第十六話 世界序列とは
ノールが頷いたのを確認し、神官っぽいおじさんに話しかける。
『どこまで、確認した?』
すると、おじさんがめっちゃ驚きながらキョロキョロ辺りを見渡し、俺の前に視線が戻って来てかなりの間を開けて、ようやくおじさんが口を開いた。
「えっと、今の声は貴方様の声なのでしょうか?」
肯定するため頷いた。
「な、なんと!!貴方様は人の言葉を理解し、しゃべることが可能なのですか!!」
おじさんが物凄く目を見開いて俺を直視してくる。
『え?あ、うん』
『それで、聞きたいことがあるんだけど、良いか?』
「えぇ、えぇ、構いませんよ。何でも聞いてください!私が答えられる質問なら何でも答えますよ!」
お、おぉう、凄い迫力・・・。
「!!し、失礼しました。私としたことが、取り乱してしました」
「お見苦しい姿をさらしてしまい申し訳ありませんでした」
と、俺とノールに向かって頭を下げた。
「あ、うん別に謝らなくてもいいよ。ボクだってあった時は物凄くびっくりしたから、おじさんの気持ちは分かるよ」
『で、聞きたいことなんだけど・・・』
「おぉ、そうでしたね。それで?聞きたい事とは何でしょうか?」
『あ、うん、世界序列って何なのかなって』
「世界序列ですか・・・」
おじさんは少し考えるような素振りをして、答え始めた。
「簡単に言うと、世界序列と言うのは、この世界での強さを表しています。あぁ、神様は除外して、ですが」
「その序列は第一位から百位までの強さを持った者達のことを指します」
「もちろんですが、その順位は変動致しますが、ここ三百年は序列の変動は無しと文献には書かれております」
「あぁ、叶う事なら私も一度でいいから序列入りしている方とお会いしてみたいです」
『そ、そうなのか』
「?シロ、どうしたの?」
俺が少し困惑しながら返事をするとノールが違和感を感じたらしく、俺に声を掛けて来た。
『おじさん、ちょっといいか?』
「?はい、何でしょうか?」
おじさんは頭にクエスチョンマークを浮かべたような顔をして聞いて来た。
『えっと、あぁ、もういいや、俺、なんか序列入りしてるんだけ、どうすれば良いと思う?』
おじさんとノールがフリーズした。お~い!!戻ってこ~い!!
三十秒くらいフリーズし、おじさんが再び俺に声を掛けてきた。
「えぇっと、すみません私の聞き間違いかもしれないのでもう一度言って頂いてもいいですか?」
『あ・・あぁ、序列入りしてるんだけど、どうすれば良いと思う?』
するとおじさんが震え始めた。
「ち、因みに、何位とか教えて 頂けたりとかは・・・」
『言っていいのかわからないけど、言って良いのか?』
「えぇ、本人が良いと思っているのなら言って頂いて構いません」
『んじゃ言うよ。俺の序列は三位だった』
あ、またおじさんがフリーズした。
今度は数秒してもう一度問い直してきた。
「すみません。今、何位とおっしゃいましたか?」
『ん?だから三位だったって』
「・・・・・・・」
「左様ですか・・・ハハハ、とんでもないですね」
おじさんの目からハイライトが消えたんだけど、怖い。
「第三位、ハハハ、第三位、第三位、第三位」
おじさんが何かブツブツ第三位を連呼し始めてしまった。
「ハハハ、第五位でこの世界の半分を破壊できる力があると言われていて、不干渉条約が制定される程なのに・・・第三位ですか」
「それと、加護もお持ちでしたね?私が確認できた神様の加護は一つだけでしたが」
「えっと、これって一応ギルマスに報告した方が良いのかな?」
「ギルマス?ノールさんは冒険者の方でしたか、えっと、そのギルドマスターはこの方が神獣だと言う事はご存じなのでしょうか?」
『あぁ、知ってる。と言うか一番最初に見抜かれたのがギルマスだ』
「成程、しかし、私からは何も言うことは出来ません。あくまでそれを決めるのは神獣様です」
「それと、近い内に必ずこの国の王都に行って貰うことになります」
「間違いなく、契約者であるノールさんも国王から呼び出されると思います。」
「わかった。その呼び出しに応じるかは分からないけど」
「えぇ、それでは帰り道もお気をつけて」
そう言い、おじさんは俺とノールを教会の門まで見送ってくれた。
「シロ、昨日言われた通り、ギルドに行くよ」
「多分、ギルマスからは鑑定結果とかを聞かれるだろうけどね」
うわぁ、面倒事の予感しかしないな。
そう思いながら、俺とノールはギルドに向かって歩き出した。