第3章
・・・しかし、日本に戻った私に、
『フォアマンの名』が聞こえてくることはなかった。
一年半が過ぎ、
あるいはこのまま「自然消滅」に近い形で、引退してしまうかもしれない・・・
そう思い始めていた矢先、
フォアマンが世界タイトルに挑戦する、というニュースが飛び込んできた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・私は、
ふたたび、ヒューストンのフォアマンの元を訪ねることにした。
(以下、『ジョージ・フォアマン・ユースセンター』の練習場にて)
試合を一か月後に控えたフォアマンのトレーニングは・・・
彼が地域の青少年のためにつくった、
『ユースセンター』という施設でおこなわれていた。
・・・フォアマンは、
すでに45歳を過ぎている。
職業は『伝道師』。
その45歳の伝道師が、ボクサーとして挑戦するのは、
『マイケル・モーラー』という、
無敗の若いチャンピオンだ。
・・・その挑戦は、
途方もないものだった。
これまでの長いヘビー級の歴史の中で、一度失った王座を奪い返すことができたのは・・・
3人しかいない。
(※)ぼくからの注釈:1994年当時、失ったヘビー級の王座を奪還できたのは、フロイド・パターソン、モハメッド・アリ、ティム・ウィザスプーンの3人だけでした。
フォアマンが勝てば、
その「四人目のボクサー」になるばかりでなく・・・
世界ヘビー級チャンピオンの最高齢記録である『37歳』を、
8歳も上回ることになる。
(※)この時点でのヘビー級の最高齢の世界タイトル獲得者は、アメリカの『ジャージー・ジョー・ウォルコット氏』でした。
・・・私がふたたびヒューストンに来たのも、
その『途方もない挑戦』の、
「はじめから終わりまで」を見届けたい、と思ったからだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
追伸:
ヘビー級には、
長らく、『チャンピオンは戻ってこない』という、きわめて悪名高いジンクスがありました。
それを初めて破ったのが・・・
宿敵の「北欧の雷神」こと、スウェーデンのインゲマル・ヨハンソンとのリマッチにて、
強烈な「失神KO」でタイトルを奪い返した、
アメリカのフロイド・パターソンでした。
2025年12月現在・・・
ヨハンソンもパターソンもアリもフレージャーも、
ケン・ノートンもフォアマンも、
ジャック・デンプシーもジョー・ルイスも、
ロッキー・マルシアノも、
もう生きてはいません・・・。
残るレジェンドは・・・
ラリー・ホームズと、
マイク・タイソンのみとなりました。




