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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【決定版】ハイファンで書籍化を狙う貴方がすぐに〝タイトルを長文すべき理由とそのやり方〟

作者: 虎戸リア


*最初に(飛ばしてもいいよ)*


 まず明記しておきたいのは、これから下で語られていることは基本的に私の経験と偏見と独断に塗れている。それを予めご了承願いたい。なんせ創作というものはいつだって正解・不正解があやふやであり、何が正しいかは結局己で確かめるしかないからだ。

 また、基本的にここで語るジャンルは〝ハイファンタジー(略称ハイファン)〟に絞らせていただく。ただし、ある程度他ジャンルでも有効ではあるので、知っておくだけでも損はない。また当然投稿サイトはこの〝小説家になろう〟を前提にしている。カクヨムでもある程度結果は出せたが、まだ確証には至っていないのでこれについては今後のアップデートを待たれよ。


 さて。まずは私の話を軽くしよう。私もかつては〝長文タイトルとかクソ。誰がこんなクソダサタイトル付けるかよ!〟とイキっていた時期があった。しかし試行錯誤を重ねた結果、


【書籍化する為、つまりランキングを上がる為には長文タイトルは必須】


 という結論に行き着き、結果としてハイファンで下記の結果が出せた。


・3作品でジャンル別日間1位

・日間総合1位が1作品

・日間総合表紙入りが2作品


 そしてありがたいことにそれぞれ書籍化・コミカライズが決定した。あ、石を投げないで……! これはただの自慢ではなく、これらの実績が全て長文タイトルのおかげだと認識しているからである。


 というわけでこのエッセイでは、書籍化を狙う為に長文タイトルにすべきその理由と、〝じゃあ長文タイトルってどうやって付けたらいい?〟 という疑問を持つ方にも、分かりやすく長文タイトルの付け方を説明していきたい。


 心配することはない。長文タイトルは――


・タイトルを付けるセンスがなくても出来る

・構造さえ分かれば誰でも付けられる

・ランキングを上がる為なら極めて有効な手段である


 というわけでグダグダと最初に語ってしまったが、まずは長文タイトルにすべきその理由について語りたいと思う。





*今すぐ長文タイトルにすべきその理由*


 まず、長文タイトルとはなんぞや? というところから軽く入りたいと思う。長文タイトルの定義は極めて曖昧だが、ここで私の言う長文タイトルとは下記と定義する。


・なろうにおいてタイトルに付けられる限界文字数100字全てを使った――【()()()()()()()


 そう。そもそも長文タイトルとは、タイトルですらない。つまり、私はこう言いたいのだ。


【作品にタイトルは不要、コンセプトを表記せよ】


 これが、長文タイトルにすべき最も大きな理由である。つまり、作品にタイトルを付けるという極々当たり前の行為が、実はなろうのランキングにおいては不利になっているのだ。





 ここで例を挙げてみよう。自作で恐縮だが、


 冒険者ギルドの万能アドバイザー ~【器用貧乏】と言われ勇者パーティーから追放された【魔法剣士】だけど、剣術も魔術も教えられる【万能講師】なので愛弟子に魔王討伐を託すことにした


 という長文タイトルの作品がある。見ていただいて分かると思うが、これはタイトルではなく作品のコンセプトを書いているだけ。読んだだけでパッと分かるのが、


・冒険者ギルドのアドバイザーが主人公

・器用貧乏な印象がある魔法剣士

・それが講師になった


 といったところだが、勿論他にも色々な情報が見えてくる。


・育成ものである

・弟子が勇者枠の存在である。つまり追放した勇者は落ちぶれるのが確定=ざまあが約束されている


 こう言った情報をタイトルから読者達は読み取って、読むか読まないかを判断しているのだ。何なら、これだけで大体のあらすじが見えるので、あらすじを飛ばして即本文に飛ぶ場合もある。


 よって情報量の少ない短文タイトルは極めて不利になるのだ。例えば全く同じ内容でも、


 マジック&ソードマスターレドとその弟子達

 

 というタイトルを付けていたら多分、ランキングにすら入らなかっただろう。なぜならこのタイトルからはコンセプトが見えにくいからだ。





 ランキングを上がるのに必要なのは――


【コンセプトの可視化】


 なろうには日々、膨大な量の作品が投稿され、ランキングでしのぎを削っている。当然その全てを読者が追えるわけがない。では、読者はどうやって〝読むべき作品〟を見つけるのか。


 一部を除いて、ほとんどの読者がランキングを使っているはずである。ランキング上位作品ならきっと面白いに違いないという期待感も持てる。ならば、ランキング内でどうやって選別しているのか。


