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転生したら狼になってた  作者: 白黒
第三章
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第六十二話 面会 2

「……で、≪神獣≫殿。国王陛下との謁見の日時についてなのだが、宜しいだろうか?」

『え? あ、うん。謁見ね? ……早くて何日後くらいになりそう?』


 なるべく早いと有難い。メティリシアと言う≪魔女≫が連れてくると言う少年がノールである確証はない訳だし……。


「そうだな……今から陛下に謁見の申し出をするとして、早くて明後日かもな。それと、謁見と言っても悪いことばかりではない。もしかしたらこの国が≪契約者≫殿の捜索に手を貸してくれるかもしれないからな。そうすれば≪神獣≫殿達も動きやすくなるだろ?」

『確かに、動きやすくはなると思う。けど、それ以上の面倒事に巻き込まれるよな?』

「そんな事は無い! と言いたいが、残念ながらその通りだ。間違いなく神聖国と創神教会からの何らかのアプローチか横槍は入るだろう。申し訳ないがそれに関しては私ではどうしようもない。下手に刺激すると色々厄介なことになるからな。フレディアナ殿は良く分かっていると思うが……」

「そうだね。教会からは反逆者扱いされ、神聖国からは一時的に神敵認定されていた私からしても彼等は面倒だったよ。まぁ、私の神敵認定は三年で外させたけどね」


 神の敵認定って……一体何をしたんだ? でその認定をたった三年で外させるって……どういうことだ?


『そう言えばミシェルさんから謁見の事を聞いた時には一日で謁見出来るように感じたんだけど、可能なのか?』

「可能かどうかで言われれば可能ではある。しかし、それは特例中の特例だ。≪魔女≫が一人この国に来た程度や≪スタンピード≫程度では一日で謁見などまずあり得ない。あり得るとすれば、≪破滅の魔女≫と≪再生と衰退の魔女≫が同時にこの国に現れた時くらいだろう。そんなことは起こり得ないだろうがな。仮にフレディアナ殿と≪恐怖の魔女≫が同時に現れたとしても謁見は同じ日だろうな」

「……まぁ、私とメティリシアは一般市民への被害は一切出してないから当然と言えば当然だろうね。それでも、国一つは潰してるんだけどさ」


 さらっととんでもないこと言ったな……。まぁでも、神敵認定されるくらいだから潰してても可笑しくない……のか?


「あ、でも安心して? 証拠は残してないし、世界的に見て害悪でしかない国しか潰してないから」


 ……何も安心できないし、害悪だからって国一つを潰して良い理由にはならないだろ……。


「成程、ならば少なくともこの国は今のところは大丈夫と言う訳だ」

「そうだね。今のところは……だけどね」


 うわぁ……めちゃくちゃ不穏。大丈夫か?


「そう言えば……近々この国で勇者召喚なんてモノが行われるって噂話を聞いたんだけど、それって本当?」


 瞬間、部屋の温度が一気に下がった。これは比喩などではなく、本当に下がった。その証拠に部屋の窓に霜ができていた。さらに、外は先程までは明るかったのに今は真っ暗になっている。

 ……外の現象は程間違いなくフレディアナが引き起こしてる。でもこの霜は? 俺じゃないという事は……ヒエッ!! ふ、フレディアナが恐ろしい顔してる! そのせいか震えが止まらない。


「私もその噂は聞いたことがあるが、把握していない。私も調べているのだが一向にその証拠が出てこないのだ」

「……本当に、知らないみたいだね。失礼なのは重々承知しているけど、君とミシェル君の心を読ませて貰ったよ」

「……そうですか。フレディアナ様が言うのでしたら本当なのでしょう」


 ミカエル、冷静を装っているけど、滅茶苦茶殺気が溢れ出てるんだが大丈夫か? 


「失礼、外に……屋外に出ても宜しいでしょうか? 少し、頭を冷やしたいのです」

「あ……あぁ、構わない。案内は必要だろうか?」

「いえ、結構です。ご配慮、感謝いたします」


 それだけいうとミカエルは部屋から出て行った。

 俺も外に出たいんだけど……あ、はいダメですかそうですか。

 フレディアナとエリスから圧を感じ、諦めることにした。


「勇者召喚に関して全く証拠はないのに噂が流れているのはどういう訳? 創神教会にもその噂が流れているみたいだけど」

『そう言えば、ラガーの街の教会でもそんな話を聞いた記憶がある。ん? と言うか何でフレディアナが教会の話を知ってるんだ?』

「……あぁ、それならちょっと司祭辺りの人間の心を読んだら偶々勇者召喚のことを考えていたみたいでね」


 怪しい……そんな都合良く勇者召喚の事を考えるものなのか?


