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少年の名は異界 竜
「竜!!お前、何処に行っていたんだ?」
「んぁ?何処でもいいだろ?別に」
ここは日本、大阪府、熊取町。
そこに、魔王の今の屋敷がある。
「我はお前の親だ。何処でも良いわけない」
現在時刻、午後11:00。
こんな時間に16歳の子供が帰ってきて、心配しない親なんて居るわけがない。
もちろん、魔王もだ。
「今が何時か分かっているのか?竜」
「わーってるよ。本当の親でもないくせに、俺に指図すんじゃねぇ」
魔王の心配を他所に、竜は自室へと向かった。
「本当の親ではないが、お前は本当の子供のように恋しいんだぞ?」
魔王は竜の方に振り返ることもなく言った。
「けっ。あんなことをしておいてよくいうぜ」
そう言った竜の瞳は、何処か寂しげだった。
バフッ
自室に入ると、着替える事もなくベッドにダイブした。
仰向けになり、目を閉じる。
「.......母さん。父さん」
竜の脳裏には、まだ幼い頃の自分の記憶がよみがえった。
『竜!!逃げて!!早く!!早...く......!!』
あれは、今から十一年前、竜が5歳の頃の事だ_____