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撃墜のゼロ戦

「これより、第二回ド底辺円卓会議を始める!」


 円卓を囲む玉座が1つ増えた。

 そこに座る新しい猛者が誰かというと、金髪だった。


 その理由を説明すると、実はこの金髪、俺達を怒ろうと思って追いかけてきた訳じゃないらしい(魔法陣を壊したことは怒られたが)。

 というのも、金髪は俺達が起こした騒ぎを聞いて感心したんだそうな。

 クラス0にそんな度胸があったのかと。

 でもちゃんと指導しろとの命を受けた金髪は、一応呼び出すだけ呼び出して、適当に話して帰すつもりだったらしい。

 だけど俺達がいつまで経っても来ないもんだから、教室に行ってみると、教室はリフォームされてるし魔法陣壊れてるしで訳の分からない状態なっていた。

 それで驚愕した金髪は、事情を聞くべく俺達を探してたそうだ。


 それにしてもあんなダッシュで追いかけて来る意味はなかったと思う。

 不明な点は多いが、おかしな教師だという事で納得しておこう。


 そして彼が今ここに座る理由は、俺達が学園長のところに乗り込んで、魔法祭出場の権利を貰った事を話したからである。

 それを聞いた金髪はまたも感心したらしくて(大笑いしていたが)、協力してくれることになった。


「まず、魔法祭にどんな競技があるのか」


「それは先生に聞いたらいいんじゃね?」


「おけ、はい金髪」


「誰が金髪だ。

 俺の名前はエゼグィー・グロワール。グロワール先生と呼べ」


 そうなんだ。

 ランド達もその名前を聞いて初耳だという顔をしていた。

 一応このクラスの担任だというのに今まで名前すら教えてなかったのか。


「はいはい。で、どんな種目があるんですかね?」


「そうだな、最初に言っておくとお前らが勝てる競技は、まずない」


 でしょうね。

 まず俺達は4人だ。さっき乱入したクラスなんか100人以上いたのに、4対100なんて笑えない。

 数で負けているし、その上魔力もないなんて……。

 いやいや、そういう問題を今から議論するんだった。


「とりあえずここに書いてくれませんか?」


 俺はそう言ってホワイトボードとマーカーペンを創造した。

 マーカーペンの方はこんにゃくが出たので、再チャレンジして創造すると、ちゃんと出た。

 こんにゃくを教室の隅の山に投げつけた後、俺は金髪にマジックペンを渡す。


「すごいな。お前その能力どうなってるんだ? 宝具か?

