」

「はい、同じパーティーでした」

「なるほど」


エミリーさんがなんかにやついてるけど、なんだろう。


「ごめんよ、お金で雇った護衛と思ってたら、冒険者仲間で付き合いは意外と長いんだね」

「はい、8年になります」

「ほう、そんなに長いのかい」

「だから、ライリーの事はよくわかっています」

「そうかい、そうかい」


エミリーさんは笑って奥へ入っていた。

なんで笑ってたかはよくわからないけど、きっと久しぶりに子供と話せてうれしいみたいだな。


「ちょっと、ライリーちゃん、こっちへ来てくれる?」

「はい、わかりました」


エミリーさんがライリーを呼ぶと何か話してるけど、なんだろう。

僕に聞こえないように話してるけど、きっと女性同士の話だろうから僕が聞いてはいけなのだろうな。


 エミリーに呼ばれたけど、やはりブレインとの事でしょう。

ブレインとはパーティーの仲間である事以外の関係性はありません。


「お嬢様、ブレインさんとはそんな長い付き合いだったんですね」

「あくまでもパーティーの仲間です」

「それでも長く付き合ってるとなにかあったりしませんか?」

「時々、女性同士でそのようなお話はしましたが、よく女性同士ででするお話です」

「そうですか、わかりました。お客さんが来たのでブレインさんのお話はまた後で続きをしましょう」

「話す事はないです」


 エミリーはすっかりブレインがわたしとお付き合いしてると思いこんでいますが、まだそのような関係ではありません。

まだというは、ブレインとお付き合いはしたいという意味です。

ただ、わたしは男爵家の娘なので、平民で身寄りの無いブレインを両親がどう思うかです。

両親は心が広いので、受け入れると思いますが不安はやはりあります。

さらにわたしが男爵の娘という事をまだ打ち明ける事ができません。

隠しておくような事ではないですが、何故か言いだす事ができませんがいつかいなければなりません。



 エミリーさんとライリーが奥から戻ってきたけど、既にお客さんが来ていたので僕が対応していた。

接客はした事ないけど、商人と付き合ってると何となくわかるのでエミリーさんが来るまで相手をしていた。


「おや、お客さんの相手をしてくれてたのかい、ありがとう。あたしがあとはやるよ」


 エミリーさんにお客さんの相手を代わってもらったけど、後はエミリーさんがやるので僕たちは行ってもいいと言われたので出かける事にした。

今日は港の様子を見に行くことにしたけど、いざ行ってみたら大勢の人が動き回っててさらに関係者以外は入れないので諦めた。

ただ、人がいるとかなりの活気で大量の魚が水揚げされたり取引されていて、次々に運ばれていくのは壮観だった。


 港の他に行く所はないので、南地区を色々巡ってみる事にする。

エミリーさんの店のある通りはさらに続いて、商店が並んでいるが200m程行ったところで店は途切れて住宅地となったが、通りは突き当りになっていた。

家の感じからこの辺りは治安は良さそうではあるけど、あまり行く所ではないかな。

突き当りから東西に伸びてはいるけど、西は海へ、東は別地区へ行く感じ。

ただ、通りの雰囲気からどちらも行かない方がいい感じの場所だと思うけど、案内板には浜と書いてはある。

案内板があるって事は地元の人以外が来る事を想定してるから、西側は大丈夫かもしれないけどどうしよう。


「ライリー、僕、浜へ行きたいけど、なんかこの先あまり行かない方がいい気がする」

「わたしもあまり行かない方がいいと思います。だた。ブレインが浜へ行きたいのならば構いません」

「何かあったらどうしよう」

「わたしは何かあった時にのための護衛です」

「確かにそうだけど、ライリーって人と戦うのは嫌じゃなかった?」

「人と戦うのはモンスターと違って、殺す訳にはいかないいので好きではありません。ただ、人を斬る事は平気です。ブレインの前でも斬ってますので。ただ、加減が難しいから苦手です」


