華に起きた悪夢
「だ、誰ですか!?貴方は!!?」
華の目線の先には、今まで見たことない生き物が立っていた。
その名も、
「魔界の王様....魔王こと、サタンだ」
"サタン"
そう言われ、華は眉間にシワを寄せた。
「サタン......」
魔王の目をにらみ続け、華は左手をギュッと握る。
「お前だけは、許さない!!!何しにここへ来たぁぁぁぁあ!!!!」
勢いよく飛び上がり、魔王目掛けて拳を振り落とした。
が、その拳が魔王に当たることは無かった。
「もちろん、貴女を迎えに来たのですよ?華......いや、エンジェル王妃」
魔王は華の前に膝まつくと、手を差しのべた。
「いやよ!!!絶対に帰らない!!!もう二度と、あんな家には...!!!」
華は、魔王の手を払い除け、目に涙を浮かべた。
「そうですか....ならば、こうするまで!!!!」
魔王の右目が赤く光ったと同時に、誰かの悲鳴が辺りに響いた。
その声の主のほうへと、華は駆け寄る。
「虎!?虎!!ねぇ!!虎!!?聞こえる!!?」
「う....か、あさ....ん.............」
華の声も虚しく、虎は息を引き取った。
「サタン!!お前....!!」
「次は、あの赤子だ」
華の叫び声には耳を貸さず、魔王は竜へと攻撃対象を変えた。
「やめて!!あの子はやめて!!」
竜を奪い取るように華は抱き上げた。
そして、こう続けた。
「私を殺して!!この子も失うくらいなら!!私が死ぬ!!だから...!!だから!!私を殺したら、お前が責任持ってこの子を立派な大人に育ててよ!!」
華の言葉に魔王は満足げに笑い、一筋の電撃を落とした_____