『と言うか勇者召喚の何がダメなんだ? 話の腰を折って申し訳ないんだけど』

「……そこからなんだね」


 あれ? 何でそんな目で見られないといけないんだ? 別に何も悪いこと聞いているわけでは無い……はず。

 すると、フレディアナが盛大なため息を吐きながら説明を始めた。


「良い? 勇者召喚は異世界から勇者の適正のある者を一人もしくは複数人、下手をすれば勇者の適性の無い者をも召喚する大規模魔法だよ。因みにその代償は計り知れない。今までで最大の代償は召喚した国が消滅した程だよ。最小の代償でも、勇者召喚に携わった魔導士や魔術師数千名の命だよ。それに、一度召喚したも者を元の世界に戻す魔法は存在していない。完全に一方通行で不完全な魔法と言って良い程だ。≪魔女≫の私でさえ忌避する程の魔法。それが勇者召喚だよ。私を含めた四人の≪魔女≫が≪禁忌魔法≫に指定して、文献や資料は徹底的に消し去ったはずなんだけど、一体どうやって見つけ出したのか……。もしくは私以外の≪魔女≫の誰かが……? いや、流石にないかな。実際この四百年間人間達が勇者召喚を行ったなんて話は聞かないし。と、最後の方は忘れて良いよ。大体こんなところかな?」


 な、成程、確かに召喚されて帰れないのも問題だし、代償が余りにも大きすぎる。それに、ミカエルのあの様子を見るに天使達の間でも問題になっているのかもしれないな。


「勇者召喚には何かしらの代償があるだろうとは思っていたが……流石にそこまで大きな代償が伴うとは予想外だな。しかも、確実に召喚できる確約はない……か。禁忌に指定するのも頷けるな」

「私達が勝手に≪禁忌魔法≫にしたようなものだけど、≪学園都市≫なんて呼ばれている場所では私達と同様に≪禁術≫として忌避されているみたいだよ。まぁ、それでも実行しようとする愚か者は居なくならないらしいよ」


 あ、やっぱりやろうとする人は居るのか……。


「……それ、本当? 分った。でもなるべく急いでね? こっちもいろいろ面倒なのがあるからさ」


 ん? どうしたんだ?


「あぁ、ごめんね。メティリシアから連絡が入ってね。こちらに来るのが二、三日遅れるみたい。どうやら私達と同様に面倒なのに絡まれているらしいよ」

『それってもしかして教会関係だったりする?』

「いや、違う。教会関係者でも天使達でもない。相対したのは、物理攻撃が一切効かない……悪魔だよ。しかも、メティリシアからの情報によると少なくとも≪子爵級≫以上らしい。場所は……ッ! 妨害された。でも、メティリシアなら≪公爵級≫じゃないと相手にならないだろうね。彼女、私よりも強いからさ」

「……≪男爵級≫の悪魔でさえ国が総力を投じて対処しなくてはならないというのに……無茶苦茶だな。世界序列に入っている者達は」

「あ、世界序列に入っている者すべてが対処できる訳ではないよ? エリスより序列が上の者でも対処ができないのは居るだろうからね。それでも五十位より上の者は問題なく対処できるだろうけどね。まぁ、対処できるのであって討伐が出来るとは限らないよ? 現にシロ君は世界序列入りの≪男爵級≫悪魔を一体取り逃がしているしね」

「!? そうなのか?」

『……いや、爵位持ちの悪魔と対峙したのはあれが初めてだし、肉体の方は破壊したから討伐したのと同じじゃない?』

「討伐と撃退は別物だよ? それに君、悪魔と対峙するのはあれが初めてではないでしょ? 爵位を持っていたかどうかは今となっては分からないけど、≪最上位≫の悪魔も撃退してるよね?」


 ……バレてる!? なんで!? 


「フフフ。ちょっとズルをさせて貰ったよ。君の記憶をほんの数秒だけ読み取らせて貰ったよ」


 えぇ……何それ聞いてないんだけど……。

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