第三話 謎の女性
ちょっと問題があったけど、何とか町の中に入ることが出来た。
えっと・・・まずは、ギルドってところに行くんだっけ。
場所はノールが聞いてくれたみたいだし大丈夫そうだな。
大丈夫・・・だよな?
めっちゃ不安なんだけど・・。
「何時までぼーっとしてるの?置いて行くよ?」
急に声を掛けられ少しびっくりしたけど、黙ってついて行く。
しばらく歩いているとかなり大きな建物が見えてきた。
その建物の前でノールが足を止めた。
ここでいいのか?
「此処で合ってるはずだよ」
「さっき門のところに居た兵士の人に聞いたから間違いないよ」
え?・・・俺、しゃべってた?
急にノールがぼそぼそと喋り出した。
・・・まぁ、気にしないでおこう。
っていうか、本当に人が多いな。
この建物の中だけでどれだけの人が居るんだ?
子犬サイズとは言え獣、耳と匂いにはかなり敏感だ。
さっきのフラグ、大丈夫だよな?
また面倒なのに絡まれるのとか嫌なんだけど・・・。
「シロ、行くよ」
ノールに呼ばれたのでついて行く。
扉を開けると武装した人達が一斉にこっちを向いてくる。
ノールはあんまり見られてないっぽいけど俺の方に向けられる視線の数が・・・。
早くこんなところから出たい。
建物の中に入って五分も経っていないのにそう感じていた。
・・・・せめてノールの登録が終わるまでは我慢しよう。
と思っていたのにモヒカン肩パット三人組が何やらノールに話しかけている。
ノールから離れた位置に居るため会話の内容は聞こえないがノールは一瞬だが物凄く嫌そうな顔をしたのを俺は見逃さなかった。
また面倒事か?
フラグ回収早すぎない?
なんて思っているとノールに呼ばれた。
やっと登録が終わったのかと思って近づいていくと急にノールに抱っこされた。
抱っこされ、ノールと一緒に二階の部屋に連れていかされ、五部屋ある内の三番目の部屋の前で立ち止まると、扉をノックした。すると中から女性の声がした。
声がすると一緒に居た職員が失礼しますと言い扉を開けた。
部屋に入るとすぐに職員が扉を閉めた。
ほんの少しだけど空気が動いたような感覚がした。
すると女性が椅子に座るようにノールに促す。
しかし、女性はフードを深く被っていて顔を確認することが出来ない。
顔を確認しようと伏せのような状態になって下から見上げても口元しか見ることが出来なかった。
すると女性はノールの向かい側の席に座ると、フードを外し俺の方を見てきた。
女性の顔を見た瞬間ゾワッとし、全身の毛が逆立つのを感じた。
この女性から威圧のようなものを感じ、こちらも負けじと威圧ではなく殺気をほんの少しだけ放った。
すると女性は何かを悟ったように頷き話しかけてきた。