第十三話 深夜の訪問者
全員が寝静まったと思われる深夜に鍵穴に何かが突っ込まれるようなガチャガチャという音で目が覚めた。
来たか・・・。
そして、ゆっくりと内鍵が回り開錠された。
さて、どっち狙いか・・・ノールかノールの持ってる金か。
もう少しだけ凍らせた方が良いかもな。
そう思い、少しだけ冷気を放出させてドアの三分の一程度の凍らせた。
その瞬間、扉の向こう側から男達の声が聞こえてきた。
「本当に、この部屋で会ってるのか?」
「あぁ、間違いない。この部屋に入って行ったのを見た」
「珍しい毛色の犬だったから俺もしっかり覚えてる」
「確かに珍しい色だったな。こりゃぁ高く売れるぞ」
あれ?もしかして、俺が標的?
何で?俺特に何もやってないよな?
あれか、この毛の色のせいで目を付けられたのか?!
「ついでだ、ガキは奴隷商にでも渡せば結構高値で売れるかもしれないぞ?」
こいつら、、、入ってきた瞬間に瞬間冷凍させて窓から捨ててやる!!
「ん?なんだこの扉、妙に重いぞ?」
そりゃそうだ、扉の三分の一を凍らせたんだからそう簡単に開かれてたまるかよ!!
「何やってんだよ、退いてろ、俺がやる」
ん?嫌な感じがする・・・多分、今喋ったやつに無理やり開けられるような気がする。
ピキッ!!
おいおい、冗談だろ?今握ったばっかだよな?なんでドアノブを握っただけで、氷にひびが入ってんだよ。どんだけ握力あんだよ?バケモンか?
「よし、開くから少し離れてろよ」
ヤバッ、これ以上力を掛けられると氷が完全に破壊されて、扉が開かれる!
「ふん!!」
そんな掛け声とともにドアノブを回され勢いよく扉を開かれた。
咄嗟に俺は、ノールの眠るベッドの下に隠れた。
扉が開かれて少ししてから男達が部屋に入ってきた。
その瞬間、一気に部屋の中の温度を一気にマイナス三十五度くらいまで下げた。
そして、侵入してきた男達の顔を確認した。
俺はその男達の顔に見覚えがあった。
こいつ等、飯の時ノールをチラチラ見てた冒険者風の男達だ!
入ってきたのは三人、あれ?確かに聞こえた声は四つだったはず、一人足りない。
「ふぅ、危ねぇ危ねぇ、やっぱりトラップが仕掛けてあったか」
クソ、一人だけまだこの部屋の中には入って来てなかったのか!
「全く、とんでもないガキだな」
ック、部屋に入ってくる気配が全く無い、何をする気だ?
「ガキのよりもまずはあの犬の方が優先だな」
「おい、ベッドの下に居るのは分かってる、出て来い」
まじかよ、もう居場所バレてる。
子犬サイズだとなんか舐められそうだから出た瞬間に普通の狼位の大きさまで大きくするか。
そう思いながら勢いよくベッドの下から飛び出した。
「な・・・ウソだろ?」
男がかなり驚いている。
まぁ、当然の反応だよな。今まで子犬サイズの小さい犬しかいないと思ってたのにいきなり目の前に出て来たのが狼サイズだったんだから。
だってそんなことがあったら俺だってビビるもん。
「どうなってる?さっき酒場で見た時は子犬くらいのサイズだったのに、どうやってそこまで大きくなったんだ?」
「完全に想定外、だが、俺に前にノコノコと姿を現したのがお前の終わりだ」
ん?なんかブツブツと詠唱みたいの始めたぞ?
・・・よし、取り合えず凍らせるか。
右前足を軽く上げ、そっと地面に下すと、俺の身体から一気に白い煙の様な冷気が放たれ、詠唱をしている男を包み込んだ。
白い冷気が消えるとそこには詠唱をしていた男が氷漬けにされていた。
えっと、取り合えず窓の外に捨てて置けばいいか。
男達を窓の外に放置し、扉も何とか元の状態に戻して眠りについた。