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1話 冒険者パーティーの女剣士と後方支援の男

こちらはPixivには投稿していないなろうのみの作品となります。

冒険者パーティーに所属する最弱の後方支援役が主役のお話です。


 一瞬何が起こったかわからなかった。

ただ、わかるのは痛みがあって血が流れている事。

パーティーの仲間が慌てて集まってくるが、どうやらコブリンに襲われたらしい。


「ブレインはヒーラーのソフィアが治療する、他のやつらは逃げたコブリンを追いかけろ!」

「はい!」


パーティーのリーダー、イーサンが指示を出す。


「おい!ライリー!何ぼさっとしてる!早く行け」


しかし、ライリーはイーサンの言葉に反応しない。


「おい!ライリー!返事をしろ!」

「は……はい……」


ライリーは力のない返事をする。


「ライリー、今は戦闘中だ!相手がコブリンだからといって気を抜くな!」

「……はい」

「こりゃ、ダメだ。ソフィア、ブレインの治療が終わったライリーの面倒もみてくれ」

「わかりました」


ライリーは逃げたコブリンを追いかける。


「僕のけが……どうなんです……」

「命にかかわる怪我ではないのですが・・・腕を負傷しています。

神経は傷ついてませんが、筋肉に思った以上に大きなダメージを受けてます。

出血は止まっていますので、ご心配なく。ただ、完全に治せるかわかりませんが……」


ヒーラーのソフィアは冒険者パーティーどころか、この国のヒーラーでもトップクラスで大けがでも治療が出来る。

医学知識もあり、魔法を使わなくても怪我や病気の治療が出来るほどである。

そのソフィアでも治せないけがや病気ももちろんあるが、そのソフィアが完全に治せないというのはかなり酷いのだろう。


「大丈夫、ソフィア、僕は日常生活ができてペンで文字が書ければいいんだから。それに、こんな風パーティーの足を引っ張てるし……」

「そんなことありませんよ。ブレインさんがいるから皆さん、安心して戦えるのです。自分を卑下しないでください」

「そうかな……」

「そうですよね、ライリーさん」

「え、あ、は、はい……」


ライリーは相変わらず生返事をする。


「ライリーさん、しっかりしてください。ミスは誰にでもあります、今は自分のミスを責めてないでコブ

リンがまた襲ってこないか警戒してください。

戦えるのはパーティーの最強女剣士しかいないのですから。また同じミスをするのですか?」

「そ、そうですね……」


ライリーは少し気を取り直したようだが、話の流れからしてライリーのミスらしいがコブリン相手にミスとはライリーらしくない。


「戦闘中に隙を見て逃げた数匹のコブリンの1匹が逃げる際にブレインを襲ったのです……。わたしが気を抜いたら、突破されてしまいました……」


ライリーはパーティー最強と言ってもいいぐらいだけど、コブリン相手とはいえ気を抜くなんて。

コブリン自体は弱いけど、集団となると狡猾なので気を抜く事なんてないからむしろこっちの方が心配だ。


「ライリーは悪くないよ。僕が油断して逃げれなかっただけだから。それより、ライリーがこんなミスをするなんてどうしたの?」

「こんな時も他人の心配ですが?まずは自分の怪我を心配してください」

「いいのです、わたしがコブリンと思って油断しただけです」

「でも、ライリーが油断なんてらしくないよ」

「単なるわたしのミスです」

「でも……」

「ブレインさん、ご本人がこうおっしゃっているのですからこれ以上はやめましょ」

「うん……」


ライリーが自分のミスと言っているが、自分は信じられない。

もし、本当だとしても、ライリーのミスじゃなく、後方でコブリンが来ないと油断していた自分が悪い。

なので、ライリーのせいではない。


「傷はかなりよくなってきましたね。痛みはないと思いますが、まだ動かしにくいと思いますが」


ソフィアの治療によって傷はほぼ治ったが、ソフィアだから短時間でここまで治療が出来る。


「ありがとう、ソフィア」

「これがわたしの役目ですから」


ソフィアはそっけないが、実際はとても喜んでいて照れ隠しだ。


「思ったよりしっかり治りません、これならばあと1,2回治療すれば完全に元に戻ると思います」

「うん、ありがとう」


さすがソフィアだけあって大きな怪我でもほぼ完全に治せた。

今の状態でも全く問題ないけど、確かに突っ張る感じがあるからけども1回ぐらい治療してもらえばいいかな。


「ブレインさんはいいとして、問題はライリーさんですね」


ライリーは責任を感じて落ち込んでいる。

ソフィアは傷や病気は魔法で治せても、心までは治療できない。


「ライリーさん、ブレインさんの治療は終わりましたよ」

「ソフィア……ありがとう」

「今度はライリーさんの番です」

「わたしは治療の必要は……」

「あります、今の精神状態では戦えません」

「……確かにそうですね。でも、ブレインに謝っても受け入れられかわかりません」

「ブレインさんに謝るのは逆効果なので、ブレインさんが言う事を受け入れましょう」

「でも、わたしが……」

「全く、お二人とも頑固なのです。このままでは先に進みません。ここはライリーさんが引く所です。戦いと一緒で、何事も引き際が大事なのです」

「わかりました、ここはわたしが引きます」

 