以前、僕がチンピラに絡まれてた時、ライリーが助けてくれた事があったけどその時はチンピラを斬っていたが

本音としては人を斬るのは気持ちがいい事ではなく、本来ならば斬りたくにないがパーティーの仲間が襲われたら人を殺す事も厭わないとと言ってた。

ただ、本当に殺す訳でじゃなくて、それぐらいの覚悟でいるって事だけど。

僕もライリーに人を殺してほしくはないけど、いざという言う時は仕方がないとは思っている。

ただ、チンピラを斬った時は不可抗力もあったためで、本当は人は斬りたくないそうだ。


「この先にある浜が気になるから、行こうか」

「はい、行きましょう」


僕は悩んだけど、やはり浜に行ってみたいし、人もいないから襲われる事は無いと思う。

ライリーが護ってくれるし、僕は逃げるのは得意だらライリーと一緒に逃げればいいだけかな。

しかし、エミリーさんの店があった通りと違って、ここはあまり雰囲気が良くない。

住宅街だからという訳ではなくて、家も痛みが進んでいるけど修理がされてない。

また、住人も僕たちを見ると窓を閉めるし、たまにすれ違う人たちもあまりいい目でこちらを見てないから引き返した方がいいのかな。

でも、かなり浜に近づいて来てるからこのまま進めけど、ライリーは突然足を止めて振り返り帰った。


「ライリーどうしたの?」

「誰かに後をつけられている感じがしましたが、誰もいませんでした」

「そうなの?」

「はい、わたしも一瞬だけ気配を感じて足を止めましたが、相手も感づいたようです」


 ライリーもパーティー内では最強の剣士と言われているけど、ライリーの強さは素早い動きと素早い判断能力、そして高い周辺の察知能力。

そのライリーが感づいたけど、そのライリーより早く感づいて身を隠したら相手もかなりの者。

そうなると、もし戦わない事位なった時はまともに戦わない方がいいかもしれない


「もし戦った場合大丈夫?」

「多分、勝つ事は無理でしょう。戦わないで、逃げる方が良いかと思います。ただ、戦う事はないかもしれませんが…」

「それならそれでいいと思うよ」


理由はわからないけど、戦わなければそれはそれでいい。

ただ、戦わないならば何のために僕たちをつけてきたかわからないが、今はそれよりも浜へ行こう。


「大丈夫ならば浜へ行こうね」

「はい」


 また歩き始めると、砂があり海が見えてきたがこれが浜よのうだ。

通りはのそのまま浜へつづいているので、浜へ降りるけど砂のが思ったより深くて歩きにくい。

ただ、僕は直接海に触れらたいので構わ波打ち際まで行ってみた


「わー、海だー!」


っと声を出したがライリーが僕の後から来てる事に気づかず、ちょっと恥ずかしかった。


「海を近くで見れてよかったですね。わたしも海を見たのは8年ぶりです」

「そうなんだ」

「この浜辺とは違いますが、わたしもこの港湾都市で見た海が最後でした」

「じゃあ、また僕と海を見られたから良かったね」

「は、はい…」


 ライリーは少し恥ずかしそうにするけど、もしかして恥ずかしい事言ったのかな?

