わずかな生存者達
操縦室からの声を聞き、生存者4人は沈痛な面持ちになった。
表情を硬くするもの。
泣いてるもの。
目を閉じて冥福を祈るもの。
怒りをどうにかおさえるもの。
誰もが操縦室に残った仲間の最後を悼んだ。
だが、そのおかげで脱出艇を動かす事が出来た。
彼が注意をひいてくれたおかげで、4人は船外に脱出出来た。
この作戦には賛同しきれなかったが。
「でも、全滅するわけにはいかない」
そういって操縦室に残るといった者は、4人の脱出を促した。
そうして船の外に出た4人は、資源運搬船の方を見る。
操縦室のあたりで爆発が起こったのを確認する。
「やったのかな?」
「どうだろうな……」
引きずりこまれた怪物が爆発に巻き込まれて死んでれば良いのだが。
結果は分からない。
ただ、確実に通信を送っていた者は死んだ。
それだけは確かだ。
船内にいたあいつ…………化け物は分からないが、人間があの爆発に耐えられるわけがない。
せめて、化け物も道連れにして欲しいと4人は願った。
でなければ、犠牲を買ってでた彼が報われない。
それでも彼らは帰還に向けてするべき事をやっていく。
最寄りの植民性星の割り出しと、その方向への移動。
緊急事態を告げる通信の発信。
集める事が出来た情報の整理。
報告書の作成。
今やれる事をこなしていく。
また、念のために脱出艇の外に出て、様子を確かめる。
資源運搬船にいたあいつのがいないかどうか。
確認しない事には安心できない。
幸い、船内にいた化け物の姿は無い。
少なくとも船外にそういったものはいなかった。
それを確かめて、4人は安堵した。
あとは植民星までの航海。
それを成功させるだけ。
現在の速度だと20日ほどで到着する予定だ。
保存食もあるので、それだけの期間なら食いつなぐ事は出来る。
念のために冷凍睡眠も使い、食料の消費も防ぐ。
4人は交代で冷凍睡眠に入り、20日を過ごした。
途中、植民星から来た救助船と合流。
無事に保護された。
そこで起こった出来事を報告。
政府など関係機関にも通報。
資源運搬船で起こった事が伝わった。
生存者の4人は即座に破壊する事を提案していった。
それは申し出というより、脅迫に近いものがあった。
資源運搬船の中に入ってきたものはそれだけの脅威だった。
しかし、政府はこれに懐疑的だった。
本当にそんな存在がいるのかと。
例え本当でも、船内調査をしないわけにはいかない。
調査隊が編制され、資源運搬船内を調べる事になる。
念のために軍も加えて。
最悪の事態にそなえ、資源運搬船を破壊するための軍艦も伴って。
そして船内に入って調査隊は悲惨な目にあう。
事前に情報を得ていたが、船内に潜んでいた化け物相手に壊滅した。
最後の生き残りが船内で死に絶えたところで、軍艦による攻撃が開始された。
資源運搬船ごと中にいる存在を破壊する。
核攻撃によって巨大な資源運搬船をまるごと一気に消滅させる。
ここに一連の騒動はようやく集結した。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を
面白かったなら、評価点を入れてくれると、ありがたい