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やってきました南の国

地上世界に移住してきた魔族を地下世界に帰るよう説得を続けていたルドルフ達勇者一行と

魔王ジルベルト、彼らは数週間という短期間の間に、西の国に移住していた魔族全員を説得し

地下と地上を繋ぐ天の柱へ向かわせることができた。

これもひとえに、クルウが渡してくれた名簿とリーティエンドの采配のおかげだろう。


残るは南の国へ遠征していった遠征部隊のみとなり、この旅にも終わりが見えてきた。

もうすぐ全てが終わって帰れると、そう思ったルドルフとジルベルトは、

心なしか軽やかな足取りで西と南を隔てる国境の砦という名の休憩所を通り、

南の国ノーファへと足を踏み入れた。


国境を越え、南の国に入ったルドルフ達は、目の前の光景に驚き叫ぶ。


『うおっ!?なんだこれ!砂か?』

「砂漠よ。ノーファは砂漠の国なの。」

「・・・あ・・・つい・・・」

「暑いな・・・これはいい修行になりそうだ!」


常に強い日差しが降り注ぐため、ノーファは北の国とは正反対にとても暑い国であった。

さらに、オアシスまでの道のりに日差しを遮るものは一切なく、

ルドルフ達はこの暑さの中を歩かなければならなかった。


『それにしても暑いなぁ・・・オイラ、こんな中歩くの無理だよ・・・』

「さすがにこの暑さは、犬には厳しいわね。」

「ひと・・・で、も・・・つ、らい・・・よ・・・」

「なんだ、だらしないなぁお前たち。」

『なんでお前は平気なんだよ・・・ん?ジル、お前も平気なのか?』


ルドルフは何も言わずに被り物をしたまま突っ立っているジルベルトが

この暑さに耐えられているんだと思いそう声をかけると、

微動だにしないまま被り物の中からかすかに音が発せられた。

その言葉は、犬であるルドルフでしか聞き取れないほどのかすかな声であった。


(・・・もう・・・だめ・・・)