 まずは自身でランキングを一度見て欲しい。特に今は読者もスマホ勢が多く、もし貴方が今これをスマホで見ているのなら、スマホ版のランキングを一度確認して欲しい。


 そう――


 スマホ版のランキングを無操作で見た場合に、情報として分かるのはタイトル、順位とポイント、そして作者名だけである。(細かく言えば文字数とか全何部とかもあるが……)あらすじは、ワンタップしないと可視化されない。


 ランキングを見た時に最も目に付くのはタイトルなのだ。そして読者は数多とあるタイトルの中から、自分の好みの作品や読みたい作品を選ぶ。さらにハイファンとは、とかく自由である。どんな設定や世界観でも許される。ゆえに――玉石混交になってしまう。読者はそんな中から好みの作品を選ばないといけない。


 これは結構、いやかなり大変な行為である。


 これを念頭に置いてランキングを上がっていく為には、まずは読んでもらう必要がある。つまり、自作のタイトルを選んでもらう必要がある。


 ではどうやって読者に選んでもらうか。


 話はシンプルだ。


 読者はこういうのを読みたい、こういうのが好きという漠然としたモヤモヤを抱えて作品を探している。ならば、そういう読者に、


【貴方が読みたいのはこういうのでしょ? 貴方が好きなのはこういうのでしょ? ほら、読みたまえ】


 と訴えることが出来るタイトルを付けることだ。それが何かというと――コンセプトに他ならない。


 ここで言うコンセプトとは、【AがBになってCをしたら面白いだろうなあ】という考え、もしくは作品を構成する主要素の集合体であると私は定義する。それはつまり、【読者はこういうの好きだろうなあ、こういうの読みたいだろうなあ】の具現化なのだ。


 例えばここに、ラタトゥイユという料理がある。知っている人はもちろんそれが何か分かるだろうが不特定多数はそれが何か分からないと仮定する。もし、それを多くの人に食べてもらいたいと考えた時に、


・ラタトゥイユ


とただそのまま表記するか、


・ラタトゥイユ ~南欧風の、色んな野菜を使ったトマト煮込み~


と表記するかの違いだ。前者だと、知っている者しかおそらく注文しないだろう。だが後者なら何か分かるし、「あ、丁度そういうの食べたかった!」という需要も満たせる。


 これがざっくりとした、短文タイトルと長文タイトルの違いであり、長文つまりコンセプトをタイトルにすべき理由なのだ。





 コンセプトの可視化は書籍化打診に繋がる、編集者達の目に留まりやすい。各レーベルの編集者達は多忙だ。そんな彼等が、まだ見ぬ原石を見つけようと日々ランキングを精査しているだろう。


 彼等は、


・レーベルのターゲット層に刺さる作品

・自レーベルで足りない(もしくは欲しい)作品

・自分の好みの作品


 などと言った確固たる目的を持って作品を探していると想定できる。つまり、読者よりもっと明確にコンセプトを探しているのだ。


 そんな彼等に対して、長文タイトルつまりコンセプト表記はとても分かりやすいアピールになる。こういうコンセプトの作品です! と、でかでかと掲げることで少しでも目に留めてもらい、読んでもらう確率を上げるのだ。


 ヒッチハイクしたいのなら、文字は大きく、見やすく書くべきだろう。わざわざ名刺サイズの紙に小さく書く必要性はない。


【まとめ!】

 タイトルを長文(コンセプト表記)にすべき理由とは


・読者の求めるコンセプトを表記することで、彼等の需要を満たし読んでもらえる可能性が高くなる。短文タイトルだと、読者はそれが本当に求めているものかを判断するのに、あらすじを確認するという二度手間が発生してしまう


・よりシビアな目線で作品を探している編集者達の目に留まるには、短文タイトルよりも、一目でどういう作品か分かるコンセプト表記のほうが向いている






*虎式、簡単な長文タイトルの付け方*


 ここで説明することは実はさしてない。なぜなら、長文タイトル=コンセプト表記であると理解できれば簡単にタイトルを付けられるからだ。


【コンセプト――つまり作品の最も面白い要素を抜き出して、100字にまとめるだけ】

 

 ただし、まとめ方にもコツがいくつかある。


 というわけでそのコツを語っていこうと思う。





【コンセプトにある程度ストーリー性を持たせる】

 

 例えば、上の例に挙がっていた自作


  冒険者ギルドの万能アドバイザー ~【器用貧乏】と言われ勇者パーティーから追放された【魔法剣士】だけど、剣術も魔術も教えられる【万能講師】なので愛弟子に魔王討伐を託すことにした


 これを分析してみよう。


 ここでポイントなのは、重要な要素にカギ括弧を使っている点だ。これはコンセプトの中でも更に可視化を促進した結果である。つまりそこが軸になっているということだ。


 カギ括弧の中身を抽出してみよう。


 【器用貧乏】(な)【魔法剣士】(が)【万能講師】(になる)


