神の代理人“ゲタバコ”
なにがなにやら?
みなさんは、地球侵略についてマジメに考えたことがあるだろうか?正直言って、んなことをまともに考察するのはかなりな少数派だと思うし、わたしもそんな突飛な話はゲームやマンガ、アニメの中だけで起こるもんだと思ってた。
ところがどっこい。ヤツらは何百年も前からこの星を観察していた。そしてゆっくりと侵入し、徐々に浸透し…いつの間にかアメリカはヤツらの手に落ちていた。
ようやく世界が第1次世界大戦の混乱から立ち直りつつあったこの時、欧州を舞台に行われた先の大戦の影響といえばとんでもない好景気と参戦国への貸付金という絶好の機会を得たアメリカは、世界の流れを無視するように軍備増強に邁進した。
陸海軍の大幅な増員と新たに空軍の創設を行い、国を挙げての武器弾薬の増産体制に入った彼の国は恐ろしいほどの挙国一致体制を作り上げようとしていた。そしてそれを止められるものはいなかった。
この年の世界中の国の軍事費の総計を10としたとき、アメリカのそれはおよそ半分の5ないし6にまで膨れ上がっていた。世界の軍事予算の半分超がアメリカ一国で費やされていたってことになる。
つまり超々軍事大国と化したアメリカは一国で世界を相手にできるまでになっっちゃっていた。ちょっとばかり乱暴な計算だけどね。
そしてここからこの“ゲーム”はスタートする。
国際連盟の年次総会で世界を相手に“戦線布告”したアメリカ大使は終始上機嫌だった。いささか太めの腕を大きく振り回し口角泡を飛ばしながら演説する彼の姿は、口元のニヤニヤ笑いも相まって狂人のように見えた。またエスカレートしながら発する言葉が所々意味を成さないただの音にしか聞こえず、それはまるで地球外の言葉のようにも聞こえた。
他国の大使たちは、発言者に手を触れることを禁則とするこの会場にあって、黙って意味不明な演説を聞くという苦難に耐えながら何が起こっているのか理解することに腐心していた。
宣戦布告だと?冗談だろ、本気なのかアメリカは?多くの各国大使がこれはアメリカ大使が個人で起こした騒動ではないかと思っていた。何が彼をそんなに弾けさせたのだろうと訝しんでいたが、一向に終わらない演説の前では質問することさえ不可能だった。
イミフな演説が2時間を超えたとき…。アメリカ大使が文字通り弾けた。大会議場は大混乱となった。
大勢の怒声や罵声が響きわたり真っ赤な雨が降る中を右往左往する大使たち。そしてその足元を何か半透明のゼリーのようなものがズルズルと這ってすぐに動きを止めたが、それに注意を払うものはいなかった。
あたりには元アメリカ大使だったものが散らばっており、またこのゼリー状のモノは彼の身体から這い出す際に浴びた返り血で真っ赤にコーティングされていた。サイズは大体1400ml、ヒトの頭蓋に収まるには丁度良い大きさだったが、廻りに似たような塊はいくらでもあったのだった。
世界はアメリカの真意を測りかね、各国の諜報機関が活発に活動を行った。そして北米大陸が失陥した頃ようやく人類は事の真相に気づいた。
【アメリカは異星体の手に落ちている】
信じられない結論だったが、ここにきてようやくヒトは対米人類同盟を締結するのであった。
「で、あなたは何なんですか?」
---わかるだろう?それともそんなに鈍いのかいキミは?
「うぬぅ、なんとなく察してるけど確信が持てないんですよ。」
いうに事欠いて鈍いっておま。
---ふむ。どうすれば信じてもらえるのかな?
「とりあえず自己紹介?」
それがわたしと自称「神さま」の出会いだった
---名はゴーズ・ゴーズ。この世界の神だ。
「あ、やっぱし」
---そこはすんなり通るんだな
「いや、最近の流行りでしょ?異世界転生って。」
---異世界は異世界だが転生はしていない
「え?」
---きみはそのままこっちに来ている
「異世界転移なの?」
---こっちじゃ手っ取り早く神隠しと呼ぶけどね
わたしの名前は下田葉子
少しばかりゲームが好きでちょっとばかり得意でもある17歳の高校生だ。
“PC研究会”という帰宅部とあまり変わらない部に所属している。
ある日、新作ゲームを抱えてホクホク顔での帰宅時。わたしはちょっとした事故に巻き込まれた。
とあるビルの解体現場の近くを歩いていたら、急に吹いた突風に荷を釣ったクレーンが煽られて
なんとなんとわたし目掛けて倒れてきたのだった。
ああいうときって咄嗟に変な事考えちゃわない?
「うっわこのゲームやらずに死にたくねえぇぇぇ!」
そんでそのわたしの心の叫びに返事があった
---では死ぬ気でやってもらおう
「うえ?」
そんで今に至る。
あ、そっかゲームやるんだった。
---そうだゲームだよ。下田葉子くん。いやここはきみのハンドルネームで“ゲタバコ”と呼んだ方がいいかな?
この小説は拙作「世界侵略大戦 アメリカvs人類連合軍」を別の角度から見たものになります。アッチはその世界の中の人目線、コッチは神様目線です。