出会い
寂れた神社で初詣、賽銭箱に石を投げ入れ、乞い願う。
『たくさんの異世界に行ってみたいです』
黙祷を終え、目を開けると神社に霧がかかっており、賽銭箱に座る不躾な巫女服の少女が居た。
「よかろう。異世界での労苦を与える」
可愛いな。この女の子。まつ毛が長くて、髪もふさふさしてて、触り心地が良さそう。全体的に毛量が多い。
「金を持ってこい。態度次第では許してやる」
声も可愛い。言ってる事はよく分からないが、命令形がある意味で似合う、愛くるしい声をしている。
「覚悟して、かかれよ」
一目惚れだ。連絡先を知りたいと思えたのは、人生で初かもしれない。突然の恋心に戸惑ってしまう。
「あの、……連絡さ」
ぐぼっ……。
視界が明滅する。
「ああ誤ってお前を殺してしまった。これで、お詫びだ。チート能力をつけて異世界に転生させてやろう」
痛いし、思考も混濁しているけど、嬉しさがとまらない。
「やったぁああ!」
「本当に、人間か……?」
消えゆく意識はただただ、来世への期待で喜びに満ち溢れていた。
ああ、本当に転生できたんだ。
「おぎゃあおぎゃあぁああ!」
ぼやけた視界の中で、巨大な人影が、俺に手を伸ばしている。ママだろう。
俺は、この世界で第二の人生を歩むのだ。
環境が劣悪すぎる。
奴隷農場は、流石に予想外。
父親と母親は、魔法使いの末裔だとか何とか。
牧場主は俺に魔法の才能を期待しているとか何とか。
で、まあ、ありました。
「ぶひぃ、大儲けだぶひ」
俺は魔族の奴隷として買われて、人生終わり。
異世界転生万歳。
高慢チキな女に買われた。
自画自賛して、俺に自己紹介をしている。
要約すると、運と実力で成り上がった魔族らしい。
「完璧な奴隷を、育てあげてみせる!」
自分の実力を証明する手段として、奴隷の育成に着手する、とか云々。
よくわからん不味い液体を飲まされる。
ミルクの代わりで、もっと高性能だとか何とか。
こいつの研究成果らしい。




