第十話 最速ランクアップ
俺とノールはランク変更の為受付に戻ってきた。
ノールが受付嬢にギルドカードを渡した
「ギルマスから話は通っています。貴方はこれからDランクの冒険者です」
「おめでとうございます。間違いなく貴方が最速ランクアップです」
笑顔で受付嬢に告げられた。
「さて、ランクアップも終わったし、ギルマス部屋に戻ってくるように言われてるから・・・行くよ、シロ」
ノールにそう言われ、また、ギルマスの部屋まで戻る。
ギルマスの部屋の前まで来てノールが扉をノックする。
「どうぞ、入ってきてください」
中からギルマスの返答があり、扉を開け中に入る。
「さて、無事にランクアップは出来ましたね?」
「うん、でも話が伝わるのが早すぎない?」
「そんなことはありませんよ。私の権限ですから何問題はありませんよ」
『で、何でまたこの部屋に戻ってくるように言ったんだ?』
「あぁ、そうでしたね。ノール君の実力は暁の光との戦闘映像で把握しましたが、シロ君、貴方の本気を見たいんです」
「だから、闘技場に行きましょうか」
『え?なんで?』
「言いましたよね?貴方の本気を見たいと」
『拒否権は?』
「断っても構いませんが、貴方のことはこの国の王室に報告させて頂く事になりますが構いませんか?」
面倒な事になるから避けたいけど、戦うのも嫌なんだな・・・。
「シロ、良いんじゃない?本気を見せたって」
唐突にノールがとんでもないことを言い出した。
『は?嫌だよ?』
「そうですか、では王室に報告させていただきますね」
・・・・・・。
『あぁもう、分かった闘技場でいいんだろ?』
「えぇ、では、了承も得たので行きましょうか」
はぁ、何でこんなことに・・・。
渋々闘技場へ向かった。
『ナニコレ?』
闘技場に入って思わず声を出してしまった。
「なにこれ?とはどういう意味でしょか?」
『いや、なんだよこの人の多さは!!』
「大丈夫ですよ、すぐ退きますから」
『そういう問題じゃないんだけど?』
「あぁ、貴方の声は彼等には聞こえていませんよ」
「と言うか、貴方がただガウガウ吠えているようにしか聞こえていませんので」
違うそうじゃない・・・。
何故か聞き流されているように感じる。
「皆さん、使用中のところ申し訳ありませんが、一度客席の方に移動して頂けますか?」
・・・おい、何で追い出さないんだよ。絶対不自然に思われるだろ!!
「ご協力感謝します」
早っ!!広場を埋め尽くすほど人数が居たのにもう客席まで移動したのか?
「さて、早速ですが、元の姿に戻ってはいただけませんか?」
・・・バレてるのかよ。一体何時バレたんだ?
『はぁ、怖いわ~でも、悪いけど元の大きさには戻れない』
「?何故ですか?元の大きさに戻っていただかないと本気は出せませんよね?」
『元の大きさに戻ると多分、結構狭くなる』
「え?一体どれ程の大きさ何ですか?」
『ここに来る途中で倒した魔物もそこそこでかかったと思ったけどそれよりももう一回り大きかったはず』
「なるほど、彼等は二メートルほどと言っていましたので、それよりも大きいのは確定ですね」
「・・・では、普通の狼サイズで結構ですので本気でお願いします」
うわぁ、嫌な予感当たったよ。