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エピローグ『あの日から一年後』
あの日、あの時に彼女に出会ったのはきっと運命だったのだと思う。
あの出会いがあって、あの時間があったからこそ、僕は彼女を待っていられた。
歌にちゃんと向き合いたいといった彼女を待ってられたのだ。
一年前のあの日のように、強くなる雨の中、適当なカサを取り出して僕は長い道のりを行く。
彼女はきっと、あのときの彼女と違っている。
僕も、あのときの僕と違っている。
人はどんどん人に触れ合って成長していく。
人付き合いが苦手な人でも、小説や漫画、アニメ、ドラマ……色んなもので他人の考えに触れることができる今の時代はとても良いものだと思う。
けれど、人を感じることが容易にできるようになった今の時代だからこそ、きちんと言葉で相手に伝えなければならないときも出てくることを、僕は彼女から教わった。
だから僕は彼女に伝えたいと思う。
僕のありったけの愛情を、彼女に注ぎたいと思う。
――だって、僕は彼女が好きなのだから。