ルドルフがジルベルトの言葉を聞き取った直後、ジルベルトはバタンと倒れた。


『わー!?ジルーーーーー!!』

「この暑さでそれを被っていれば、当然よね・・・」

「た・・・たい、へん・・・」

「情けないな、それでも魔王なのか!」

『魔王関係ないから!しっかりしろーーーー!』


倒れたジルベルトに「ギャンギャン」と慌てふためくルドルフ。

手当が必要だと感じたリーティエンドとマリアナでジルベルトを砦内の寝室へ運んだ。

そして、ローランはルドルフ達には同行せず、一人砂漠の中で鍛錬を始めるのだった。


砦内の寝室にジルベルトを運びベッドに寝かせると、リーティエンドは魔法で部屋を冷やし

マリアナは飲み物を用意した。水分を取ったジルベルトは、少し落ち着いたように見える。

することのないルドルフは、その様子を眺めながら「わうー」と心配そうに鳴くのだった。


「暑さにやられただけだと思うけど・・・困ったわね。」

『なぁ、ジルは大丈夫なのか?』

「・・・ん、もう・・・だ、い、じょう・・・ぶ・・・」


マリアナの言葉にほっとしたルドルフは、「よかったー」と言いながら、そういえば・・・と

何かを思い出したように部屋を見回した。


『ローランはどこいった?』

「あのバカなら、砂漠のど真ん中で剣振ってたわよ?」

『えぇ!?それって危なくないか!?』

「・・・あぶ・・・ない・・・で、す。」

『たたた大変だ!すぐに迎えに、っぶ!?』


慌てて部屋を出ようとしたルドルフの前に大きな影が現れ、

ルドルフはそれに勢いよくぶつかってしまう。その大きな影は鍛錬を終えたローランだった。


「おっと?そんなに慌ててどうしたんだ?」

『ローラン生きてたー!!』

「てっきり砂漠で干からびていると思ったわ。」

『今さらっと舌打ちしなかったか?』

「なんのことかしら?」

「あ・・・あの・・・お、みず・・・です・・・」

「おぉ、悪いな。」


マリアナは、たっぷりの水が入った水筒をローランに渡した。

ローランはそれを一気飲みすると「ぷはー」と声を上げ「生き返ったぜ!」と言った。


「・・・で、魔王の方はどうなんだ?」

「見た通りよ。この暑さじゃ、砂漠を渡るのは無理かしらね・・・」

『魔族達もここ通ったんだよな?あいつらはどうやって進んだんだろ?』

「おそらくだけど、夜に移動したんじゃないかしら?日差しがなくなれば暑さも和らぐでしょうし。」

「・・・なら、い、どう・・・は、よる・・・?」

「そうね。魔王サマの回復を待って、夜に出発しましょうか。」

『こんな暑い中住んでるやつはすごいなぁ・・・』


ルドルフはこんな暑い国に住んでいられるノーファ王国の民をすごいと感じたが、

すぐにリーティエンドに「慣れでしょ?」と言われ、「そっか」と納得するのであった。


昼間に砂漠を移動することは避け、夜に出発することにしたルドルフ達は

ジルベルトが目覚めるまでそれぞれ思い思いに過ごすのであった。

ルドルフとマリアナは仲良くお昼寝をし、

リーティエンドは何かを調べるように魔導書を広げて読み始め、

ローランは再び砂漠へ出て鍛錬を再開した。


日が沈み空に星が瞬く頃、すっかり回復したジルベルトを連れてルドルフ達は砂漠に出た。

昼間よりも暑さが和らいでいることに安心したルドルフは「わん!」と吠えた。


『おおー!昼間より暑くないぞ!』

「あー・・・俺もこれなら平気かな?」


不安そうにしていたジルベルトも、これなら大丈夫そうだと胸をなで下ろした。

ルドルフ達が安心している中、たった一人不満そうな顔を浮かべながらローランが口を開いた。


「こんな暑さじゃ全然修行にならないな。」


その一言に誰もが呆れたのは言うまでもない。


「だったら、魔王サマの被り物でもかぶっていれば?

 見たところ視界は悪そうだし呼吸もしづらそうだから、いい修行になるんじゃない?」

「・・・それはいい案だな!魔王、それを貸してくれ。」

「えぇっ!?いいけど・・・汗臭くなりそうだなぁ・・・」


リーティエンドの提案から、ジルベルトの被り物を借りたローランはそれを被り、

いつものようにジルベルトを肩に担ぐと歩き出した。

ルドルフ達もそれに続くようにローランの後ろをついていった。


砂漠を歩きながら「わうーん」とルドルフは口を開く。


『ホントに砂ばっかりだなー・・・』

「オアシスが多く点在するのが唯一の救いね・・・」

「・・・ある、き・・・に、く・・・い・・・」


砂に足を取られるため歩きづらくヨロヨロとしながらマリアナは必死についてくる。

そんな様子に心配そうにルドルフは声をかける。


『大丈夫か?すげー歩きにくそうだけど・・・』

「あ・・・だ、だい・・・じょう・・・ぶ・・・です。」

「砂漠は土の地面より体力の消耗が激しくなるわ。辛くなったら早めに言いなさい。」

「・・・はい・・・」


そうマリアナに言ったリーティエンドだったが、彼女もまた歩きづらそうで

はぁはぁと呼吸も乱れていた。一番辛いのは彼女の方かもしれない。


先頭を歩くローランは、ジルベルトの被り物をしているにも関わらず

なんの苦も感じさせずにずんずんと砂漠を進んでいた。

ルドルフ達は、ローランとはぐれないように必死についていった。



慣れない砂漠を歩くこと3時間半、ルドルフ達はようやく最初のオアシスにたどり着いた。

緑と水で溢れるオアシスにルドルフ達は感動し、そして安心した。


『水だー!!』

「緑だー!日陰だー!」

「今は夜だから日陰もないわよ?」

「・・・つい・・・た・・・よか・・た・・・」

「少し休んだら次のオアシスへ行こうぜ。」


オアシスにたどり着き喜んでいるルドルフ達は、ローランのその一言に凍り付き、

リーティエンドにいたっては、魔導書を取り出し魔法を発動させようとしていた。


「冗談じゃないわよ、次のオアシス?そんなの明日でいいでしょう!」

『そうだよ、オイラもう疲れて歩けないよ!』

「俺も無理。」


ジルベルトはローランに担がれていただけだが、休みたい彼はルドルフ達に同意する。

マリアナは涙目でふるふると首をふって、自分も無理だと示した。


ローランはまだ体力が残っているのか「だらしないなぁ」と呆れたように言うと

今夜中の出発を諦めたのか、大きな木の根元に横になった。


その一言に、全員が心の中で同じことを思ったことだろう。


<お前がバケモノすぎんだよ!!>と。


しかし、砂漠で体力を消耗しているルドルフ達はもう反論する気力もなく

そのまま、オアシスで一晩過ごすのであった。


・・・ペースが安定しない・・・orz

砂漠に関して「これ違くなね?」と思っても

「異世界ですから!」ということにしといてくださいw


*おまけ*


ユキ「砂漠・・・ラクダ・・・太陽・・・敵・・・」

ルドルフ『どうしたのご主人?』

ユキ「いや・・・あるマンガを思い出した。」

ローラン「それよりも、俺と南の王との一騎打ちはまだか!?」

ルドルフ『だからメタ発言禁止だって・・・』

ユキ「・・・この場合、メタというか・・・ネタバレ。」

ジル「入りきらないと思い、次回に持ち越しました。」

ユキ「これがメタ発言。」

ルドルフ『そうなのか・・・難しいんだな・・・』

ユキ「・・・たぶん。」


*****


舞台裏でわいわいさせるの楽しいですw

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