3話 孤高の魔女
すいません、投稿遅れました
「んんー今日もいい天気だね!」
海が近いからか少し肌寒い風が眠気を覚ます
グッと身体をほぐすために軽く体操をする
「シオリー身体の調子はどう?昨日水浸しになったけど大丈夫?」
根っこを動かして器用にテントをしまってくれているネオ君が私のことを心配してくれた
「全然大丈夫!めっちゃ元気だよー!」
「その様子なら大丈夫そうだね」
安心した様子でネオ君は私を見てきた
「キューちゃん起きてー!もう朝だよ」
芝生で包まって寝ているキューちゃんをペチペチ叩いて起こす
「キュ…」
「あら、可愛い飛竜ね」
「そうでしょ!キューちゃんは凄くかわ――って誰?!」
なかなか起きないキューちゃんを眺めていたら私の隣に見知らぬお姉さんが私と同じくキューちゃんを眺めていた
「シオリ――!」
ネオ君が根っこを動かしお姉さんから私を離しつつお姉さんを拘束し始めた
「いきなり怖いことするわね、これじゃ動けないじゃない」
「一応契約者…ご主人様は守らないといけないからね」
「ふーん、まさか精霊と会うなんて…それも契約してる獣人族が居るなんてね」
ネオ君の根っこで身動き一つ取れないお姉さんがジロリと私を見てくる
「ネオ君?別にこのお姉さん悪いことしてないし根っこを解いてもいいんじゃない?私もちょっと驚いただけだよ?」
「いやいや、これでも僕は周囲を警戒していたんだよ?それなのに気づかずシオリに近づいた…何者?」
《鑑定を阻害しました》
不思議な声とともになんとも言えない不快感が身体を襲う
ブルリと身体が震えて急な不快感に私は頭を抱える
「シオリ?!」
「今の…鑑定を阻害――お姉さんがやったの…?」
「あら、まさか弾かれるなんて…私より強いのかしら?そこの精霊は見れたのだけれど」
鑑定、ゲームとかで良くあるのなら対象の人や物の情報を読み取れるやつだったっけ?それを私に向けられたんだ
阻害…ってことは私のステータス?は見れなかったんだね、多分エヴァちゃんのおかげだよね
「鑑定――なるほど僕のステータスを読まれたって事は僕より相当強い…か」
「まっそういうことね、こんな拘束…すぐに抜け出せるわ」
お姉さんの姿が一瞬ブレて見えて気づいた時にはネオ君の横にいた
「テレポート…珍しい魔法をこうもあっさりと、はぁこれは僕勝てないなぁ」
今は魔法なの?!一瞬で移動する魔法…凄い
「別に貴方達と争うつもりはないわよ?面白いと思って接触してみただけで敵対するつもりは無いわね」
「そう言われても信じる方が難しいね」
ネオ君は未だに根っこの先を尖らせてお姉さんに向けて警戒している
「まっそうでしょね、そこの飛竜も寝たふりしてずっとご主人様を守っているみたいだし…ねえ、そこの獣人族のお嬢さん、お名前は?」
「名前?シオリだよ」
「シオリね、覚えておくわ…じゃあまた会いましょ――テレポート」
そう言ってお姉さんは姿を消してしまった
「消えちゃったね」
「シオリ、怪我とかない?さっき頭抱えてたけど大丈夫?」
ネオ君が根っこを私の頭に優しく触れる
「大丈夫だよ、ちょっと不快感でざわざわしただけだから」
「なら良いんだけど――」
「キュー!」
キューちゃんが起きてきて私の頭の上で飛び始める
あのお姉さんがいうにはキューちゃんも私を守ろうとしていたんだっけ?
「キューちゃん私を守ってくれてありがとね!もちろんネオ君も!」
「キュー!!」
「……シオリが居なくなったら僕は獣人族の国に行けないから仕方なくだよ」
おお!いつもクールな感じのネオ君が顔を赤くして照れてる?!ちょっと新鮮かも!
「朝ごはん食べたらまたアクスアに行こうよ!昨日はすぐに外に出ちゃったから街の散策がしたい!」
「うん、シオリに着いていくよ」
「キューキュー!」
アクスアに到着すると門番さんが驚いて私たちを見てきた
外に出たっきり帰ってこなかったから心配していたみたい
「あれ?なんか昨日より街が賑わってる?」
「なんか海の方から人の声が沢山聞こえるね」
それにすごく良い匂いが声の方向から漂ってくる
その方向へ向かってみると凄い大きなイカが砂浜に横たわっていた
「凄っ!何このイカ?!」
「キュー!!」
「おっ!嬢ちゃん、旅の者か?こいつはここ最近ずっと海にいたクラーケンって魔物だ」
大きなイカに驚いている私を見て親切なおじさんがこのイカについて教えてくれた
このイカのせいで漁が出来なかったらしい
「こいつ…昨日シオリを襲った触手だよね」
「大きいとは思ってたけど想像以上だったよ!」
イカをよく見ると剣のようなもので斬られた傷があったり頭のところに穴が空いていた
「孤高の魔女さんのおかげだな!」
「孤高の魔女?」
その人がこのイカをやっつけたのかな?
「なんだ嬢ちゃんは知らないのか?魔法はもちろん剣や体術も使えるマスターランク冒険者だぞ」
「マスターランク冒険者…魔女っていうくらいなら女の人だよね?」
「ああ、容姿も凄く美人だったぞ」
綺麗な女の人、魔法使い…もしかして――
「シオリ、その孤高の魔女って――」
ネオ君も気づいたみたい
「朝いきなり現れたお姉さんだよね、不思議な人とは思っていたけどそんなに凄い人だったんだね!」
「キュー!」
ネオ君と小声で話しているとキューちゃんがさっきからずっと良い匂いのする方向へ飛んでいってしまった
「キューちゃん?!私も気になってたけど1人…1匹?でいくと騒ぎになりそうだから待ってよ!」
「キューちゃんってシオリに似てるよね」
呆れた顔をしたネオ君が私を見てくる
「笑ってないでキューちゃんを追いかけてー!私の足じゃ追いつかないよ!」
「はいはい、じゃーご主人様?ちょっと揺れるよ」
ネオ君は根っこを伸ばして私の腰を掴み私はふわりと宙に浮いた
「わわっ!ネオ君?!」
「しゅっぱーつ」
「一体何を――っ!」
ポンポンと身軽そうに屋根上を飛びネオ君は私を連れてキューちゃんの元へと向かうのだった
*補足説明
鑑定が阻害される条件としては相当な格上又は神や管理者の加護持ちです。多少の格上だと普通に見えます。ただし格上相手だと見られた時にバレます。
格上で阻害した場合は特に身体に異常はありませんが格下なのに加護で阻害した場合激しい頭痛に襲われます。シオリは加護で阻害しつつ頭痛も軽減しているためただの不快感だけで済んでいます。




