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5日目

 五日目の朝。私はスマホを自宅に残したまま出社する。昨日は徹夜で解決策を漁ってみたが、何の成果を得ることが出来なかった。いよいよ追い詰められた私は、スマホを持ち歩くことすら億劫になっていた。スマホを見なければ、”ソレ”の日付が進まない、そんな淡い期待を胸に抱き、出勤のためのいつもの電車に乗り込んだ。

 だが、その期待は脆くも崩れ去ることになる。


 定員オーバーでおしくら饅頭状態の満員電車の中で、吊り革を両手で持ってただただ目的地に着くのを待つ。見慣れて飽きてしまった景色を眺めることもできず、虚空を見つめる。揺れる車体に合わせて、視線が右へ左へと定まらない。

 不意に、電車の吊り広告が目に入った。


「…………は?」


 思わず、声が漏れた。それはもしかしたら、気のせいというやつだったのかもしれないが、私には、確かにあと二日という文字が見えたのだ。呆然とする私を、数人の乗客が横目で一瞥するが、気に留める人は誰もいなかった。

 どうしたらいい、どうしたらいい! 焦る気持ちばかりが先行して、気持ちの整理がつかなくなる。冷や汗が額をべったりと貼りつく。透明な化け物に胃を鷲掴みにされ、口から吐き出させようと持ち上げられているようだった。混みあがってきたものが抑えきれなくなってきて、私は途中の駅で降りると、トイレに駆け込む。


 便器に顔を突っ込み、一思いにゲロを吐く。びちゃびちゃびちゃと耳障りな音が個室の中で反響する。何度吐き出しても、胃の中は一向に回復の兆しを見せることはなかった。

 もう限界だった。

 私はすぐさま会社に体調不良を訴えて、休みを申請する。私のただ事ではない様子が電話越しでも伝わったのだろう。休みはすぐに受理された。


 私は踵を返して自宅に戻ると、パソコンを開く。

 もう縋れるものはここ以外ない。兎にも角にも、解決法を見つけられなければ私は死ぬことになるかもしれない。掲示板で早速書くと、手当たり次第に神社へと連絡する。だがどこの神社もまともに取り合おうとはせずに話半分で聞いていることが電話越しでも察することが出来た。神職のくせしてそういったことを信じていないとは何事だ! 俺はベッドにスマホを叩きつけてからPCに目を向ける。

 相変わらず掲示板の方も反応は悪く、有効な情報は出てこない。

 私は必死に、必死に中指でホイールボタンをぐるぐると回す。ごろごろと下がっていく掲示板にぐるぐると目が回りそうになる。そんな中、一つの書き込みが私の目に止まった。


「……これだっ!」


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