でも、ライリーと一緒に海を見る事が出来たのは純粋にうれしいな。


「海の水ってしょっぱいというのを確かめたいな」

「しょっぱいですが、濡れますと川の水と違ってぺたついたりしますので、後の事を考えていまはやめた方うがよいです。また、近くだと砂などで汚れていますので」

「そうなんだ、それじゃ諦めるかな」


海の水を舐めるのはまた今度だけど、海が見れたこと自体はうれしいかった。


「海ってすごいね、こんな広くて魚がいっぱいいて、さらにこの先に僕たちの知らない陸地があるんだよね」

「そうですね、港湾都市は遠く離れた国から船が来て貿易をおこなっています。ただ、その陸地へ行くまでは船に1か月も乗らないとならないそうです」

「そんなにかかるんだ。僕は無理かも」

「わたしも無理ですね」


港湾都市は貿易船が入ってくるけど、船に1か月も乗りっぱなしなんて想像できないな。

だから貿易の品物は物凄く貴重で、高く売れるけど僕が仕入れるのはちょっと無理かな。


 しばらく、2人で海を眺めていたけど、そろそろ他の場所で行こう。

他に人はいないくて浜でライリーとなんかいい雰囲気なってるのでもっといたけど、そろそろ行こう。


「海も見られたから、行こうか」

「わかりました」


僕たちは浜から戻り再び通りを歩いてると、ライリーがまた振り向くがやはり誰もいなかった。

気配は感じるけど、また姿は見えない。

ライリーの気のせいかもしれないけど、ライリー自身は確かに気配はしているというので間違っていなのだろう。

ライリーには僕が気づかないモンスターから、何度も助けてもらってるから誰かがいると信じている。

ということは、相手がライリーより格上という事だろう。

何のために僕たちをつけているかわからないけど、警戒をしてた方がいいかな。


 通りを歩ていると相変わらず、僕たちを見る目がきついから早く丁字路まで戻りので足早になるが通りの真ん中に男3人組が居た。

見た目から良くないと思って、そのまま横を通り過ぎようとしたら僕たちに気づいて道をふさぐ。

予想通りというか、なんというか、僕たちに嫌がらせをしてきた。


「すみません、通してください」


僕がそう言うと、男たちは僕の事を馬鹿にする言葉を浴びせかけてきたがこういうのは言わせておけばいい。

逆に反応すると、余計に絡んでくるので黙って聞いてるのがいい。


「何黙ってるんだ?何か言えよ!」


黙っていたら男の1人が僕の胸座を掴んできた同時に、男の喉元に短剣が当てられていた。


「すみませんが、これ以上はやめてください。わたし達は急いでいますので」


ライリーがそう言うと、男は素直に手を放して「覚えていろ」とお約束の捨て台詞を言って去って行ったけど単なるチンピラだったようだ。


「ライリー、ありがとう」

「いえ、これが役目ですので。わたしに絡んできたお二人も喉元に短剣を向けたら、すぐ大人しくなりましたが」


 ライリーも僕と一緒に絡まれていたが、自分で対応した。

短剣を喉元に当てた時もライリー表情が変わってなかったけど、相手からしたらこれが逆に怖いのかな。


「どこの街にもあのような方がおりますのでお気をつけてください。ブレインは特に絡まれやすいので」

「うん、わかってるよ」


 僕は見た目通りに弱いのですぐ絡まれるけど、周りの人に助けてもらっているから僕も強くなったほうがいいのかな。


「僕も強くなった方がいいのかな」

「いえ、ブレインは今のままでよいです」

「でも、男としてはある程度身体を鍛えたり、戦えた方がいいと思うけど」

「人には得手、不得手がありますが、ブレインは戦いには正直向いていません。ただ、人を惹きつけるけ、人に助けられるのはブレインの人徳なので誇ってください」


  確かに僕は戦いに向いてないけど、人を惹きつける人徳があると言われるのは嬉しい。

確かに、人に助けられてもらってる事は多いし、老若男女関係なく色々な人と知り合ってる。

考えてみたら、ディランさんに出会えたのもオードリックさんのお陰だし、オードリックさんに出会えたのも

パトリックさんのお陰だから、僕は人との出会いによって支えられてるって事か。

もしかして、僕は自分は自分を卑下しすぎてみんなの気持ちにに気づいてないのかな?