 ギルドマスターからの紹介だから只者じゃないのは分かってたが」


「この力については聞かないでください……。色々あったんですよ……」


 目を伏せて重い雰囲気を出す。


「そうか。すまん、無駄な詮索だったな……」


 まあ色々あったのは本当だけどそんな大したことじゃないんですけどね。

 いや、大したことか。

 なんでもいいけど説明がしんどい。


「え? レイヤって紹介で入学してきたの? どこのギルド?」


 俺が作り出した重い雰囲気を突き崩すかのようにランドがそんな質問をしてきた。


「天空の……」


「えっ!? 天空の使者!?」


「嘘だろおい!」


 俺が言い終わる前にべバリーとランドが身を乗り出してきた。

 ラルフも目を少し見開いている。


「よく考えたらあそこのギルマスの紹介でクラス0ってのも酷いもんだな」


 金髪の呟きに俺は大いに賛同したい。

 紹介でクラス0ってマジでなんだよ。

 確かに魔力と学力はないけど身体能力とか戦闘能力的な話なら生徒内で俺がダントツだろ。

 って魔力と学力がそれ以上に大事って話でしたね。

 魔王と戦わないといけないこのご時世なら戦闘能力の方が大事だと思うんですけどねぇ。

 まあ文句を言っていても仕方ない。

 おかげでこんな濃い連中と出会えたのも事実だし。


「そんなことより今は魔法祭の話だろ」


「もうお前一人で十分なんじゃね?」


「何言ってんだ。

 一人で参加できるクラス対抗競技があるわけないだろう。

 4人でもカツカツなのに」


 金髪はべバリーの考えを玉砕する。


「金髪、とりあえずどんな競技あるか書いてくれ」


「グロワール先生だ。

 こんなペン初めて見るけどこれで書けるんだよな?」


「ああ」


 金髪はホワイトボードに文字を書いていく。

 俺達は金髪が書き終えるのを待った。


「こんなもんだな」


 ホワイトボードにはズラッと競技名が並んだ。

 上から順に読んでいくと、魔法演舞、魔格技、綱引き、騎馬戦、棒倒し、バルジャンリレー、魔戦争、だった。


「よし、上からどんな競技か教えてくれ」


「いいだろう。

 まず魔法演舞は日頃から練習している魔法をここで魅せる種目だ。もちろん魔法を使えないお前らは出れない。


 魔格技はクラスから5人選出して、それでお互いを打ち負かす競技。これは人数不足でお前らは出れない。


 綱引きはもちろん勝てないのでお前らは出ない方がいい。


 騎馬戦。これは4人×4チーム必要な団体戦だから出場不可だ。


 棒倒し、人数不足出場不可。


 バルジャンリレー。

 これは出れるぞ。

 その代わり人数不足なので一人が走る量が増える。魔法による妨害もありなので勝てる可能性は0に近い。


 そして魔戦争。

 これはそれぞれの教室に旗を立ててそこを拠点として、そこを守りつつ他クラスの旗を一番多く奪ったクラスが勝ちの競技だ。

 もちろん学年別に行う。

 これは担任の教師なら参加できる競技だから俺も出れるぞ。でも数の力で確実に負けるだろうな。

 っと以上だ」


 金髪の説明が終わる。

 俺は考えた。


 最初の5つはまずでれないから論外。

 となると残るのはバルジャンリレーと魔戦争か。


「バルジャンリレーは俺だけたくさん走るのってできる?」


「アンカーなら一周多く走れる。

 でも本来はアンカー以外闘技場のトラックを一周走る競技なんだ。

 それを8人でするのがバルジャンリレー。

 しかしお前らは4人だから一人につき2周で、レイヤは3周になるだろう。

 これで一周多く走れても変わらんだろ」


 バルジャンリレーもかなりキツいか……。

 アンカーで走ったとしても金髪の言う通り、一周多く走れるくらいじゃ追いつけるか分からない。

 闘技場の広さも問題だし、俺まで回ってくるまでに他はゴールしてしまうんじゃないだろうか。


 魔戦争はどうだろう。


 これも全クラスがクラス0の旗を最初に狙うだろうから数百人を相手にしないといけない。

 それを5人で捌くのはぶっちゃけ無理っていうか3人は戦力外なので不可能。


「え? 勝てる競技ないじゃん」


 勝てる競技がほんとにひとつもないのは驚いた。


「最初に言っただろ」


「こんなのでる意味ねぇじゃねぇか……」


「おっ、お、お……」


「落ち着け。

 俺達は何も優勝しないといけない訳じゃない。

 せめて出れる競技であるバルジャンリレーと魔戦争でDクラスを上回ることを目標にしよう」


 学園長に他のどのクラスでもいいから優れた所を見せればいいんだ。

 最初の5競技は出れないから仕方ない。

 でも残り2つでなんとかD、E辺りのクラスを超える結果を出せば……。


「それでもかなりキツイんじゃないかな」


 そうっすよね。


「……」


 勝てない、という結論がでた俺達は早くもお通夜モードになってしまった。



 結局その日はそのまま下校時間になってしまって、俺はギルドの一室に戻ってきていた。

 シャーラも帰ってきている。


【で、どォだったんだよ学校は】


「俺は中々楽しかったぜ。シャーラはどうだった?」


「私も楽しかったですっ!」


 語尾を荒らげてそう言ったシャーラに俺は少し驚いた。

 その目はキラキラしている。


「おお、良かったじゃん」


「ほら、こんなこともできるようになったんですよ」


 シャーラは俺の方に手を持ってきて、その手のひらを返す。

 するとその手のひらの上からボウと火が吹き出した。


「うおっ!」


 俺が驚くと、シャーラはどうだと言わんばかりの顔で胸を張る。


「もっと凄いこともできるんですよ!

