第二話 転生
『………』
『……ん?…此処、は?』
黒斗が目を覚ましたのは、見知らぬ深い森の中であった。
『あ……あれ?一体どうなってるんだ!?』
立ち上がろうとしたがうまく立てずに転んでしまう。
それになんか目線が低い気が……どうなってるんだ?
取り合えず、現状とかを確認しないと……。
◇◇◇
◇◇◇
まず初めに自分の手を確認。……手の甲は白い毛で覆われ、手のひらを見ると柔らかそうなピンク色の肉球が……。この時点で人間ではない気がするが念のためもう少し確認を……。
……結果人間には絶対に無いブンブンと揺れる尻尾を確認、頭の上に違和感があり触ってみると獣の耳の様な物が……もう現実から目を背けるのはやめよう。どうやら人間ではない何かに転生させられてしまった様だ。恐らく四足歩行の獣に。
人外転生だなんて聞いてないんですが!?
『まさかあの自称神様……俺を犬か何かに転生させたのか!?』
≪は~い、正解、君を狼に転生させてあげたよ~≫
返ってこないであろうと思っていた返答が帰ってきたことに驚いていると目の前に光の玉が浮かんでいた。どうやらこの光の玉がさっき会った自称神の身体の様だ。
しかし、何故か無性に腹が立つ。今なら目の前の自称神様を食い千切れそうな気がして来たぞ。
『怖ッ!!・・・怖いよシロ君!!君をそんな獰猛になるように育てた覚え私にはありません!!』
……こちとらお前に育てられた覚えが全く無いんだが!?って言うか。
『それ、まさか名前だなんて言わないよな?』
≪正~解!!私が勝手につけちゃった☆≫
『………』
≪っちょ!!ごめんって、謝るから!!土下座位ならするから無視はやめて!?精神的にキツイから!?≫
どうやら俺は自称神様に勝手に名前を付けられてしまったらしい。
『うん。まぁ、決まっちゃったみたいだしもう飽きられるけど……何でシロなんて名前にしたんだ?』
≪ん?外見が真っ白だから白だけど……何か問題でも?≫
……まさかの外見をそのまんま!?まぁ、さっき見た時も子供みたいな見た目だったし……仕方ないか。
『でも、物~凄くイラっと来たぞ!』
内心のイラつきに反応したのか今まで純白だった自身の毛の色が一気に黒へ反転した。
≪嘘…でしょ!?何で??何でもうその力を発現出来るの!?≫
何で発現出来るのって言われたって知らないし、何が起こってるのかいまいち良く分からないけど、何故か身体が滅茶苦茶熱い。自分の身体の熱量で目玉焼きが焼けるんじゃないか?ってくらいに熱い!!
それを感じ取ってか自称神様の身体が点滅を始める。
≪そ……それじゃぁ、接続は切らせてもらうよ!!≫
≪二度目の命、君がしたいと思った事をすれば良いよ。特に神々が君にあれこれ支持するようなことはしないと思うし、嫌だったら断ってくれていいから、それじゃぁね~!!≫
あ、逃げた……自分に被害が出ると思ったのか一瞬にして目の前から光の玉が消え去った。
自称神様が居なくなって暫く呆けていると、低木の枝が揺れ、兎が飛び出して来た。
しかし飛び出して来た兎は俺の知っている兎とは少し違っていた。
その兎には何と立派な一本の角が付いていたのだ。
『え!?ナニコレ……兎??これホントに兎なのか!?』
「でも兎ならきっと食える……はず。小腹がすいてるしいけるかも?兎の肉は鶏ささみと食感は似てるから食べやすいだろうけど……臭みがあるのがなぁ……」
ハーブとかの香草があれば食べやすくはなるけど、そんなものは俺は持ってない。
ダメもとで探してみるかぁ……。
◇◇◇
◇◇◇
あれから三時間くらい探したけど結局香草の類は何一つ見つけられなかった。この際だから贅沢は言ってられないし……あ、そう言えばこんなんだから日も起こせないじゃん!!……仕方ない、生食で頂きます。
結局生で食べてみたが普通に美味しかった。……この身体のお陰か?取り合えず、池でも良いからから探して口の周りに付いた血を落とさないと……序に飲み水の確保もしないとな。
あれ?兎を食べ終わるまで黒かった毛がまた白に戻ってる……どういう仕組みだ?
まぁ、特に違和感とか無いし、気のせいか少しヒンヤリしていて気持ちが良い。