ソフィアさんにも卑下しすぎと言われてたけど、やっとその意味に気づいたかもしれない。

エミリーさんにも助けられてるから、それに報わないと。


「僕はもっと自信を持つべきかな?」

「そうですね、自信は持ちましょう。戦いに関しては弱いですが、それ以外はブレインは十分強いのです」

「ライリーにそう言われるとうれしいかな」


 冒険者だから戦いに強くないといけないと思ったけど、それ以外も強くてもいいんだな。

イーサンが僕を止め理由が今になってわかってきたかもしれない。


「次はどうしようかな」

「そろそろ何か食べましょう」

「そうだね、そろそろお腹がすいたね」


 僕たちは丁字路まで戻て来たけど、エミリーさんの店がある方へ向かうが途中にあった魚料理の店へ入ってみたけど

その店は生の魚を出す店で、黒いソースと緑色の物があったけど、黒いソースは塩ぽいけどまた違って香りがあって魚とあう。

緑色の物はスパイスみたい感じだけど、独特な辛さがあるけど香りもあっておいしいな。

ただ、ライリーは緑の物は苦手だったけど、ソース自体は以前港湾都市で食べた事あって好きだったそうだ。

でも、魚が生で食べれるなんて知らなかったけど、海が近くいから食べれるそうだから冒険者都市では無理かな。

また、他に出てきた料理もおいしかったけど、いくつか冒険者年でも出せる物があったからメモしておいた。


 その後、また丁字路まで戻るけど反対側へ行こうかと思ったが、雰囲気が変わらないからやめておいた方がいいかな。

また絡まれた嫌だから、他の所へ行く方がいいかな。


「ライリー、これからどうしよう」

「南地区は地元住民ばかりなので、わたし達みたく他所から来た者がくる場所ではないですね」

「やっぱり、そうだよね。やっぱり、北地区へ行った方がいいかな」

「北地区は宿場にも待っていますし、商人や旅人が集まる場所なので北地区の方が賑やかです。しかし、料理はこちらの方が美味しいく安いです」

「そうなんだ、1度来たことあるから詳しいね」

「とはいいましても8年目の話です。今はどうなっているかわかりませんし、港湾都市も広いので一部しか知りません」

「そうだけど初めてくる僕と比べたら詳しい」

「ありがとうございます」


 僕たちが話していると突然


「さっき位の2人か。いい所で会ったな、さっきのお礼をさせてもらうか」


っとさっき絡んできた人たちがいたが、今度はさっきより人数が多くて10人もいる。


「ライリー、人数が増えてるけどどうしよう」

「1人1人は正直、わたしの相手になりませんが、流石に数の差があります。モンスターなら構わず斬る捨てますが、人を下手に斬ったらわたしが捕まってしまいます」

「そうだよね、どうしよう」

「ここは素直に逃げましょう、こちらへ」


 ライリーは僕の腕を引っ張って東の通りへ逃げる。

それを見たチンピラ10人は追いかけてくるけど、街の構造は向こうの方がわかってるから逃げるなら人の多い所の方がいいんじゃないかな。


「ライリー、こっちに逃げて大丈夫?」

「わかりませんが、戦うとしたらこちらの方が人が少ないので対処しやすいと思います」

「でも、正当防衛でも相手に必要以上の怪我をさせたり、殺したら困るよ」

「それはわかっています。ただ、相手も剣を持っていましたので、ある程度の怪我をしても大丈夫でしょう」


