第六話 初めての依頼
ボードの到着し、しばらくボードに張ってある依頼を眺めている。
やっぱり最初は薬草採取の方が良いかな、危険は少ないし。
「ボクはFランクのゴブリンの討伐がいいと思うんだけど」
「でも、一番危険が少ない薬草採取にしようかな」
三十分くらいノールが悩んでようやく決まった。
「えぇっと、この紙を剥がして受付の所に持っていけばよかったんだよね?」
そう言って俺の方を見てくる。
聞いてなかったのか?
呆れつつもノールの背中を鼻先で押し、受付に持って行くように促す。
「本当に、この依頼で良いんですか?」
そう言い受付がノールに尋ねる。
「うん、シロも居るからホーンラビットの討伐にするよ」
「そうですか・・・。気を付けてくださいね?」
「くれぐれも、油断はしてはいけませんよ?」
「危険だと思ったら依頼を一時中断して戻ってくることも可能ですので」
「うん、わかったよ。ありがとう」
妙に念を押されるな・・・それだけ警戒しておけって事か?
すっごい不安。
「シロ、ぼさっとしてると置いてくよ?」
もう、話し終わってたのか・・・。
~町の近くの草原~
案外近かったな・・・。
それにしてもあの町の門番はめっちゃ目つき悪かった。
物凄いジト目で俺を見てきた時はなんか知らんけど焦った。
ここでなら話しても大丈夫そうだな。
『ノール、武器は持ってるのか?』
「うわぁ!!びっくりした。急にしゃべりかけないでよ」
話しかけたらめっちゃびっくりされた・・・。なんかショック。
「そんなこと言ったって、念話みたいなの出来ないからしょうがない』
「それはそうだけど、話すんだったら突くとかはしてほしかった」
『次からそうする』
『で、武器は持ってるのか?』
「大丈夫だよ、村に居た時に使ってたやつ持ってきたから」
『矢は?矢は何本ある?』
「五本あるから大丈夫だよ」
五本、なんか足りなそうだな。せめて十本は欲しいと思うんだけど・・・。
氷の形を変えることが出来れば矢とか作れるんだけどなぁ・・・。
『ノール、本当に矢は五本で足りるのか?』
「・・・正直言うと厳しいかな」
「最低でも十本は欲しいけど、ボクが今持ってるのは五本だけだから、それ以上は買わないといけないよ」
『できるかどうかわからないけど、氷で矢を作ってみたい、一本貸してくれるか?』
「いいけど、後で返してよ?」
『分かった』
さて、矢は貸してもらってイメージも大丈夫だけど、力加減が難しい。
弱すぎると形にはなるけど途中で折れる、かと言って強すぎるとあの弓が耐えれそうにないし・・・。
あ、いっそのこと弓も作ってみるか。
その方が簡単にできそうだし、矢の調整もしなくてよくなるかもしれないし。
~五分後~
出来た~、これなら大丈夫なはず、ノールでも使える大きさと重さのはず。
そう思ってノールの方を向いて絶句した。
『ナニコレ・・・。』
振り向いたらホーンラビットの死骸の山が一つできていた。
どんだけ狩ったんだよ・・・ノールは。
良くこの短時間で五十匹以上の兎を矢五本だけで狩れたな・・・。
「あ、矢は出来たの?」
『あ・・・あぁ、出来たんだけど、何この量?』
「あ・・・ほんとだ。」
「どうやって持って帰ろう」
『凍らせて良いなら俺が運ぶ』
「うん、それでいいからとりあえずギルドに戻ろ?」
こうして、俺とノールはギルドのある町へと戻ることにした。