1日目
私が”ソレ”に気がついたのは、自室で今ハマっているソシャゲを起動した時だった。自室のカーテンが夜のそよ風に揺れているのが端に見える。ソシャゲをしているときは画面に集中するから大して気にならないので、換気を兼ねて窓を開けているのだ。
”ソレ”はいわゆるバナー広告と呼ばれるもので、よく他のソシャゲやアプリが宣伝されている。”ソレ”を見るのは初めてだった。
「あと、七日?」
初めは普段と変わらないバナー広告だと思った。だが今回に限っては毛色が違っていたのだ。黄色い背景に黒の文字で「あと七日」と書かれた”ソレ”。
目が痛くなる配色だなぁ。私は眉を曲げて親指で軽く画面をタップする。画面はいつものメニュー画面に変わり、まるで”ソレ”なんて、はじめからなかったようだと錯覚する。きっと何かホラーゲームのソシャゲの広告だろう。
自室のカーテンが夜のそよ風に揺れているのが端に見えた。私はおもむろに窓とカーテンを閉めるとベッドに寝転がりソシャゲを再開した。その日やっていたのはいわゆるシューティングゲームだったのが、どうにもいいスコアが出なかった。視界の端に見えるカーテンはもう揺れていない。
私は三十分も立たないうちにやめて寝ることにしたのであった。