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転生したら狼になってた  作者: 白黒
第三章
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第六十三話 面会終了と結界準備

「まぁ、その代わり代償がとんでもなく大きいんだけどね」

「……参考までに聞きたいのだが、その代償と言うのは……?」

「あと一度でも使用すれば私の目は間違いなく失明する。今回は事前に結構準備したから代償は小さいものだよ。音が聞こえ難いけど、時間が経てば戻るよ」


 え? 何そのやばい代償は……。


「それは、本当に戻るのでしょうか?」

「心配は要らないよミシェル君。たとえ戻らなかったとしてもシロ君の治癒の力で何とかなると思うから」


 ……は? え、何それ聞いてないんだけど、もしかして≪神獣の涙≫ってスキルを使えと? 制限があるから今すぐ発動させるのは不可能なんだけど……。もしかしてフレディアナ制限のこと知らない? いや、流石にそんな事は無いでしょ。……心配だ。


「フレディアナ、まさか貴女知らないのですか?」

「ん? それはどういう……もしかして、≪神獣の涙≫ってスキルに何か制限でもあるの?」

「その様子ですと、本当に知らないようですね。……私よりもシロさんの方が詳しいですね。スキルの保有者ですし」


 え、ちょっと? 説明俺に丸投げ!?


『……≪神獣の涙≫は残念だけど、今のフレディアナの状態では発動しない。例え、両手両足を失ったとしても発動しないと思う。今分かっている発動できる条件は、瀕死の重傷であること。これだけ』

「え、それって治癒の力としてはどうなの? 手足を失うほどの重症でさえ治せないって……」

『う~ん。俺もこのスキルは良く分かってないし、毒でも発動するのかも分からない。でも、外傷は跡形も無く治せたから……』

「……成程ね。かなり厳しい制限だね。かすり傷を治そうと思ったら、一度瀕死にならないとダメなんだね。まぁ、掠り傷くらいなら私でも治せるから心配しなくて良いよ」

「瀕死……ですか。随分と厳しい制限ですね。その代わり効果は絶大なのでしょうけど……」


 あ、ミシェルさんが本気で引いてる……。エリスに至っては悟りでも開いたような表情をしてこっちを見てるし……。


「えぇ、≪神獣の涙≫と言うスキルの効果は凄まじいです。私の止まりかけた心臓を一瞬にして正常に戻し、失った血液をも補填されました。折れた腕も瞬時に治りました。瀕死の状態でしか発動しないという点を除けばこれ以上最高位の回復手段はないと思います」

「それほどか……。これは国や教会が黙ってはいないな。そのスキルに関しても謁見で説明して貰うことになるのだが構わないか? 無論、陛下からすべての貴族、家臣含め緘口令が出されるだろうが」

『説明するのは構わないけど、実際に使って見せろ……とか言われたりしないよな?』

「それについては私の方で可能な限り何とかする。陛下から直接言われた場合は……諦めてくれ」

「あ、その場合は私かエリスで圧力かけるから大丈夫だよ」


 圧力って……フレディアナの場合は脅しの間違いなんじゃ……。


「……まあ、謁見までの間は侯爵家で貴女方の食と住は保障しよう。すまないが衣服に関しては自分たちで用意して貰うことになるが」

「じゃぁ、お言葉に甘えさせて貰うよ。侯爵家当主である君の立場からしたら私達の行動は監視しておきたいだろうしね」

「あ、出かける時は私かミシェル、もしくは先程君達を案内したメイドに伝えてくれ。謁見までの間、ゆっくりしてくれ。これで面会は終わりだ。あ、それと暇だったら私から声を掛けに行くからそのつもりで居てくれ」