 それで他にも……」


 シャーラは嬉しそうに学校での出来事を俺に話した。

 俺は相槌を打ちながらそれを聞く。

 はしゃぎながら楽しそうに語るシャーラはなんだか微笑ましかった。

 来た甲斐があるってもんだ。


 つか初日から魔法使えるようになったのかよ。

 もしかしてシャーラはすごい才能を持ってたりするんだろうか。


「そういえばレイヤ、さっそく問題を起こしたらしいですね。

 なんでも風紀委員の先輩の顔にパイをぶつけたらしいじゃないですか」


【初日からそれかよォ!!】


「いや、あれはマジで仕方なかったんだって」


 なんか俺が悪いというイメージがシャーラにあるみたいなので誤解を解くために今度は俺がクラス0の待遇の酷さについて語った。



「それは酷すぎますね……」


「だろ?」


【そんくらいがレイヤには丁度いいんじゃねェ?】


 こいつ、学園ラブコメという希望が潰えた俺の気持ちを全くわかってねぇ。

 それを俺が事細かに説明しようとしたけど、話す前にバカらしくなってやめた。


「まあいい、そんなことより腹減ったから飯食いに行こうぜ」



ーーー



「あっ!」


 ギルドの向かい側に建っている、ギルメン御用達の食堂で食事をしていた時、俺はそんな声を思わず上げてしまった。


 パクるだけパクっといて全然使ってないアレを俺は思い出したのだ。

 そう、ラインからパクった宝具。その中にパワーアップする腕輪があったはず。

 それをあいつらの誰かに使わせたら魔法祭戦えるんじゃね?

 そんな名案が俺に浮かんだために、俺は声を上げてしまったのである。


「どうしたんですか?」


「なぁ、ラインから奪ったあのパワーアップする宝具の名前なんだっけ?」


【ああ、砕燐環(マハト・ヴィゴーレ)か。

 確かアレは魔力がないと使えなかったはずだぜ】


「あ、そうすか……」


「それがどうかしたんですか?」


「いや、なんでもないっす……」


 世の中そんなにうまくいかない、それを思い知らされました。


 よく考えてみたら、そもそも魔法祭で宝具みたいな反則アイテムは使えないかもな。

 身体強化の魔法を使ってるかどうかは見たら分かるっぽいし(俺は分からないけど)、それで宝具使用がバレて反則負けにでもなったら話にならない。


 ハァ……、どうしたことかね……。

 あいつらがせめて身体強化を使えるようになってくれたらいいんだが。


「待てよ? シャーラが身体強化の魔法を使えるとして、それを俺にかけることはできんの?」


「できませんよ」


「え? なんで?」


「身体強化だけは自分で使わないと体とリンクしないんです」


「あぁ、なるほどね……」


【そんなにお前魔法使いたいのか?】


「そりゃあな……」


 確かに攻撃魔法的なものなら創造で生み出せると思う。

 でもどうなってんのかよく分からないものを創造しちゃうと体力をごっそり持ってかれるっぽいのだ。


 例えばベ○マとかもそう、あれってなんで回復するか分からないけど、それ以上の理解を必要としないじゃん。

 故に創造できるけど、不明点が多いから体力が持ってかれる。

 そんなのを連発したあげく、気絶した思い出もある。


 魔法を使いたすぎて、魔力を創造できないかと試したこともあったけどこんにゃくしかでなかったし……、簡単なものを創造したというのに異常に体力を持っていかれたこともあるし……。

