第十三話 町へ
しかし、悪魔は片足が凍る程度だった。
『マジか!!これで片足が凍る程度か!?』
『まずい!!……悪魔の方はもう魔力を溜め始めてる!!』
恐らく、そろそろ薙ぎ払いのレーザー光撃か重力魔法で俺足を止めもしく直接狙ってくるはくるはず……。
しかしその予想とは裏腹に悪は真真っ黒な球体を数個此方に向かって放ってきた。
氷じゃほとんどダメージ無し……しかも、凍ったはずの足がもう溶け始めてる。
「あり得ない!?いくら魔法に高い体制を持っているあくまでもでもここまで耐性は高くないはずなのに!!」
『………』
焦っても仕方ない。少し冷静になろうと目を瞑り呼吸を整える。
少し冷静さが戻って来ると同時に、身体が熱くなるのを感じる。最初はチリチリと弱かったものが認識したと同時に燃え上がる炎の様に膨張し、直ぐ様体中を巡る。気のせいか自身の毛が黒く染まっている様な気がする。
「神狼……様なの?」
ノールの戸惑ったした声が聞こえた。
あれ?……もしかして??
そう思って少し魔力を右足に集中させ、悪魔のいる方向に向かう。
一瞬、悪魔がビクッと動揺した気がしたが構わず降り下ろした。
すると、降り下ろした。ゴウッ!!と音を立て、足元から悪魔に向かって一直線に黒み掛かった火柱が上がり一瞬にして目の前の悪魔へと炎が迫る。
『えぇ……何これ??』
氷のつもりで放った攻撃が炎へと変化しいる状況に戸惑いを隠せず言葉を零した。
一方悪魔は恐怖からなのか一歩も動くこと無くに炎に呑み込まれた。炎に呑まれる瞬間にチラッと悪魔の顔が見えたが、恐怖に顔を歪めガクガクと震えていた。
「グギャァァァ!!!!!」
炎に包まれて直ぐに悪魔の悲鳴が聞こえてきた。耳を塞ぎたくなるほど耳障りだ。だがその悲鳴も直ぐに消えた。
そして悪魔の悲鳴が消えてから炎は五分くらい燃えただろうか、炎が消えるとそこには灰すらも残っておらず、地面がただ黒く焦げていただけだった。
「嘘ッ!!炎魔法!?しかも、何なの!?あの炎の色は!!と言うか貴方、氷魔法を使うんじゃなかったの??」
『魔法?……俺は魔法なんて使った感覚は無いんだけど??』
「嘘でしょ?じゃぁ、貴方がさっき使った氷は何なの?」
『知らない、最初は気付いたら凍ってた』
『さっきは、凍る様なイメージで悪魔に向かって放ったけど……氷じゃなくて炎が出たけど』
「こんなことって……あり得るの?」
「あり得ると思いますよ」
「実際、シロさんの毛が白から黒に急激に変化しましたし、瞳が黄金色の瞳から燃え盛る炎みたいに真っ赤な瞳に変わりましたから」
「あぁ、そうだな」
「こんな姿……私が見たどの文献にも載っていませんよ!!」
「俺も……見たことが無い。なにしろ炎に包まれる前に悪魔は完全に怯えていたし、その怯え方は尋常ではなかった」
「まるで……自分よりずっと上の位の者に手を出してしまったような。そんな怯え方だった」
ランサー「悪魔は……強さがその者の位を表すのだと、俺の師匠が言ってた」
「だから……この神狼はかなり強いと思う。下級悪魔と言えど俺達よりも強い個体だった」
「それを……この神狼はあの炎一撃だけで、葬ったんだ」
「俺だったら、絶対に相手にしたくない。命がいくつあっても足りない」
「それは俺も同意見だな。勝てる気がしない」
「えぇ。本当にそうね。迂闊に攻撃しなくてよかったわ」
「もし攻撃してたら、私達が下級悪魔みたいになってたわ……いえ、氷漬けね」
『ところで、ギルドってのがある町まで後どれくらいあるんだ?』
「そうですね、後半日ほど歩けば着くと思いますよ?」
『案外距離があるな』
「そうですね、私達の足で半日、その子の足ではもしかしたら倍掛かってしまうかもしれませんね」
『俺が元の大きさに戻ってどのくらい掛かるか、だな』
「兎に角、行こうよ」
「ボク、先に歩いてるからね?」
そう言うとノールはゆっくりと歩き出した。
『少しは休憩したいが……仕方ないか』
愚痴を零しながらも俺も歩き出す。
その後ろを剣士達のパーティーが付いてくる。
第一章はここまでです。
次章は町への到着から始まります。