第四話 ギルドマスター
「貴方は、神獣様ですか?」
女性は開口一番そんなことを聞いて来た。
『・・・・・』
「なんで、神獣様だと思うの?」
確かに、何で分かったんだ?俺は町からここまで一言も言葉を発してないぞ?と疑問に思っていると女性が口を開いた。
「簡単な事です。私の担当している冒険者から話を聞きました。これだけのことです」
・・・ノール、誰にも話さないでくれって、俺確かにあの五人組に言ったよな?
「うん、確かに言ってたよ」
「っていうかシロ、寒いよ。無意識かもしれないけど冷気駄々洩れだよ?」
え?・・・まじか。
「それに、この部屋に被害が出てるよ?」
そう言われ確認すると、確かに所々凍ってしまっている。
あ、やらかした・・・。
「貴方達が怒るのも無理はありません。私が、Bランク冒険者達に無理を言って話してもらったのです」
『なら、話せるってことも筒抜けか?』
「シ、シロ?」
ノールが目を見開き声を上げた。
「会話が可能だというのは貴方を見るまでは知りませんでした」
「そこだけはどうしても話してはくれませんでした」
「そして、私は貴方達に危害を加える気は全くありませんのでそのことは覚えておいてくださいますか?」
「あぁ、それとノール君は無事登録できましたのでGランクからスタートして頂きます」
危害を加える気が無いのは分かったし、登録も出来たみたいだからそこは問題ない。でも、問題は俺の方だな。
『なぁ、俺はその場合どういった立ち位置になるんだ?』
『それに、俺達はお前の名前を知らない』
「そうですね、主従契約はしていますか?」
『契約はしてる、主従契約かどうかは知らないけど』
「なるほど、では契約獣と言う事にしておきましょう」
「それに、私の名前、でしたね」
そういうと女性は立ち上がった。
「私の名はエリス、この冒険者ギルドのマスターをしています」
「以後、私のことはギルマス、とでも呼んで下さい」
「それでは、話は以上です。細かい説明は受付で聞いてください」
「わかったよ」
ノールが返事をし、部屋を出た。
一人と一匹が部屋を出て、受付のある一階に行ったことを確認し、私は言葉を零した。
「さて、どう報告しましょうか」
このまま報告すれば間違いなく教会と王室が動く、下手をすれば聖国までもが手を出し兼ねませんね。
白い毛色と言うだけでもかなりの情報、それに加えて人の言葉を理解し喋れるだなんて、できれば報告はしたくはないですね。あの少年に危険が及ぶとおそらくあの神獣はこの国なんて簡単に破壊される
「全く、とんでもないのがこの町に来てしまいましたね」
「私の身の安全は、保障されないかもしれませんね」
この時の私はまだ知らなかった、この後にとんでもない報告が上がってくることに。