 この能力はまだまだ使いこなせてない。


【ふと思い出したんだけどよォ……。

 魔力無くても魔法使える方法あるわ】


「マジで!?」


「え? そんなの聞いたことないですよ」


【でもオレの前の持ち主は魔力無かったけどこの方法で魔法使ってたぜ? もしかすりゃ今はない技術かもしんねェな】


「教えろ」



ーーー



 次の日の朝、俺は早めに学校に来ていた。


「ないと思うけどいじめられたりしたら俺に言えよ?」


 こいつは可愛いから女にいじめられたりするかもしれない。

 昨日話を聞いた感じではちゃんとやっていけてるみたいだけど、やっぱり心配だ。


「ふふ、大丈夫ですよ」


 何がおかしいのか笑ってそう返すシャーラ。


「そうか。じゃあ俺こっちだから」


「はい、では」


 クラスの場所が違うのでシャーラとはここでお別れだ。

 シャーラと別れると、俺はクラス0の教室へと走った。


 地下への階段をジャンプで下り、廊下を走って教室に着くと、その扉を勢い良く開いた。


「おはよう諸君!!」


「うおっ! ビックリした……。レイカイドーかよ……」


「おはようレイヤ。元気いいね」


「お、お、おは、よう」


 落ちこぼれのクラスメイトはすでに集まっており、3人共ベッドに寝転がっていた。


「だらしないなお前ら! 早く席につけ!」


「なんでそんなテンション高いんだよお前……。

 こっちは昨日の件で萎えてるってのに」


 そう言いながらもベッドから下りて席につく3人。


「レイヤ、その背負ってる包みは何?」


 ランドが俺の背にある皮布で包まれた物を見て尋ねてくる。

 それに俺はニヤリと笑みを見せることで返した。

 その後、俺は背のそれを円卓の上に置いて一旦玉座に座る。


「勿体ぶらずに教えろ」


「そうだよ」


「仕方ないなぁ……」


 こいつらがどうしても気になるようなので、俺はニヤニヤしながら立ち上がる。

 そして円卓に置かれた皮布の包からそれを解き放った。


「これは……剣?」


「……お前、武器所持の許可ちゃんと取ったのか?」


「勿論とってない」


「……どうせそうだと思ったよ、バレても知らねぇぞ。

 で、この剣がどうしたんだ?」


 俺は一呼吸置いて、その質問に答える。


「紹介しよう!

 俺達の新しい先生になるティルフィング先生だ!

 ティルフィング先生、挨拶オナシャス」


 そう言った後、俺はすぐに耳をふさいだ。


【イヤァァァァァァハァァァァ!!!