 確かに相手が武器を持っていて自分達より数が多ければ、怪我をさせても罪にならないけど1人で10人相手するのは無理なんじゃ。


「モンスター相手でも相手が数倍の時がありまが、真正面から戦うと包囲されますので1体ずつ引き寄せて倒すのです」


足の速さの差を利用して、1体ずつ倒していくそうだけど、人間の場合も同じ。

それぞれ足の速さに差があり、一番足の速い相手はもうすぐ追いつくが1人だけ。

1人だけならばライリーも簡単に処理できる。

近づいて来たら足を止めるが、相手が勢いそのままに突っ込んできた所を蹴りを入れる。

ライリーは近接格闘もそれなりにできる。

腹部に蹴りが入るが、無防備なうえ勢いがあったため、かなり大きなダメージを受けて動けない。

それを見ていた2人目は立ち止まるが、今度は逆にライリーが素早く動いて腹部に拳を入れる。


「ひとまず2人対処しました。3人目が来る前に、行きましょう」


 僕達は再び走るが、あまり走っても体力的にこちらが不利。

特に僕は体力がそこまでないので、足手まといなると思う。


「あ、あんまり走っても、僕が持たないよ」

「そうですね、あそこの路地に逃げ込みましょう。路地ならば包囲される事はないです」

「そ、そうだけ、今度は挟み撃ちにされそうだけど」

「その時はその時です。どちらにせよ、逃げる場所はありませんので」


僕達は曲がって路地に逃げ込むが、3人目も追って路地に入ると同時にライリーの蹴りもろに入るり3人目も対処した。


「相手もバカではないでしょうから、挟み撃ちにするはずです」

「ぼ、ぼくはもう走れないよ…」

「ブレインは少し休んでいてください。挟み撃ちにされても、このような狭い場所は慣れていないと上手く戦えない物です」


 ライリーはそう言って、短剣を2本抜いて構えるが、ライリーは双剣使い。

普通の剣も使えるが、腕力の問題であまり重い武器だと疲労が大きいので短剣に2本で戦うようになった。

モンスターだと短剣はやや威力が弱いが、イーサンパーティーはライリーとアルマンさんの2人の剣士が相手に斬り込んでかき回した後に

戦士のイーサンとリアンさんが力で倒していくという戦法が基本。

戦法は相手によって変えるけど、イーサンパーティーは剣士の機動性を重視ししている。


「まったく、女相手になにしてんだよ」


4人目が路地に入って来て、今度は剣を抜こうとするが長い剣は狭くてうまく抜けない。

戸惑っている所を、ライリーは短剣で剣を叩き落として蹴りを入れて後ろから来た5人目にぶつかるり、勢いで地面に倒れ込んだ。


「これで半分ですが…走ったのもあって少しに疲れてきました

「だ、大丈夫!?」

「まだ平気ですが…長く戦ったら、厳しいです」

「誰か助けを呼ぶ?」

「呼ぶにもどなたに助けを求めればよいのでしょうか」

「警備兵とか?」

「見た感じでは、近くに警備兵はいないと思います。探すにも、どこにいるのかわかりません」

「き、きっと住民の人が呼んでくれるよ」

「それも期待はできないと思います。たとえ呼んだとしても、間に合うかわかりません」

「ど、どしよう」

「ブレイン、落ち着てください。まずは逃げる準備をするのです、相手が多い場合は逃げ道を確保しておくのです」

「で、でも、ここじゃ逃げ道は後ろしかないし、前にいるのは2人だけだから残りはもう先回りしてるよ」

「ええ、わかっています。だから前の2人を倒すのです」


