2日目とんで3日目
私が異変に気付いたのは、初めて”ソレ”を見つけてから二日が経った頃だった。
”ソレ”が再び現れたのだ。今度はネット掲示板でネットサーフィンをしているときに見かけた。
マウスのホイールボタンを中指で軽快に転がし、書かれた他愛のないログを上に上にと流していく。その中で一瞬、ある種の悪い寒気が私の背中をそっと撫でた。”ソレ”がまたバナー広告に現れたのだ。
「あと、五日?」
”ソレ”が二日進んでいる。ホラーでよくある展開、ゼロになった時に見たものは死ぬ。そんなもう使い古されたキャッチコピーが心の中で反芻し、心の波を大きくしていく。もしかしたら、昨日も気づかなかっただけで目撃しているのではないか? そんな疑問が頭をよぎった。
「いやいやいや、あり得ないって」
誰もいない部屋で一人ごちる。そんなことはあり得ない。そうだ、あり得ない。そう言い聞かせようとするが、一度沸き上がった不安の泡は消えるどころかぶくぶくと増え、食道を塞ぎ喉の奥を圧迫して息を詰まらせる。
気づけば、私はスマホで”ソレ”について検索をかけていた。だが、結果は端的に言うと大きな成果を上げることが出来なかった。某掲示板サイトのオカルト板や青い鳥で話題を探してみるものの、それらしい話は一切見つからなかった。
思い切って、ネットの住人に相談をしてみるが、反応は芳しくない。心配してくれる声もあれば、釣り乙といったはなから創作話としてとらえる声もあった。しかし、誰も”ソレ”の解決方法を知っているどころか、”ソレ”を見たことがある人すらいなかった。軽い絶望を持った眩暈が私を襲う。この日はベッドに入っても一睡もすることが出来なかった。