ソフィアとライリーが話をしてると思ったら、ライリーが僕の方へ来た。

「ブレイン、大丈夫?」

「うん、ソフィアの治療でほぼ元に戻ったよ。ちょっと動かしにくいけどね」

「それはよかったです」

「でも、ごめんね、僕が油断してなかったらこうならなかったのに」

「それはわたしが……いえ、ソフィアが治療できる怪我で幸いでした」

「うん、良かった。ライリーがいるから僕もパーティーの後方支援ができるんだ」

「ありがとございます。大事がなくてよかったです」


ライリーははまたソフィアの方へ行った。


「逆にお礼をされました……」

「これでいいのですよ。戦いは攻めるだけではなく、引く所が大事とライリーさんがおっしょるじゃないですか。

戦いでは引き際がわかるのに、こういう所の引き際はわからないのは不思議です」

「ブレインは苦手なので……」

「意外ですね。パーティーの人達とは普通に話していますのに」

「あの……いいにくいのですが……」

「ああ、そう言う事ですか……」


ソフィアは察しが良い。


「あの……男性を好きになった事は初めてなので……。あ、女性が好きという意味ではないです」

「わかっていますよ。まさかミスの原因は……」

「実は……ブレインの事を考えて……油断してました」

「はぁ……そう言う事ですか。パーティー最強の剣士と言われるあなたも恋をするとこうなるのですね」

「は、はい……」

「だから、あんなに気にしていたのですね。しかし、ブレインさんが好きとは意外ですね」

「冒険者は程度の差がありますが、皆がさつなのです。ただ、ブレインさんは丁寧ですし頭も良いですし、体も細くて守ってあげたくなります」

「守ってあげたいタイプですか。ブレインさん肉体はではなく頭脳でパーティーを支えてますからね」

「はい、ブレインの後方支援があるので、わたし達は前で戦えるのです」


他のパーティーは後方支援を軽視していて、パーティー内でももっと扱いが引くですが

わたしが所属するイーサンパーティーは前線はもちろん、後方支援も大切にしている。

ブレインの仕事は物資の調達と運搬。

水や食料、薬の調達管理に資金の管理も行っていて、地味であるが大事な仕事。

実際、後方支援を軽視したパーティーが全滅したという話をよく聞く。

リーダーのイーサンもかつて後方支援を軽視して、水と食料不足になりパーティーが壊滅して自分だけ助かった反省で、今は後方支援を大事にしてる。

なので、ブレインはパーティーの中でわたしと同等かそれ以上の発言力がある。

見た目は気弱に見えるが、イーサンに対しても間違えてる事は間違えてるといい

出来ない事ははっきりと出来ないと言えてて物怖じしない所がわたしは好きになった。

今までもパーティーの仲間として大事にしてたが、ここ最近は一人の男性として意識するようになった。

そして、今日の戦いではブレインに「今日もがんばってください」て言われて嬉しくなってしまい

戦闘中に浮き立ち立ってミスをしてしまったのだ。


「パーティー最強の剣士様も恋をすると一人の女の子ですね」

「わたしはもう22歳で女の子とという年齢ではないかと思いますが」

「22歳は女の子よ、わたしなんて30歳です」

「見た目はわたしと変わらないですが」

「それは若いって意味で褒めてると受け取りますね。パーティー内の恋愛は禁止じゃないからかまいませんが、戦いの最中は集中してくださいね」

「はい、次からは気を付けます」


