第十九話 妙な気配とスキル獲得
俺とノールはギルマスから受け取った紙を持って受付に来て受付嬢に受け取った紙を渡した。
「・・・成程、それでは、お気をつけて」
そう言って受付嬢は、俺とノールを送り出してくれた。
俺とノールは俺の足で三十分くらい掛かった森の手前まで来ている。
「えっと、確か、フォレストウルフの討伐と、森の調査だったよね?」
『あぁ、そういう依頼で間違いない』
「シロは、自分が作った氷の弓矢の威力の確認とボクがそれをしっかり扱えるかって事を確かめたいんだよね?」
『あぁ、そうだ。でも、なんか妙な気配がする』
俺は森の手前まで来て森から妙な気配を感じていた。
言葉では表せられないくらいの違和感と不快感を。
何なんだ?この嫌な、変な気配は・・・。
ってか全くと言って良いほどに、生き物の気配がしない。
『ノール、フォレストウルフの討伐だけど、向こうから仕掛けてこない限り、こちらからの攻撃は厳禁だ』
俺の言葉にノールは目を見開いたが何かを察したのか了承した。
「確かに、この森は何かおかしい。ぼくにだってわかるくらいだよ」
「森全体が、まるで生き物が居ないみたいに静かだからね」
「それに、シロが言った妙な気配って言うのも気になるね」
そういうとノールは真剣な面持ちで森の入口を見つめた。
『多分ギルマスもフォレストウルフの討伐よりも、森の調査の方をメインに出したかったんだと思う』
「それは良いけど、入口に居るよりもさっさと森の中に入っちゃった方が良いんじゃない?」
『それもそうだな』
こうして、俺とノールは森の中へと入って行った。
~森の中にて~
「ちょっとこれは予想外だったね」
『予想外ってレベルじゃないだろ?兎に角今は全力で走れ!!』
今、俺とノールはフォレストウルフの群れに追われている。何故こうなったかは、森に入って数分経った所まで遡る。
俺は至って普通に森の状況確認とフォレストウルフの手掛かりを探していた。
のに、ノールがやらかした。おそらく勝手に彼等の縄張りに入ったんだろう。フォレストウルフ数匹に追い掛け回されていた。
フォレストウルフ単体ならEランク、四、五匹程度ならDランク相当の相手。しかし、フォレストウルフは群れで行動している。通常の群れなら十匹程度の群れで行動していて、群れの規模によって変わるが、Cランク相当だったはずだ。
それなのに、何この群れの大きさは?
五十匹以上いるんだけど?どうなってんのマジで!
それに、さっきから妙な視線を感じる。多分それはノールも気づいてるはず、でも、何なんだ?この見透かす様な視線は?
五十以上のフォレストウルフの群れ、妙な視線、考えられるのは、上位種が生まれた可能性だが、そんな感じはしない。それに、何かを恐れている。そんな気配もある。一体何なんだ?
兎に角、まずはこのフォレストウルフの群れをどうにかしないとな・・・。
で、絶賛フォレストウルフの群れから全力で逃走中と言う訳。
あ、ヤバッ!回り込まれた。退路を完全に断たれた・・・。どうするか。
すると、俺の背中に乗っていたノールが徐に弓に矢をつがえ、矢と一緒に弦を限界まで引き、一発、フォレストウルフの足元に向けて放った。
しかし、フォレストウルフはまるで読んでいたかの様に一歩たりとも動くことはなかった。
そう、威嚇射撃は失敗に終わったのだった。
しかし、奥から一番大きなフォレストウルフが歩いて来ていた。
おそらくこの群れのボスといた感じか。威厳の様なオーラが漂っていた。
その狼が俺とノールの目の前まで来て、ゆっくりと座り、頭を下げた。まるで敵対の意思はない。そう言っているかの様に感じた。
それを感じた俺はノール武器を仕舞う様に言い、ノールを下ろしノールの方をると、ノールも何か感じていたようで、降りると同時に弓矢を地面に置いていた。
すると俺の頭の中で最初の時と同じく機械音声のような声が響いた。
≪スキル、言語理解(ウルフ種限定)を獲得しました≫