 これだけで主人公のストーリーになっている。あとはこれに他の要素を足した結果が、上のタイトルとなるのだ。


 大事なのは――


・主人公が何者で

・どういう立場からどうなって

・何の力を得て、もしくはどういう環境になって

・最終どうなるのか


 を書くこと。短文タイトルを付ける為に必要なワードセンスもいらないし何も難しいことはない。





【流行りや市場を意識したコンセプトを作ろう】


 そもそもコンセプトが魅力的でないと読まれないしランキングも上がらないし、書籍化打診も来ない。ではどうやって魅力的なコンセプトを作ればいいか。


・ランキングの流行りを分析する

・市場(商業作品)の流行りを分析する

・上の分析に、自身の好みをかけ算する


 以上である。


 例えばランキングで、店舗経営物が流行っていたら、そういったコンセプトがウケる可能性が高い。ただしランキングは流動的なので、乗り遅れる可能性もある。商業の流行りの場合は、売れ筋の作品やSNSなどでよく目にする作品などを分析してコンセプトを抽出してみよう。


 例えば、ギルド嬢が無双する作品が売れていると思ったら、近いコンセプトで組み立ててみる――などである。(もろパクリは勿論駄目、絶対)


 特に市場は意識すると、編集者達の目に留まる可能性が高い。似た用な売れ筋の作品を探しているかもしれないからだ。最近はランキング上がっても声掛けがないと嘆く人もいるが、それは単純に市場で飽和したコンセプトで書いているだけ。ランキングの作品だけを追い掛けているとこういうことも起こるので、市場は定期的にチェックしよう。


【分析によって――書くべきコンセプトだけではなく、書いても打診が来る可能性が薄いコンセプトを回避することが出来る】


 これ、重要。





【それでも良さげなタイトルが付けられない貴方へ】


 やったけど、なんかランキングの作品とは違う感じで、イマイチ。と嘆いたことのある人もいるだろう。もう一度ここではっきりさせておくが、


【コンセプトが駄目なら、どんなタイトル付けても駄目】


 タイトル以前の話で、コンセプトが面白くない、読者の需要を満たしていないのなら、誰も読まない。


 実はコンセプトが面白いかどうかは、タイトルにした時に判別できる。そのタイトルに魅力を感じないのなら、少なくともコンセプト時点で間違っている可能性が高い。


 コンセプトを100字にまとめるのを、もし難しいと感じる人がいたとすれば、それはおそらく無駄な要素を入れすぎているからだろう。100字綺麗にまとめられるぐらいに、コンセプトに対する解像度を高めるのもまた作品の質に繋がる。


 これは私の話だが、タイトルを付ける際にコンセプトが変わりまくるのは良くある。


「あー、この要素はいらんな」

「いや、これ入れたらもっと良いな」


 などの試行錯誤をくり返して、100字にまとめるのだ。


 こうして無駄をそぎ落として付けたタイトルは、まさにコンセプト表記という名に相応しいものになっているはずだ。それが読者層に刺されば、間違いなく読まれる。


 あとは作品の質次第だ。ここは各々の努力で頑張っていただきたい



【まとめ!】

 長文タイトルの付け方は――


・コンセプトに、主人公を軸としたストーリー性を持たせる。

・流行りを分析して取り入れる、飽和してそうなコンセプトは避ける

・無駄をそぎ落として、簡潔にコンセプトを表す


 これらを意識して長文タイトルを付ければ……ようこそ君もハイファン戦士だ! さあ一緒にランキングで殴り合おうぜ! そして商業(ヴァルハラ)で会おう!


 一度付け方が分かれば後は簡単。要素を置き換えて、言葉を変えれば良いだけ。レッツトライ!


 


【最後に】


 短文タイトルをまるで悪かのように扱っているが、そんなことはない。ただしランキングを上がる為には、相当なワードセンスを要求される。これを万人に求めるのは難しいと思う。少なくとも私には無理だ。なので短文タイトルでのし上がった作者は神。


 よって、長文タイトルと言う名のコンセプト表記が許されるなろうでは、遠慮無くセンスゼロのタイトルで無双すればいい。



 どうせ、書籍化したら嫌でもタイトルは短くなる。気にすることはない。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の行w 内容も分かり易い。 [一言] そういう事なんだろうとは分かってたけどさあ! で踏み切れないのが私だな。分かってるけども……!! だ。 成る程~~で囲った分はコンセプトとするとの…
[良い点] はじめまして! とてもわかりやすくて、なるほど! と唸る御作でした。素晴らしいお話をお聞かせいただきありがとうございました!!
[一言] 個人的には昨今の長々したタイトルってそこまで必要か?とは思うけど、一方で簡潔なタイトルだった作品が書籍化するときにえらく長々とハーレムだと説明するような副題をタイトルに付け加えてたのをみると…
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