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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「始まりの物語」
14/60

ベールに包み込まれた毒

追加出来ない。何故?と思ったら完結済になってました……。いつ、触ったんだろ……?


 自警団は解散した。何故か抵抗することなく、荷物をまとめて街から去っていく。永久追放という言葉が、一番効果があったのだろう。文句は言いながらも、その日のうちに全員いなくなっていた。


 だが、これで終わりではない。


「数名から、有力な情報を得ましたので報告します。酒の席で、ヘザーがオレは裏社会と繋がっているから、殺したい奴がいれば殺してやるぞと言っていたそうです」


 我が身可愛さにヘザーを裏切った者達からの情報を、ソニアはアルザスに報告した。

 今月分の給料を取り上げられて追放された自警団だが、情報を提供すれば貰えるという取引を一部の者と行った結果がこれだ。


「やはり、そういうことか。証拠をもう少しつかめれば、ヘザーを捕らえられるかもしれないが……永久追放に素直に従うような奴とは思えん。しばらくは警戒を怠るな」

「はい」


 ソニアは一礼してから部屋を後にすると、ヴェロニカが名前を挙げた12名が待機する部屋へと向かう。ヘザーに気づかれないよう、気を付けながらここへと連れて来たため、まだソニアは彼らと会ってはいない。


「失礼します」


 ドアをノックしてから部屋へと入る。落ち着く香りが漂う薄暗い部屋には、白銀のストレートヘアの女性「ネオン」がいて、彼らと談笑していた。


「ご苦労様。アルザス様への報告は済んだのね。それじゃあ、始めましょうか」

「はい。お願いします」


 ネオンは、1人ずつ奥のカーテンに遮られた場所へ連れていく。1人、数分で交代していった。

 彼女は、人間ではない。妖精族と呼ばれる種族であり、人間が使えない魔法が使える。ネオンはヒーリングが得意であり、彼らにコネクトしてカウンセリングをする。

 カウンセリングの後は、ソニアの仕事だ。新たな自警団で働く気はあるかを確認していく。12名全員、自警団として働きたいという返事を貰え、ソニアは内心ほっとしていた。

 前に使っていた場所は何かあったら困るという理由で、別の宿舎を用意しておいた。そこへ移動してもらう。

 別の騎士に案内されて城を後にした12名を見送り、ソニアはとりあえずは一歩前進したかと息を吐く。


「ふふ、お疲れの様ね。ソニアにもやりましょうか?」

「いえ、大丈夫です。まだやるべきことはありますから」

「……彼らは、ヘザーのことを怖がっていたわ。本当に酷いことをされて……。また必要になるかもしれない」


 コネクトしたことで見えた過去。ヘザーから受けた仕打ち。最悪なことにならなくてよかったと思うほど、酷いものであった。身体に痣や傷跡が残っているだけではない、心も傷を負ったのだ。――それでも、自警団という仕事が嫌いなわけでは無い。彼らの意思に敬意を示し、ソニアは新たな自警団を作り上げるために努力することを改めて誓った。

 ネオンは、そんなソニアを見て微笑む。


「ソニアは真面目さんね。そんなソニアにはい、これ」


 それは、彼らのカルテ。ネオンは相手にコネクトしたついでに、何かないかと探っていたのだ。


「嫌なことって覚えているのよね」


 フェイスベールを着用した人物とヘザーが密会しているところに出くわし、その後暴行されて誰にも言うなと言われた記憶。


「怪しいですね」


 顔ははっきりと覚えていないが手に持っていた扇子から漂う香り。あれは……


「白檀」

「ネオン?」

「白檀の香りがする扇子……」


 ネオンが城にいる理由はこれだ。相手にコネクトし、記憶を見るだけではなく、その時の香りなども分かるという能力。


「フェイスベールに白檀の香りがする扇子……これは有力な情報となりそうですね。アルザス様に報告してきます」


 ソニアはアルザスの元へと駆け出した。見送ったネオンは、深呼吸をして仕事用の椅子に腰を下ろした。さすがに、12名を連続で見るのは疲れる。しかも、見る内容が悪い。火が付いた葉巻を押し付けられたり、恋人を寝取られた人もいた。


「うーん、永久追放じゃなくて牢獄へ放り込みたいわね。ヒースクリフのためにも」


 ヒースクリフとは数回話したことがある程度ではあるが、この街の事を真剣に考えてくれる人物だと認識していた。

 ネオンは、引き出しからスクロールを取り出した。それはアルザスから渡されたものだ。


「……今すぐにやってもいいくらいじゃないかしら?」


 書かれている内容に目を通し、息を吐く。

 相手の心を救うために使うコネクト。基本的には、相手が触れられたくない記憶には触れないようにしているが、当然のことながら触れられたくない記憶に無理矢理干渉できる。――その代償は、相手の精神を破壊してしまう可能性かあるというもの。

 ヘザーがもしも尻尾を出さなかった場合はそれを行うこと。アルザスの命令だ。


「すべてはジャクリーヌの未来のため」


 やっと、ここまで来た。だからこそ、邪魔なものは排除しなければならない。


「……ヒースクリフの存在は必要不可欠」


 街の人に信頼されていたヒースクリフが、戻って来れることを願いながら、ネオンは灯りを消したのだった――――。


「妖精族」

 見た目は人間と変わらないが人間の倍は生きる。特殊な能力持っていて、王族や貴族の元で働いている。

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