第四話 急襲
少し時間を遡って・・・
やっぱり・・・進めば進むほど嫌な匂いが強くなってる。
人か動物が焼けるような、そんな匂いが強くなっている。
「本当に・・・何なんだ?この匂いは」
耳を澄ますと金属がぶつかり合う音や呻き声などが聞こえてきた。
「何と戦ってるんだ?」
「それに・・・この匂いをどうにかしたい・・・」
この匂い・・・凍ったりとかしないか?みたいなことを考えていたら
パキパキパキッ!!
「え?」
何が起こった?
辺りを見渡すと、見事に凍り付いていた。
「あ・・・やっちゃった・・・どうしよう」
やばいよこれ、結構な範囲凍っちゃったんじゃない?
まさか本当に凍るとは・・・
「そういえばさっき音がした時、微かに人の匂いがしたな」
この森の近くに村か何かあるのか?
凍った森の中を少年の匂いを辿って歩き出す。
歩き始めて一時間ほどしたら小さな村のようなものが見えてきた。
「結構遠かったな・・・いや、匂いを辿ってたからこんなに時間が掛ったのか」
「ほぼ直線だったし・・・うわぁ・・・恥ずかしい」
・・・なんか・・・凍ってないか?
まさかこんな場所まで凍ってるとは・・・
森半分くらい凍ってたりして・・・
あれ?フラグかな?
・・・・人の気配はある。
「家の中にいるのか?」
それにしては匂いが随分薄い
「これ・・・ちょっとまずかも」
この氷・・・どうやって溶かせばいいんだ?
突然鈍い痛みが走る。
「ッ!!」
なんだ?・・・何が起こった?
凍れ・・・傷口・・・
攻撃・・・どこから?
これは・・・矢?
ってことは・・・攻撃手段は弓矢による狙撃か!!
遠距離からの音のない奇襲に焦る。
刺さった個所は過ぐに凍らせた。それなのに・・・まだ痛みが消えない、どうなってるんだ?
まさか、矢の先に毒か何かでも塗られてたのか?!
転生すぐこれかよ・・・ついてないな、俺って・・・
そして意識を失う。
少年が弓に矢を番える。
狙いを定め手を離す。
ビュ!!
風を切る音がし、矢が白い獣の足の付け根辺りに刺さる。
「当たった!!」
「村長が調合した眠り薬と痺れ薬、これであの白い獣も眠るはず・・・」
これで眠らなかったら・・・僕の命はここまで・・・
お願いだから・・・眠って!!
「へ?」
そんな声が出てしまった。
それもそのはずだ・・・矢が刺さってすぐに刺さった部分が凍り付いたんだから。
何なんだよ・・・この白い獣は!!
何で、刺さった部分が急に凍り付くんだ!!
あり得ない・・・こんな獣・・・いままで見たことが無い!!
白い獣が希少だっていうのは村長から聞いてたけど・・・氷を生み出す獣なんて・・・初めて見た。
・・・とりあえず・・・運んでもらおう。