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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「始まりの物語」
13/60

モグラに彼岸花を

サブキャラに悩んで名前をつけました。さすがに、サブキャラまで男子禁制に出来ない……。

 王子とリリベットが別室で議会を見守る中、自警団の現状をヴェロニカが喋っている。その内容に、議員達は嫌悪を表に出していた。

 

――だから、傭兵に任せるのは反対だったんだ。


 ヒソヒソと話している声が耳に入り、椅子に深く腰を下ろして話を聞いていた大臣「アルザス」が咳払いをして、睨みつけた。


「傭兵を雇うことについては、全員賛成したはずだが?」


 そう言われれば、黙るしかない。深々とため息をついたアルザスはヴェロニカに話を続けてくれと促した。

 自警団がおかしくなった一番の原因は団長だ。最初の頃は真面目にやっていた。最初の団長がいなくなり、新しい団長に代わってからのことをヴェロニカは話す。黙って聞いていたアルザスが、発言をするために右手を挙げた。


「最初の団長であったヒースクリフは、倒れてすぐに別の街に運ばれてしまったからな。ちゃんとした引継ぎが出来ていないことが原因かと思ったが……今の団長に原因があるということか」

「はい。今の団長ヘザーは朝から酒を飲んでいるのは当たり前です。というか、彼が仕事をしているのを見たことがありませんし……私は彼に夜の相手をしろと言われて、一発殴ってから嫌われてますので、正直なところ早くこの街から消えて欲しいですね」


 にっこり微笑みながらそう言えば、アルザスは頭を抱えて唸った。


「……あり得ぬ。女性レディに対してなんということを……。ヴェロニカ殿、彼に自警団のほとんどが賛同しているのか?」

「いえ。逆らうと恐いので従っている者もいます」


 ソニアは右手を挙げて席を立つと、手元の書類を読み上げた。それは、ヘザーの実態。彼が自警団を私物化していたことについての報告書である。この短時間でまとめるとはさすがだと、モニカは感心していた。


「……ですので、ヘザーと彼に従う者の永久追放と、無理矢理従わされていた者達への対応を早急に行うべきかと思います。そして、モニカ博士率いるヴァルキュリアと我ら騎士達で、新たな自警団を作り上げるのが一番よろしいかと」


 ざわつく議員達をアルザスが黙らせた。腕を組み、ソニアの意見に意義があるなら、それより良い案を出せと睨みつける。当然のことながら、いい案がでるわけもなく、当面はそれでいくことが決定した。

 議会はこれで解散となり、モニカとヴェロニカはソニアの案内で執務室へと移動する。執務室には、アルザスと王子、そしてリリベットが待っていた。


「ソニア、これを持って自警団へ行ってくれ」


 アルザスが差し出した一枚の紙。それには、自警団の解散とヘザーたちの永久追放について書かれており、王子である「シリウス」の署名と朱印が押されていた。


「それと、ヴェロニカ殿。わかる範囲で構わない。ヘザーに無理矢理従わされていた者達を教えてもらえぬか? 彼らには救済処置をしなければならないからな」

「大丈夫です。把握しています」


 ヴェロニカが、紙に名前を書き終えるのを待っている間に、自警団へ向かう準備をすることにしたソニアは、一礼をしてから部屋を後にした。


「その後は?」


 モニカの問いに、アルザスは首を横に振る。


「全く進展が無い。尻尾を掴ませないから、暗殺者が関わっている可能性がある。こちらも迂闊には動けないんだ」


 ヒースクリフは、何者かに少量の毒を毎日飲まされて徐々に蝕まれていった。当初はヘザーが犯人ではないかと疑われたが、彼がそんな回りくどいことをするだろうかという結論に達してしまった。


「……私は……私は絶対にアイツが犯人だと思っています」


 書く手を止めたヴェロニカの声に、怒りが含まれている。彼女が自警団にこだわっていた理由はヒースクリフだ。ヒースクリフは命の恩人である。だからこそ、何とかしたかった。


「アイツに、ヒースクリフさんを自警団から追い出す方法を教えた誰かがいるはず……」

「ヘザーを追放すれば、何かボロを出すかもしれないぞ。アルザス、しばらく見張っていた方がいい。ただし、深追いさせるなよ?」

「わかっている」


 進展するかもしれないという少し見えた光に、ヴェロニカは希望を抱いた。ヒースクリフに良い報告が出来ることを願い、ペンを動かした。


「……これで全員です」


 書き出したのは12名の名前。全員、10代前半の若い子達だった。


「少ないな」

「あとは、ヘザーに従っていい思いをしているヤツと、見て見ぬフリをしているヤツらですから、排除しました」

「なるほど。王子、お願いします」


 シリウスが署名と朱印を押し、アルザスが丸めて紐で留めた。戻って来たソニアに渡し、すぐに自警団へ向かわせる。


「……彼らに、この仕事を続けることが出来るか確認するために、ネオンにコネクトしてもらう。それから、正式に動き出すとして……当面は騎士団とヴァルキュリアで街の警護をすることとなる」

「――こちらを」


 リリベットが、モニカに差し出した箱。その中には、玉虫色マジョーラカラーの羽が重なった美しいブローチが並べられている。


「これは?」

「ヴァルキュリアの証です。これがあれば、城に自由に出入りできるよう手配しました」

「おお、それは助かる。ありがたく使わせてもらうぞ」


 モニカは自由に出入りしているが、他のメンバーは申請を出していた。その手間が無くなるのはとても助かることである。


「万が一の事を考えれば、城に出入りできる方がこちらとしても助かります」


 シリウスの言う通り、城で何か起こった時、入れないなんてことにならないよう、イレギュラーなことに対応できるようにしておく必要がある。

 モニカとヴェロニカはそれをメンバーに渡すため、一度宮殿へ戻ることにした。


「ヒースクリフ殿の身体を蝕んでいた毒は、手に入りやすい物だった。ヒースクリフ殿を排除したがっていた者はヘザーしかおらんかったからの……」


 ヘザーはずっとヒースクリフに注意されていた。自警団としての仕事をまともにこなしたことはなく、朝帰りや昼間から酒を飲んだりし、他の人に仕事を押し付けたり、バレないように隠蔽工作したりしていたが、結局はヒースクリフにバレてしまった。


「ヒースクリフさんの容体は……?」

「毒自体は身体から抜けたそうじゃ。ただ、色々おかしくなってしまったからな……まだ治療には時間がかかるだろう」


 先に自警団の元へ向かったソニアと部下たちに続いて、他の騎士達がエアバイクで上空へ上がっていく。それを見上げながら、進展することを祈るヴェロニカだった――――。



キャラ紹介をそろそろ作ろうかと思いますが、読んでもらえるかな……?

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