第五話 真っ暗なまま
・・・なんだ?・・・すごく・・・熱い・・・何なんだ?この痛みは?
痛みで目を覚ます。
痛ったた・・・眠り薬と痺れ薬・・・大体そんな感じか?
っていうか・・・この匂いは・・・間違いないな。
あの森に混じってた匂い・・・この子供の匂いか。
ってことは近くに居るのか?
「グルル・・・」
あ・・・そういえば人の言葉は話せないんだったっけ・・・。
これじゃぁ・・・意思疎通すらできないじゃん。
あ・・子供が今ので起きたっぽい・・・何されるんだ?・・・俺。
っていうか妙に重い・・・なに?石でも乗せられてんの?
いや・・・違う・・・石じゃない・・・人・・・なのか?
なんで俺の上に乗ってんの?
ひんやりはしてるとは思うけどさ・・・普通真っ白な得体の知れない獣の上に乗るか?
お・・・重い・・・退け!!
「グルル・・・」
ん?なんかしゃべってる?
でも、何言ってるのか全く分からない・・・。
あれ?・・・乗られてるって言うより・・・抑え込まれてる?
嫌な予感がする・・・
パキパキッ!!
無意識に自分の周りを凍らせていた。
凄く、嫌な予感がする。
!!この匂いは・・
それに、鉄の匂いがする・・・鎧か?
・・・・。
相変わらず視界は真っ暗ななまま。
いい加減退いて貰いたい、そんなことを思っていると。
金属がぶつかり合うような音が聞こえてくる。
この音・・・やっぱり鎧か・・・ってことは兵士か?
だとしたらかなりまずい・・・見つかったら殺される!!
ん?・・・誰か近くにでもいるのか?
周りから振動を感じる。
震えてるのか?
この匂い・・・森に残ってた匂いと同じだ。
それに、俺に矢を打ち込んだ奴と同じ匂い・・・。
でもこの震え方からすると・・・何かに怯えてる。
ほんの少し冷気を出す。
この大きさ・・・やっぱり子供か。
ん?っていうか一人だけ?
!!悲鳴?!
ってことは・・・まずい・・・ここに来る!!
「な・・・なんで・・・この村に兵士が?」
伯爵の兵士が来るのはもっと先だたはず・・・なんで?
「そ・・・村長」
「お前達子供は隠れてろ!!」
「あの白い獣と一緒に居ろ!」
「あの獣の近くに居ればおそらくあの兵士たちは手を出せないはずだ」
「で・・・でも」
「いいから急げ!!」
「最悪の場合はこの村の住人が皆殺しにされるぞ!!」
僕は急いで白い獣が連れていかれた小屋の方に走った。
しばらくすると村長と兵士の話が聞こえてくる。
「貴様らが白い獣を匿っているのは分かってる。 伯爵様はその白い獣に用があるのだ、おとなしく渡せ」
「それは無理だ。あの白い獣には絶対に手を出してはダメなんだ。」
「あの白い獣はおそらく神狼と呼ばれている存在。」
「手を出したら何が起こるかわからないんだ。」
し・・神狼?、あの白い獣が?
ってことは・・・僕は神様に矢を?
どうしよう・・・。
『ぐあぁぁぁぁ』
!!そ・・・村長?
「村長?!」
村長の叫び声が聞こえたと思ったらすぐに兵士の足音が聞こえてきた。
「こ・・・ここに来る・・・どうすれば?」
すると急に体全体がほんの少し涼しくなった。
「な・・・何が起こったんだ?」
冷気が発せられてる布をめくると・・・。
「うわぁ!!」
黄金のような眼があった。
ガタッ、ドンドンドン、バギッ
驚いていたら兵士が扉を破壊して入ってきた。