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転生したら狼になってた  作者: 白黒
第二章
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第三十五話 深緑の森突破そしてラーズへ

空が明るくなってしばらくして、エリスがテントから顔を出し、硬直した。そして大きなため息をつきながら話し始めた。


「はぁ・・・シロさん。一応説明して頂けませんか? 流石に私とて、この状況を飲み込むのに何の説明も無し、と言うのはきついので」

『ん? 分った』


エリスが説明を要求してきたので軽く事情を説明した。


『と言う訳だ。分かって貰えた?』

「えぇ、良く分かりましたよ」


とエリスは、はぁ、とため息をついて、悟りを開いたような顔をして返事をした。

え? 俺またなんか変なことした?


『ま、まぁ良く眠れはしたでしょ?』

「えぇ、それは否定はしませんが、貴方はもう少し力を抑えて頂かないとラーズに入れないかもしれませんよ?」

『え? マジで?』

「えぇ、マジです。先の街みたいなことがあったらたまりませんからね」

「と、言う事で、ラーズに着くまでに貴方には力を制御する術を身に着けていただきます」

「まぁ、貴方の場合魔力を抑えれば問題ありませんので、歩きながらやっていきましょう」

「無論、ラーズに着くまでに魔力を抑え込めなければ、シロさんを街に入れることは出来ません。いくら私でも、あの状態のシロさんを抑え込める自信はありませんので」

『わ、分かった。兎に角、魔力を抑えれば良いんだろ?』

「魔力を抑えるのは合っています。しかし、ただ単に抑え込むだけでは逆に暴発してしまう危険性があります。と言いますか、シロさん。貴方魔力を感知することは出来ますか?」

『それは問題ない。さっきの竜槍を作った時に魔力感知と魔力操作っていうスキルを覚えた』

「それは、丁度いいですね。では、まずは貴方の中にある魔力から操作してみましょう。イメージとしては、血管を流れる血をイメージすると良いかもしれませんよ?」

『成程、やってみる』


そう言うと血が全身をめぐるイメージをしながら少しずつ力をを抑え込んでいく。

集中するにつれ、自分の周りにあったオーラの様なものが五分の体の中に納まっていく感覚がした。


「シロさん。もう十分です」

『ん?もう良いのか?』

「はい。十分です。しかし驚きました。まさかあんな少しのアドバイスだけでシロさんの周りに纏わりついていた魔力が一気に消えるとは・・・これなら問題なくラーズに入れると思います」

『そうか、それなら良かった。そういえば気になってたんだけど、目指してるラーズって言う街は何が有名なんだ?』

「あ、そういえば説明していませんでしたね。ラーズは別名、冒険者の街と言われています。その名の通り、街の住人の約四割が冒険者ギルドに登録している冒険者です。さらに、ラーズには王都に次ぐ冒険者ギルドの多さを誇っています」

『住人の約四割って・・・相当だな』

「えぇ、冒険者にとっては王都に行く前の登竜門のような場所ですね。それが、私とシロさんが目指しているラーズと言う街です」

「稀に王都からわざわざラーズにスカウトに来る人がいるほどです。それに、深緑の森の近くですし、冒険者のランクもかなり高いです」


エリスに説明を受けながら進んでいると木々の間から石造りの壁が見え始めた。


『エリス、もしかしてあの壁って・・・』

「おや、もう見えてきましたか。ソロさんの思っている通り、木々の間から見える石造りの壁がラーズの城壁です。新緑の森に近いために物凄く壁が厚いんですよ。王都の城壁の倍くらいの厚さはあると思います。さぁ、シロさん。そろそろ身体を小さくしてください。後二百メートルもすれば冒険者達と遭遇しますので」

『分かった。でも、街に入る前に色々聞かれるんだろ?エリスは良いとして、俺はどうすれば良いんだ?』

「そのことについては問題ありません。仮とは言え契約しているのです。契約獣としてなら問題なく入れると思います。しかし、ギルドで少々問題が起こるかもしれません」

『え?それはどういった?』

「・・・間違いなく、ギルドマスターが出て来ます。しかも彼は私より世界序列の順位は上。おそらく、ギルドに入った瞬間にシロさんの正体に気付かれます」

『マジで?』

「えぇマジです」

『索敵スキル高くない?』

「そう、ですね。本気を出せばラーズの街全ての情報を彼一人だけで収集出来るかもしれません。まぁ、貴方と比べられるとたまったものじゃないですがね」

『俺のはあくまで匂いがわかるってだけ、十五キロまでなら正確な数と距離は分かるけど、流石に五百キロになると匂いは本当に希薄になる。だから索敵にはあんまり向かないと思うけど?』

「そ、そうなんですね。初めて知りました」

「さて、そろそろ新緑の森を抜けます。大きさの方は・・・はい。そのくらいの大きさで結構です」


エリスに言われ、大型犬くらいの大きさで止めた。


特に問題なく門の入口まで来ることが出来た。まぁ、途中で冒険者にめっちゃ見られたけど。

っと、どうやら前の人の検査が終わったらしい。


「身分証明書、もしくは冒険者カードの提示をお願いします」


エリスは言われた通り冒険者カードを傭兵に渡す。すると傭兵は目を見開き冒険者カードとエリスの顔を何度も見比べる。


「し、失礼しました。しかし驚きました。ルガーの冒険者ギルトのマスターがラーズに来るとは、何か重大な事でも?」

「いいえ。ただ久しぶりにこの街のギルドマスターの顔を拝みに来ただけです」

「畏まりました。それで、貴方の連れているのは?」

「私の契約獣です。此処に来る途中の深緑の森で遭遇し、何とか契約出来ました。なので、此処のギルドで登録してしまおうかと思いまして」

「畏まりました。それでは最後に、水晶に手を触れてください」


エリスの居た町の名前はルガーって言うのか。初めて知ったな。あそこの傭兵は特に町の名前とか言わなかったし。


「はい。大丈夫です。ようこそ、冒険者の街、ラーズへ」


こうして、俺とエリスは冒険者の街として有名なラーズに入ることが出来た。

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