わたしは反省をすると、逃げたコブリンを追ったライリー達が戻ってきた。


「戻って来たぞ。逃げられそうになったが、全部仕留めた。これでしばらくは大丈夫だ」

「ご苦労様です」

「お疲れ様でした」

「おう、ありがとな。ところで、ブレインは大丈夫か?」

「ええ、治療は出来ました。ほぼ完全に治りましたが、あと1,2回念の為、治療をした方が良さそうです」

「そうか、流石ソフィアだ。ライリー、おまえの方はいいのか?」

「はい、大丈夫です」

「それはよかった。お前らしくないが、ブレインに惚れたからって戦いの最中は集中しろよ」

「あ、あの……言ってないのになんでわかるのですか?」

「態度を見ればわかるぞ。ライリー、おまえは思っているより態度に出やすいからな」


イーサンが笑うが、イーサンはリーダーだけあって皆をよく見ているけどまさか気づいかれていたとは思わなかった。


「今回はおまえのミスだが、ブレインの事だから自分が悪いって言ってるだろ。あいつはそういうやつだからな。無理に謝るより、あいつの言う事を受け入れてやれよ」

「は、はい」


イーサンはわたしたちのやり取りを見ていたように言うが、本当にみんなの事がわかっている。

本当に頼れるリーダーだ。


「仕事が終わったから、帰るぞ。仕留めたコブリンのコアはここにあるからブレインに渡しておいてくれ。

帰る前に点呼を取るぞ、全員集まれ」


 コアは魔物を倒すと出てくるもので、これが仕留めた数となる。

今日は20匹と結構な数だった。


 集合がかかったので、僕も皆の所に集まる。

この時、ライリーからコブリンのコアを受け取ったが、20匹はなかなかの数だ。

コアは報酬となるけど、コブリンは1匹あたりは安いけど5匹事に30%増となるので、20匹なら120%増だ。

さらに今回は特別討伐依頼でこの時点で通常の3倍の依頼料になるのでコブリン討伐と考えればかなりの報酬となる。


「今回はアクシデントがあったが、今回も1人も欠けることなく依頼をこなしたい。ただ、街に戻るまで油断するな、帰るぞ」


パーティー全員揃い街へ戻る。

僕の所属するイーサンパーティーはリーダーのイーサン、剣士のライリーとアルマン。

戦士のアルマン、魔法使いのヒューゴさん、ヒーラーのソフィア、後方支援でポーターのクロエ、そして僕を入れて8人。

後方支援が2人いるが、クロエはライリーから剣を習ってそれなりに戦えるので時々、戦闘に参加している。

一方僕は身を守る程度の剣は習ったけど、戦闘には出られない。

なので、完全な後方で物資を管理していてパーティー最弱どころか、全冒険者パーティーで最弱と思う。

こんな僕が冒険者パーティーをしているのは、12歳の時に家の火事があり両親を亡くし

一人残されて身寄りのない僕を父の親友であったヒューゴさんに引き取ってもらった。

父も母も元は冒険者だったが、父は僕と同じく後方支援をやっており商人とも繋がりがあり

母と結婚して引退してから商売をしていた。

僕も父の店を継ぐつもりで、商売の勉強を10歳からしていて火事があった日も勉強のために家にいなかったが

帰ってくる時に家の方角から煙が上がってるのを見て、慌てて家に向かったついた時には火の勢いが手が付けられる状態ではなかった。

焼け跡から2体の死体が発見されたが、完全に骨になっていて判別は出来なかったが火事の後、両親と連絡が取れなかったので両親とされた。

呆然としていると、火事を聞きつけてヒューゴさんが駆けつけてきて僕をすぐ引き取ってくれた。

