*番外編* とある野宿の日
番外編です。
とある森の中、次の街にたどり着く前に日が落ちてしまったため
今日は野宿することになったルドルフ達勇者一行。
「野宿なんて最悪・・・計算では間に合うはずなのに、どこで狂ったのかしら?」
「火はおこしたし、そろそろメシにしようぜ。」
『早いな・・・慣れてるのか?』
野宿が決まった途端、たきぎを拾い火をおこしたローランにルドルフは関心をよせる。
ローラン自身、修行の旅をしていた頃を思い出すのか、食事を終えるとすぐ
武器を振り回して鍛錬を始めてしまった。
『・・・あいつはもうほっといてもいいか・・・』
鍛錬するローランを遠目に見ながら、ルドルフはマリアナとリーティエンドを見た。
リーティエンドは不機嫌な顔をしたままお茶をすすり、
マリアナは周りから聞こえる木々が揺れる音や獣の鳴き声などの音にびくついていた。
『大丈夫か?マリアナ』
「ひっ!・・・あ・・・う、う・・・」
突然ルドルフに話しかけられ、驚いたマリアナは悲鳴にも似た声を上げて
ルドルフを驚かせた。すぐに謝罪するも、マリアナの体は震えていた。
そんな光景を見ていたリーティエンドがおもむろに口を開く。
「前から気になっていたんだけど・・・マリアナ、あなた歳はいくつ?」
「え、え・・・あ、の・・・こ、ここの、つ・・・です」
年齢を尋ねられ、びくつきながらもマリアナは指折り数えると
ここのつ・・・9歳であることを伝えた。
マリアナの年齢を知ったリーティエンドはひどく驚いた声を上げる。
「ここのつ!?そんな幼い子にこんな過酷な旅をさせてるの!?
何考えてるのよあの神官は・・・!」
「あ、あ・・・わた、しが・・・おねがい、して・・・だから・・・」
マリアナは両腕をバタバタと動かし、この旅には
自分から志願したということを必死に伝えようとしていた。
「おとう、さん・・・わるくない・・・です・・・」
マリアナの言葉にルドルフとリーティエンドは一瞬首を傾げた。
『おとうさん?』
「誰が?」
「え、あ・・・その・・・しんかん・・・ハーユ、は、おとうさ、ん・・・です」
『ええええええええええ!?』
「・・・そういえば、あなたの自己紹介の時にしゃしゃり出てたわね。」
驚き叫ぶルドルフを横目に、リーティエンドは最初の自己紹介の時に
喋れないマリアナを援護するように出てきたことを思い出した。
『あれ、お前のとーちゃんだったのかー・・・』
「は、い・・・」
「まだ9歳の娘を魔王退治の旅に行かせるなんて、ホント、いい神経してるわよね。」
『・・・なんか、怒ってないか?お前』
怒っているような雰囲気を出しているリーティエンドの口が軽く動き
ささやくような小さな声が聞こえたが、それは人の耳では聞き取れないだろう。
リーティエンドの小さな呟きを聞き取ってしまったルドルフは
その物騒な言葉にガタガタと震えるのであった。
「さぁ、明日も早いわ。そろそろ寝ましょう。」
「あ、はい・・・あの・・・う・・・」
『どうした?』
俯きかぶっている帽子を掴みながら震えるマリアナを、ルドルフは首を傾げ
不思議そうに見ていた。
しばらく見ていると意を決したようにマリアナは顔を上げる。
その顔は赤く染まっていた。
「あ、あの、あの・・・と、となり・・・で、ね、ても・・・いい、ですか?」
「どっちと?」
マリアナの言葉に、どちらの隣で寝たいのか判断できなかったリーティエンドが
尋ねると、マリアナはさらに真っ赤になって「二人と」と小声で答えた。
この二人というのは、ルドルフとリーティエンドのことであり
間違ってもローランとリーティエンドということはない。
「私は構わないわよ。」
『オイラもいいぞー。』
ルドルフとリーティエンドの返事にほっとしたような表情を浮かべると
マリアナは、ルドルフとリーティエンドに挟まれる形で横になった。
「・・・あの・・・」
「何かしら?」
「まほ、うつかい、さま・・・は・・・」
「魔法使いなんて呼びにくいでしょう。名前で呼んでいいわよ。」
「・・・リー・・・ティ、え・・・」
「呼びにくいならリーテで構わないわ。」
「・・・リーテ・・・さま・・・」
「様付けは抜けないのね。」
職業呼びだったマリアナに自分の名前を呼ばせることにしたリーティエンド。
それは職業で呼ばれることが嫌なのか、それともただの気まぐれか・・・
「それで、何を言いかけたの?」
「あ・・・リーテ、さま・・・は・・・なん、さい・・・なんで、すか?」
マリアナの質問に言葉を失うリーティエンド。
しばらくの沈黙の後、小さな声で「18歳・・・」と呟いたのだった。
二人のやりとりを見て、羨ましくなったルドルフは「くぅん」と
甘えるような声を出しながら口を開いた。
『・・・オイラには聞いてくれないのか?』
「あ・・・ごめ、ん、なさい・・・ゆう、しゃ、さまは・・・」
『オイラは・・・なぁ、オイラって1歳?』
「聞かれたって知らないわよ。」
困ったように「わう?」と首を傾げるルドルフに、マリアナは小さく笑うと
眠たそうにあくびをして目を閉じた。
それを見たルドルフとリーティエンドも目を閉じる。
「・・・おやすみなさい・・・」
『おやすみなさいー。』
「おや・・・す・・・み・・・」
鍛錬を続けるローランを放置し、ルドルフ、マリアナ、リーティエンドは
眠りへと落ちて行った。
リーティエンドさんじゅうはっさい
・・・すみません、これがやりたかっただけですw
ローラン「ちなみにオレは23だ!!」(入れ忘れw)
年齢ネタとマリアナの父ネタは本編中に入れる予定だったけど
(すっかり忘れて)入れ損ねたので番外編に詰め込ませてもらいました。
「リーテ様」呼びもここだけでしょうね・・・。
補足ですが
リーティエンドは一応、二十歳超えてます。(カジノ行ったりお酒飲んでますしね。)
正確な年齢は決めてませんけどね!w
マリアナは初期設定12歳から9歳に格下げ(?)しました。
以上、番外編でした。




