第十二話 宿にて
ギルマスとの戦闘を終え、俺とノールは三度ギルマスの部屋に居た。
「シロ君の精密なステータスの確認が出来なかったので、この町のほぼ中心にある教会で見て貰うといいですよ?」
「その時にもしかしたら、世界序列がわかるかもしれませんよ?」
「世界序列は百位までがカウントされるようなのでもしかするかもしれませんよ?」
・・・・なんでそんなことをギルマスは知ってるんだ?
それに世界序列ってなんだよ。今ここで説明して貰いたいんだけど。
「もし教会に行くのであれば明日の方が良いかもしれませんね」
『ん?なんでだ?』
「実はですね。教会は夜は緊急時以外教会関係者以外入れないのですよ」
「私と戦ってる間に入場可能時間を過ぎてしまいまして」
とへらへらしながらギルマスは説明する。
『・・・今のは少しカチンと来た』
「っちょ、そんな怒らないでくださいよ。私と戦っていただいたのだって立派な試験なんですよ?」
そんな試験よりも先に教会に行かせてほしかった。
「まぁ、教会は明日行くとして、この近くに泊まれる場所ってない?」
あ、それ俺も気になってた。
「そうですねぇ。一番近い宿ですと、羽鳥の楽園っていう名前の宿ならありますよ」
「それじゃあそこに行ってみるよ」
「あ、場所教えてくれない?」
「えぇ、構いませんよ」
「では、また明日の昼頃お待ちしております」
「うん、お昼頃に受付の方に着くようにするよ」
ギルマスに宿の場所を教えて貰い、俺とノールはギルドからその宿に向けて歩き出した。
「えっと確か、ギルドから出て直線で二つ目の通りを・・・・」
ノールが何かブツブツ言っているが気にしないでおこう。
場所は何となくだけど把握した。
そして、教えてもらった羽鳥の楽園と言う名の宿に到着した。
「まずは受付してもらわないとね」
「それと契約獣も一緒に入れるか聞かないとね」
「シロ、ボクが先に入ってシロも一緒に入れるかどうか受付の人に聞いてくるね」
そう言いノールはいそいそと宿の扉を開きて入って行ってしまった。
数分してノールが戻ってきた。
「契約獣の大きさによって決めるから一緒に連れて来てくれだって」
ノールが再度扉を開け俺も入る様に促してくる。
受け付けは眼鏡をかけたお堅い感じの男性だった。
っていうか目つき悪いな。
すっごい睨まれてるような視線を向けられるんだけど・・・。
「・・・・ふむ、この位の大きさならば問題ありませんね」
「朝夕二食の食事付きで一泊小銀貨一枚となります」
「うん、わかった」
そう言いノールはギルドで受け取った袋から小銀貨一枚を取り出し受付の男性に渡した。
「確かに頂きました。ごゆっくりお過ごしください」
そう言い、一礼して部屋の鍵をノールに手渡した。
鍵を受け取り、鍵に書かれている番号の部屋に向かった。
部屋に入るとすぐにノールが話しかけてきた。
「シロ、夕食の時間までまだ少しだけど時間があるけど、何かしたいこととかある?」
特にないな、それに、俺は腹は空いてないから無しで構わない。
「わかった。でも食堂には一緒に来てよ?」
『わかった』
返事をした後少し眠気に襲われた為仮眠をとることにした。
しばらくするとノールに起こされ食堂に向かった。
ノールが抱っこしていたいと言う事で子犬サイズにまで小さくなりノールが食事をしている最中俺はノールの膝の上で丸まって食事が終わるのを待った。
ノールが食事中ノールの方をちらちらと見る冒険者風の男達が四、五人居たが特に絡んでくる気配がなかった為放置した。
ノールが食事を終わった為ノールの膝の上から飛び降りたらノールにすぐ抱っこされた。
この時すでに外は真っ暗になっていた。
部屋に戻るなりノールは眠いと言ってベッドに横になりスゥスゥと寝息を立てて眠ってしまった。
さて、さっきの冒険者風の男達が気になるし妙な視線も感じる。
一応、窓と入口はノールが閉めた瞬間に軽く凍らせて置いた。
もし何か動きがあるとしたら全員が寝静まった深夜辺りに仕掛けてくるかな。
それに、さっきまであった視線が今は消えてると言う事は報告をしに行った感じか。
面倒だけど、変な事を起こすようだったら即刻氷漬けにしようとひっそりと心の中で誓った。