ヒューゴさんに引き取ってもらった後は商売の勉強をしたが、ヒューゴさんが僕が知らない父と母の冒険者時代の話をしてくれて

その話を聞いて僕も冒険者になりたいと思い、ヒューゴさんに言ったが最初は駄目とと言われた。

しかし、15歳の時、イーサンパーティー(当時のリーダーは先代)の後方支援係のパトリックさんが引退すを決めたが問題はその後継者がおらず、引退できないことであった。

そこで再度ヒューゴさんに僕が後継者になると言ったら、最初は渋ったが何度も頼み込んで1度会って

駄目だったら諦めるという事でパトリックさんと会ったが

僕の知識や管理能力、計算能力を認めてくれて弟子という事で冒険者パーティーに入った。

当初は2年間修行として一緒に仕事をする予定で会ったけど、パトリックが引退の原因になった病気が悪化し

予定より1年早く僕1人で後方支援をすることになった。

最初は力があまりなくて荷物をあまり運ぶ事が出来ず、皆に手伝ってもらったけど2年後にクロエが加入。

クロエは僕より身体が小さい女の子だったけど、入った13歳の時点で僕より重い荷物を持てた。

ただ、物資調達は僕の仕事でパトリックのコネと父の友人であった商会ギルドのオードリックさん協力もあり上手くこなしていった。

もちろん、色々問題はあったけど、周りのみんなが助けてくれた。

今ではちょっとした無理も聞いてくれて、パトリックさんに負けないぐらい皆を支える事が出来ている。


 しかし、今回の事で僕がみんなに迷惑をかけてるんじゃないかと思いだした。

後方支援は大切な仕事で、パーティーを支えるてのは僕だとみんないうけどイーサンがいるから

パーティーがまとまっている訳で僕なんか物を買ってくるだけで、運のはクロエだ。

クロエも皆と商人や商会ギルドの人達と顔なじみになったし、計算も知識も僕と同じぐらいだから

きっと僕が居なくても大丈夫だろう。

怪我はソフィアが治してくれたけど、戦えない僕がここに居たらまた迷惑をかけると思う。

あと、僕はやっぱり冒険者があってないと思うし、8年間働いてお金もかなり貯まって商売を始めるには十分すぎるし

コネもできたから冒険者をやめてもいい頃かな。

ただ、今すぐやめる訳じゃないけど、パーティーを抜ける事はイーサンに告げる事にして皆と一緒に街へと帰って行った。

お読みいただきありがとうございます。


最弱のキャラが実は最強ではなく最弱のままで

さらにパーティーから追い出されるのではなく自ら抜けるという形にしています。

ただ、最弱は戦闘能力という意味でですが。


ツイッターではいろいろつぶやいています。

@shiizu17


キャラクター

ブレイン 23歳

主人公でパーティーの後方支援担当で戦闘に能力はほぼない。

ただし、物資調達、計算、資金管理、商人とのコネなど後方支援に関するスキルは最強。


ライリー 22歳

パーティーの剣士で最強と呼ばれている。


イーサン 45歳

パーティーのリーダー。

歴戦の冒険者。

かつて後方支援を軽視し、自分だけ生き残った経験から後方支援を重視している。

そのため、ブレインの存在は重要としている。


ソフィア 30歳

パーティーのヒーラー。

医学、薬学の知識があり医者でもある。

国一番のヒーラーで、通常では治せない大けがも治療可能ではあるが限界はある。




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