第九話 呼び出し
予想通り俺とノールはギルマスに呼び出されました。
ギルマスはめっちゃ笑顔だが、威圧が半端ない。
受付の方に戻ったら満面の笑みのギルマスが居たからね仕方ないね。
「で? どうして決闘なんてことになったのか説明していただけますか?」
「・・・うん」
ノールが返事をし、ホーンラビットの討伐数と絡まれて決闘になったことを説明した。
「・・・そうですか。しかしよく無傷でいられましたね」
ん?どういうことだ?
「おや、知らなかったんですか?」
「うん、突然絡まれて決闘って流れになっちゃったから」
「なるほど、では彼らのパーティランクは知らなかったと」
「困りましたね。ああ見えても彼らはFランクパーティーなんですよ」
「そしてそのパーティーをGランク、しかも本日登録したばかりの新人が倒してしまうとは・・・しかも無傷で」
「こうなるとノール君をGランクのままというわけには行かないので、私の権限で貴方をFランク、いえDランクにまで昇格させます」
「申し訳ありませんが、拒否することはできません」
「話はここまで、と言いたいのですがそうは行かなくなりました」
「ノール君、それにシロ君も今すぐ一緒に私の部屋まで行きましょうか」
「どうしても聞いておきたいことがあるので」
と笑顔で言われたがその目は全く笑っていなかった。
しぶしぶギルマスの部屋まで着いて行く。
「さて、私の部屋ならば誰にも聞かれることはありません。話していただけますか?」
『・・・・・』
「シロ、話していいよ」
ノールから許可をもらう。
『はぁ、で?何が聞きたいんだ?」
「そうですね。では、どうやってあの五人を倒したのかを説明して頂けますか?」
『あぁ、だが最初に言っておくことがある。俺がやったことは魔法使い二人を氷漬けにしたのと魔法を凍らせただけだ』
「・・・・はぁ、困りましたねぇ」
とギルマスは困惑した表情で頭を抱える。
「魔法を凍らせただけ、と貴方は仰いましたが、本来であれば魔法を凍らせることなんて不可能なんですよ?」
「それに、貴方、この町、ガラムに来る前にもとんでもないことをしていますよね?」
ん?何かやらかしたっけ?
『悪いが、何かやらかしたような記憶はないぞ?』
「ハハハ、本気ですか?」
グギルマスが乾いた笑い声をあげた。さらに、呆れた様な目を向けられた。
「貴方、ここに来る前にレッサーデーモンと戦ったんですよね?」
あ、忘れてた。
『確かに戦ったけど、本当にレッサーデーモンだったのか不安なんだけど』
「ハハハ、まぁ、貴方からすれば弱すぎますよね」
あ、また呆れた様な目で見られた。
『いや、そうじゃない。凍らなかったんだよ」
「は?!どういうことです?」
何言ってんだこいつ、みたいな顔で見てくる。
『いや、正直かなりやばかった。氷による攻撃が全くと言っていいほど効果が無かったんだよ』
「それは、本当ですか?!」
ギルマスが急に席を立ち、目を見開き真っ直ぐ俺の目を見てくる。
「そんな報告、あのパーティからは証言されていませんよ?」
『まぁ、報告出来ないと思うぞ?』
『神獣の攻撃が殆ど受け付けないレッサーデーモンが居たなんて』
「・・・それで、倒してくださったんですか?」
ギルマスが声を震わせながら聞いてくる。
『・・・倒せたとは思うけど、確認は出来てない』
「そう・・・ですか」
ギルマスが力なく返事をし、そのまま床に力なく座り込んだ。
「兎に角、倒されたと願いましょう」
「まさか、神獣の攻撃が殆ど通じない悪魔が居たなんて・・・」
「取り合えずは、ノール君のランクはDランクに昇格させます」
「受付で昇格手続きをしてください。それが終わったらもう一度この部屋に来てください」
そう言われ、ランク変更の為受付に向かった。