そう言って、ライリーは前にいる2人に短剣を構えて走っていくがその瞬間前には5人の男が居た。

どうやら、挟み撃ちするように見せて隠れていたようだ。


「これはまずいです」


ライリーは慌てて踵を返すが、それを見てライリーに体当たりをする。


「うっ…」


ライリーは倒されて押さえつけてしまった。


「ラ、ライリー、大丈夫?」

「ブレインは逃げてください…」

「そんな、ライリーを見捨てるなんて出来ないよ」

「ブレインには無理です・・・」

「だ、だけど」

「兄ちゃん、俺たちは兄ちゃんには用はないから行っても構わいぜ。恥をかかされたお礼をこのライリーちゃんにするだけだ」

「何をするですか」

「そりゃ、男と女でする事なんて決まってるだろ」


 男たちは笑ってるが、僕は何にもできない。ライリーは強くならなくてもいいって言ったけど、僕が強かったらこんな事にならなかったのに。

悔しさがこみ上げるものの、僕は動く事ができなかった。


「兄ちゃんはそこで俺たちが楽しむ所をみるんだな。ほら、起きな」


そういうと、ライリーを起こすと男2人で押さえつける。


「身体は細いが、顔はなかなかの上物だな。綺麗な顔がゆがむのが俺は好きなんだよ」


そう言って、ライリーに蹴りを入れる。


「見た感じ冒険者だけあってこれぐらいの蹴りじゃ、大した事ないか」


男はさらに強い蹴りを何回か入れるが、僕からではライリーの表情は見えないがきっと痛みに耐えてるだろう。


「流石にこれは効いてるか、いい表情になって来た」

「この程度の蹴りはイーサンやリアンと比べたら大した事ありません」

「ま、強がりを言えるのは今の内だがな。お前らも手伝えよ」


今度は代わる代わる男たちが蹴りを入れる。

しかし、僕はそれを黙って見ているしかない。

せめて、男たちに一矢報えたらいいのに。

僕が握りこぶしを作ると


「女の子一人で男がよってたかってなにしてるのさ」


っと、フードを被った女性が現れた。


「なんだ、姉ちゃんも混ざりたいのか」

「残念、あたしはあんた達みたいな男臭いのより、そっちのかわいい子の方が好みでね」

「あんな男のなんかより、俺たちの方が立派だと思うぜ」

「でも、その立派なのは今日でお別れだけどね」


女性は剣を抜くと男の股間を斬りつと、男は一瞬何が起こったかわからないが血がぽたぽたと地面に落ちて自分がどうなったのか気づいた。


「ぐは、俺の股間が、股間が」


男は痛みで膝をつき、股間を押さえるがこれってもしかして。


「穿いてる物の上から切ったから、どこが斬れてるかわからないけど股間の物をがちゃんとあるかは確かめておいてね。地面には落ちてないようだけど」


「この女、何しやがる」


別の男が剣を抜いて斬りかかるが、慌てる事もなくその件を受け止めて蹴りを入れる。


「まったく、突っ込めばいいって訳じゃないのよ。これだからちゃんと剣を習ってない我流は駄目なのよ。あと、斬る程の相手でないし」


「くそ、舐めやがって!」


ライリーを押さえた男がまた斬りかかるが、やはり結果は同じ。

それを見て油断しいる男の股間に肘内を入れたが、男の僕からしたらとても痛々しくて悪い人間も同情をしてしまう。


「動かないでください、手元が狂ってどこを刺すかわかりませんので。ただ、もし死んでもこの場合正当防衛で罪にはならないと思いますが、人を殺すのは初めてなの気分が良くないと思います」