「……承知しました」

「では、これで一応は堅苦しいのは終わったな。で、フレディアナ殿?」

「何かな?」

「……何時頃外は戻りそうなんだ?」

「あ……ごめんね。忘れていたよ。そうだね……あと二時間くらいで私の魔法の効果が自然消滅するよ。今すぐ戻すことも出来るけど」

「いや、自然消滅するのであれば問題はない。では面会が終わってすぐで申し訳ないが結界の方を頼めるか?」

「構わないよ。この部屋からでもすぐに結界は張れるけど、外に出た方が良いかな? それとも、君の執務室からの方が良い?」

「……そうだな。私の執務室を起点にこの屋敷全体を覆うように結界を張って貰えるか?」

「構わないよ。じゃぁ、君の執務室まで案内してくれるかな? あ、あとシロ君とエリスも一緒で良いかな?」

「あぁ、それは構わない。こちらも妻や娘達も一緒で良いだろうか?」

「うん。それで良いよ。それに、結界を張るのは私だけじゃないわけだし……」


 フレディアナが微笑みながらこちらに視線を向けてきた。

 ……嫌な予感。


『……フレディアナ。まさか俺にも結界を張らせるつもりか?』

「うん。そのつもりだよ? 私の結界だけでは不安だろうからね。それに、君の結界も見てみたいし、何より練習になるし良いんじゃない?」


 ……と、言う訳で当主様の執務室に来た。


「じゃあ、まずは、この屋敷全体を覆う結界を張るんだけど……その前に私からアレス君、君に提案があるのだけど……」

「何だろうか? フレディアナ殿?」

「この部屋にも結界を張ってはどうかな? そうすれば万が一の時には一時的にこの部屋に避難できる。それと、私の事は呼び捨てで構わないよ」

「そ、そうか。ではこれからはフレディアナと呼ばせて貰おう」


 少し戸惑いながらも侯爵が了承した。


『あ、じゃぁ俺の事も名前で呼んでくれると助かる。神獣殿とかなんか嫌だから』

「流石にそれは……いや、承知した。シロ殿」


 殿もいらないんだけど……まぁ良いか。

 とそこでドアがノックされた。


「おぉ、来たか。入りなさい」


 その言葉と共に、レイラと子供が二人入って来た。


「紹介しよう。娘と息子だ。右から順に、三女のレイラ、四女のララ、三男のウィグだ。後、長女と次女、長男と次男も居るのだが今は学園に居る。まぁ短い間だとは思うが、よろしく頼む」

「……いや、長い付き合いになりそうだよ。こちらこそよろしくね」


 長い付き合いになりそうって……マジか。出来れば俺は短い付き合いの方が有難い。


「シロ君。それはおそらく無理だから諦めて? ……さて、どんな結界をご所望かな? 屋敷とこの執務室には私が結界を張るよ。敷地の方はシロ君に張って貰うけど、それで良いかな?」

「あぁ、それで構わない。そして結界だがドーム型だと助かる」


 ……ちょ、俺の意思は?


「シロ君、君は要石を使った結界を張れるんだよね?」

『え? あ、うん。というかなんで知って……?』

「とある騎士からの情報だよ。と言ってもその騎士は覚えていないだろうけど。さて、それじゃあちゃっちゃと結界を張っちゃうよ。まずこの部屋からだね。ドーム型だね? さて次、どんな効果の結界をご所望かな?」

「……フレディアナ殿。貴方に任せてもいいだろうか? どうも私は結界には詳しくないのでな」

「分ったよ。効果はそうだね……。侵入者検知と捕縛、施錠ついでに魔法無効化を付与した結界を張らせて貰うね? 侵入者検知と捕縛、施錠については説明は要らないね?」

「あぁ、それについては大丈夫だ。で、魔法無効化と言うのは?」

「ただの予防策だよ。鑑定魔法なんかの魔法発動を妨害できるんだよ。それに、万が一この後張る二つの結界が突破された時の為に……ね。一応上位悪魔の攻撃位は余裕で跳ね返せるくらいの結界を張るつもりで居るからそこは安心して欲しい。流石に世界序列者の攻撃を跳ね返すほどの結界は厳しいけどね」

「そ、そうか。それは心強い」


 え? フレディアナそんな結界を張らせようとしてるの? 普通に無理だと思うんだけど……。


「シロ君。君の場合は要石を使用した結界だからそれくらいは出来るはずだよ? 安心して? ちゃんと教えてあげるから」


 怖っ! それって出来る様になるまで終われないんじゃ? と言うかまた考えてる事読まれたし……。


「じゃぁ、結界を張り始めるから少しだけ私から離れててね。失敗してもこの部屋が黒焦げになるだけだから大丈夫だよ」


 いや、大丈夫じゃない! しかも、失敗するかもしれないとか聞いてない!

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