 よォォろしくゥゥゥ!!!!】


 耳をふさいでても普通に聞こえるティルフィングのどデカい声。

 それに驚いて、べバリーは丸椅子ごと後ろにひっくり返ってしまった。



ーーー


「マジでビビったわ。漏らしかけたし……」


「うわ、かるっ!」


「ま、ま、魔剣、かぁ」


【噂通りの落ちこぼれクラスだなァ!!】


 ランドは教室でティルフィングを振り回している。

 やはり魔力が無ければティルフィングは軽いらしい。


「さて、ティルフィングの事を分かってもらえた所でそろそろ本題に入ろう。

 ランド、席につけ」


 ティルフィングを返してもらい、ランドを席に戻すと、俺はさっそく本題に入ることにした。


「本題ってのは?」


「聞いて驚くなよ……。

 なんと俺達……、魔法を使えます!」


【その通りィ!】


 俺は立ち上がり、バッと手を広げてそう言った。


「ほ、ほ」


「どういうこと?」


 しかしこいつらの反応は驚きってより、意味がわかってない感じだった。

 だろうな、魔力がないのに魔法が使えるはずがない。そのせいで落ちこぼれなんだからそうなるのも当然だ。


 そこで俺は魅せてやることにした。


「まあ見てろ」


 神経を研ぎ澄ませて、空間と一体化したかのようにだらりと力を抜く。

 息をスゥと大きく吸い込んで、肺に溜め込んだ空気をゆっくり吐き出す。


 それを数回続けると、俺は目を閉じてさらに集中した。

 すると、体の中にほんのり温かい何かが流れ込んでくる。

 それと同時に手に持つティルフィングが少し重たくなった。

 それを感じた俺はカッと目を見開いて。

 そしてドヤ顔。


「な?」


 沈黙。

 誰もがお前何言ってんの?的な視線を俺に向けていた。


「……は?」


 とうとうべバリーがそんな声を発する。


【今ので分かるわけねェだろ!!】


「やっぱり?」


 そう、魔法の使い方を知らない俺はここで終了なんだよね。


【もういい、オレが教えてやるよ】


「頼んますわ」


 俺はティルフィングを円卓の真ん中に持っていく。

 丁度その時、教室の扉がガラッと開いた。

 中に入ってきたのは金髪ことグロワール先生だった。


「ちぃーす」


 クラス0の面々は金髪に適当な挨拶をする。


「お前らこんな朝早くから何してんだ……って、なんだその剣」


 金髪はポケットに手を突っ込みながらこちらまで歩いてきた。

 そしてティルフィングに気付いてそんな反応をした。

 俺はニヤリと口角吊り上げて三人と目を合わせる。三人も、そんな俺の意図が分かったのか、ニヤニヤしだした。


「こんなの持ってくるのはどうせレイヤだろう。

 武器所持の許可もとってないはずだし、なんでこんなもん持ってきたんだお前。

 ……それにしてもこれ、珍しい造形してんな」


 興味を持ったのか、腰を曲げてティルフィングに顔を近づける金髪。

 するとティルフィングが期待した通りの事をしてくれた。


【ドォォォォン!!!!】


「うおっ!? なんだ!?」


 驚いて飛び退く金髪を見て俺達は爆笑する。


【ギャハハハハハハ!!】



 しばらく笑った後、俺は金髪にティルフィングの事を話した。ついでにこれからティルフィングが話してくれる魔力云々のことも話す。


「とりあえずティルフィング、説明してやってくれ」


 ティルフィングに説明してもらわないと始まらないので、俺はそうするよう促した。

 ティルフィングはあいよと返事して話しだす。


【まずお前ら、“場”に魔力があることは知ってるかァ?】


「場?」


 俺がこの説明を聞くのは二度目だ。

 金髪も“場”に魔力があるという事は知らなかったっぽいので、ティルフィングが語るこの方法は、やはり古代の技術なんだろう。


【そうだァ、全ての空間には魔力が溶け込んでる。

 その魔力密度は場所によるが、丁度ここは魔法学校で、魔力を持つ奴も多いから濃いな】


「つまり、その魔力を使えるってことか?」


【ああ、だが元々魔力がない奴にしか“場”の魔力は使えねェ。

 元々魔力を持ってると、波長が合わねェらしいからなァ。

 で、それを使う方法なんだが……】


 これが問題なんだよ。

 まず、俺がさっきやったみたいに場の魔力を取り込まないといけないんだが、これがまた時間がかかる。

 それに大量の魔力を集めることができる訳じゃないので、強力な魔法も使えない。


 訓練すればすぐに場の魔力を掻き集めることができるらしいが、そうなるには相当の時間が必要だろう。

 場の魔力を体に取り込んで外に出さないようにするのも、俺が昨日徹夜で練習してやっとできるようになったのだ。


 魔法の使い方も覚えないといけないので、魔法祭まで間に合うかどうか……。


 という所までティルフィングが説明すると、やっと俺が求めていたリアクションが返ってきた。


「すごいな、そんな方法があるのか」


「マジかよ!」


「まずはどうしたらいいの?」


「あ、あ……!」


「よし、立てお前ら! さっそく練習するぞ!」


 俺がそう煽り立てると落ちこぼれ共は勢い良く立ち上がる。その姿から相当なやる気が見えた。

 それもそうだろう。なんせ魔法が使えるかもしれないのだから。


「つまり、俺はお前らに魔法を教える立ち回りになるのか」


「そうだな。頼むわ金髪」


「いいだろう。

 あと、グロワール先生と呼べ」


【9日でどれだけやれるかだなァ!】


 

 こうして、俺達の打倒他クラスに向けた厳しい修行が始まったのだった。

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