 そういって、ライリーは男の頭に短剣を振り下ろすが、短剣は地面に刺さったが男は気絶していた。


「この程度で気を失うのですね」


ライリーは立ち上がるが、僕は慌ててライリーの元に駆け寄る。


「だ、大丈夫?」

「あの程度の蹴りはリアンと比べたら可愛い物です。もちろん、少しは痛いですが足した事はないです」

「そうか良かった。でも、あの(ひと)に助け貰えなかったら大変だったよ」

「はい、確かにわたし1人では対処できませんでした。でも、わたしが犠牲になればブレインが助かりますので」

「僕はライリーを放って逃げれないよ。何もできなかったけど、ライリーだけが犠牲になる事はないよ」

「しかし、ブレインを護るのがわたしの役目なので、ブレインが助かればいいのです」

「だから、僕だけが助かるのは嫌なんだって」


僕とライリーはいつもの様にお互い譲らなかったけど、それを見て呆れた女性が止めにはいった。


「お二人さん、仲がいいのはわかったからここまで。多分、警備兵がもうすぐ来るからここを離れるよ」

「え、でも被害にあったから逃げる事はないと思いますが」

「そうもいかないのよ、男を斬ったからね。正当防衛としても、あれやこれや調べられて2、3日は帰れなの

「そうなんですか?」

「ええ、そうよ。なんせ経験者だからね」


経験者って事は、以前にもこんな事があったって事ことかな。

それが本当ならば、ディランさんと会う約束が守れなくなる。


「わかりました、行きましょう」

「それじゃ、こっちね」


路地に入って反対側へでるけど、本当に大丈夫なのかな。

目撃者がいて、僕達も捕まるんじゃないかと不安。


「逃げても大丈夫ですか?目撃者がいたら困りますし」

「大丈夫、殺しがない限りここの住民は警備兵に何も言わないから。言ったら裏切り者になるからね。

それに、袖の下を渡せば警備兵も黙ってるよ。この地区担当の警備兵なんて問題起こした連中ばかりだからやる気なんてないし」

「そうなんですか」

「ええ、本当よ。とりあえず、ここまでくれば大丈夫かな」


路地を出との川沿いなので、かなりい長い路地だった。

これだと、反対側に周るのも大変だから、あえて隠れてたのか。

街に住んでいるだけあって、相手の方が詳しかった


「助けてくれてありがとござます」

「別にいいって、たまたま通りかかっただけだし」

「いえ、偶然ではないです。わたしたちの後をついてきてましたので」

「ああ、やっぱりわかってか」

「はい。それに聞き覚えある声ですし、師匠」

「流石ライリー、やっぱりわかってたか。そう、わたしはライリー師匠だよ」


 フードを取って顔を見せるけど、僕は顔を知らないかライリーの師匠がこの国で初めて剣聖と呼ばれた女性ルイーズさんという事は知っていた。


「ライリーのお師匠さんって事は剣聖ルイーズさんですよね」

「そうだよ。でも、剣聖ってのは周りが勝手に行ってる事で、あたしはそこまで強くないって」


ルイーズさんが強くなったら、ライリーやすべての女性冒険者が弱い事になりそうだけど僕は黙ってた。


「しかし、師匠がなぜここにおらるのです。たしか、ブレイド領にお戻りになられたのでは」

「いやね、訳あってあんた達の事を護って欲しいっていわれたのよ。あ、依頼主は内緒よ。それでこっそり後をつけてたけど、ライリーは気づいてたけどね」

「頼まれたと言っても、なぜわたしたちが港湾都市に居る事がわかったのです?」

「それも内緒、依頼人の秘密は厳守ってライリーも知ってるでしょ」

「はい…わかりました」


依頼者の秘密厳守と言われたら、これ以上は何も言えない。

冒険者も時々、護衛を頼まれるが依頼主素姓を護衛対象に隠してる場合も、ありその場合は秘密厳守となる。

さらに、秘密裏に護衛をする事もあり、その場合は護衛対象には秘密にしているので護衛対象の前に出てきてはいけないけど

ルイーズさんは秘密裏の護衛じゃなかったのかな。

僕がそれを聞くと


「ああ、本当は出てきちゃダメなんだけどね、かわいい弟子が成長したのを見たくなったのと、あんな男たちに襲われるの見たら助けたくなってね。やっぱり、女の子とイチャつくのは君みたくかわいい男の子か女の子同士じゃないとね」

「はぁ…」


ライリーからとてもいい人だけど趣味が変わってると言ってたけど、きっとこの事だろう。

あと、僕は男の子って年でもない。

でも、すごい人なのに気軽に話ができて、弟子を大事にしているから確かにいい人とは思うけど、なんか腑に落ちない。


「ま、どのみちライリーは気づいてたし、気にしない。この後もずっと護らせてもらうけど、流石に一緒に居る訳にはいかないからここでお別れね。ライリー、強くなったね、師匠として嬉しいよ」

「ありがとうございます」

「後、ブレイン君だっけ、ライリーをよろしくね。じゃ、あたしはこそり、2人を見てるからね」


そう言って、ルイーズさんは僕たちと別れたけど、実際は近くでこっそり見てるんだよね。

でも、ライリーの師匠のルイーズさんがあんな人とは思わなかった。

もっと、厳しい人かと思ったけど、気さくというか変わった人だったけど剣聖と呼ばれるだけあって強いのは間違いなかったな。

お読みいただきありがとうございます。

サブタイトルは元は5話でしたが、6話が正しいです。

正体がライリーの師匠である事を悩みましたが、早々明かしました。

以後も出る予定です。


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@shiizu17

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