リアルなキャラクター、物語でしか存在しえないキャラクター
なん、神様とお茶に行くときはいつも駄菓子屋なん。
一番最初、神様に連れられた時からそうなんな。
ヘカが生まれたばかりで、神様が今よりマダマシな無能な神だった時なん。
初めて買ってもらったのがうまい棒だったん
「私は毎日、こういうところで買い食いしておるわ。金が余ってしょうがないからの」
神様はそう言って笑ってたんな?
ヘカが、渋谷で働き始めてモンエナを箱買いした時。
神様はチューペットを1000本買うんだって胸張ってたんな。
「セシャトのやつを騙して毎日千円のお小遣いをもらってるのだ」
「近所のガキどももこうして駄菓子を奢ってやって言う事を聞かせておるからの」
「ガキ大将たちもガキどもをまとめている私に頭が上がらないからの!」
そういう事を目を輝かせて語っていたのも駄菓子屋だったんな?
あれから3年程たって今、こうしてたまに神様とお茶をするときもやっぱり駄菓子屋なん。
ここ何年か、こういう子供しかいない駄菓子屋に行くのは神様と一緒の時だけんなんな?
別に駄菓子が悪いというわけじゃないん。ここのお菓子は質の悪い油と砂糖の塊みたいなもんなん。
メロンの味のしないメロン味を食べていると、ゲシュタルト崩壊を起こしそうなん。
なん、別に雑誌に載っているケーキ屋じゃなくていいん。
もう少しお金を出せば、こんな何味か分からない物でなくて、本物の洋菓子、和菓子を出す店を
いくらでも知っているはずには東京にいるんな? ヘカも、神様も。
でも、今の神様を見ると、
神様がポケットから取り出す十円玉の束を見ると、
ヘカはどうしても「もっと美味しいパンケーキの店がいいん!」とは言えないんな?
神様はアマゾンで勝手にセシャトさん払いでお酒を買ったん知ってるんよ。
そして一週間お小遣い抜きに、食事は1日に二回になったんも知ってるんよ。
新しく入ったマフデトさんに、セシャトさんと似て非ざるマフデトさんから、
使えない粗大ゴミ扱いされて、それでもWeb小説や書籍について語っているのもわかってるん。
だけど、もういいんよ。
三年前と同じ駄菓子屋で、三年前と同じ駄菓子の話をヘカに語らないでほしいん。
そんなのは学童保育とかで話す話題がない子供達だけに許された話題なんよ。
古書店『ふしぎのくに』その母屋にあるキッチンでレシェフさんは塩バケットを取り出すと、ガーリック風味のクリームチーズを取り出す。
生ハムにピクルスを取り出し、簡易的なサンドウィッチ。
そして果物、スコーン、チョコレートケーキ。
それを三段のケーキスタンドに配置していく。
「てめーら、貴族病もすぎるのですよ……あとケーキスタンドとティーカップセットはセシャト姉様の物なので、割ったり傷入れたらぶち殺すのですよ!」
セシャトさんのティーカップコレクションは凄まじい。
気に入った物は百均から六桁程する茶器まで所有しており、値段ではないガチのコレクターである。
マフデトさんが店主をしている日の古書店『ふしぎのくに』にやってきた師匠ちゃんとレシェフさんは『見習いシスター、フランチェスカは今日も自らのために祈る 著・通りすがりの冒険者』を語りにきたわけで、手土産にを持ってヌーンティーをと用意をしてきたのだ。
「飲み物が、牛乳。紅茶、ワインって……協調性の欠けらもないね」
苦笑するレシェフさん。
3人に共通する部分は我が道をいく事。
故に何故か気が合うのである。ケーキを一口食べて、白ワインを口の中に転がすと師匠ちゃんが話す。
「車って傷入れられたら、自損事故扱いにされたりするから、保険適用しても五万くらい取られるんだよな。このチンピラまがいの奴は子供の両親に修理代くらいは請求する権利はあるんだけどな」
それなりに車が好きな師匠ちゃんが、ヒーロー云々の部分で提言をする。
それにレシェフさんはバケットを割って、マフデトさんは牛乳をゴクリと飲んで。
「野暮だね師匠ちゃん」
「野暮なのですよ師匠ちゃん」
「いや、野暮じゃねーだろーよ。こういうさ、勧善懲悪って水戸黄門とかでもそうだけど、主役側の権利主張狂いすぎじゃろ」
まぁ、野暮なのである。
実際は、通報した場合、車の持ち主が十中八九勝つのだが、物語においては悪者に人権はない。
「物語の世界は優しい世界なのですよ。てめーら、美少女シスターが暇を見つけて電話してきたら嬉しいです?」
暇を持て余したフランチェスカの連絡だろう。
それに唯我独尊な二人はどう答えるのか? マフデトは嬉しいと思うと感じているが、二人はド級のひねくれ者である。
「さぁ、どうだろう? 嬉しいんじゃないかい? 宿主的にはね」
「嬉しいじゃろ。美少女シスターじゃし」
マフデトは笑い転げたくなる。
実に感性が似ているのだ。安藤氏だって嬉しいから電話に出ているわけで、察しろよということだ。
「フランチェスカの奴は礼儀を持っているのですよ、誰にでもフランクじゃねぇという事は敵を作りにくいのですよ。師匠ちゃんはすぐに敵を作るので少しはフランチェスカを見習うといいのですよ」
この話はミーティングで実際に話題になった。
電車の中で、お年を召した女性に席を譲る時「おい、ババァ、座れよ!」と言った時のことを蒸し返されている。
「俺が敬語使うところ、想像できる?」
できねーと言うのが多分、古書店『ふしぎのくに』のメンツの正直な気持ちである。
フランチェスカのヒマ電に面白い話がある。
「しかし師匠ちゃんはなんで英語が喋れないんだい?」
「は? 旅行以外で海外にいく気もないし、日本語使えれば十分じゃろ。いちいちくだらない事聞くな。死ね!」
日本において英語は中学、高校と学ぶので真面目に勉強をしている人はある程度は喋られるだろう。が、日本人がトリリンガルなどになりにくい理由は耳にある。
他言語は、仕組みが殆ど同じなので言葉の意味を知ってさえいればある程度覚えることができる。
それ故に、海外の人は日本語の仕組みさえ覚えておけばわりかし日本語を習得する事は容易いのだ。単語においての完全理解は随分時間がかかるらしいが……方や日本人は第二外国語を習得したとして、第三外国語を習得する際、さらに新しい仕組みとして認識し覚えようとするので、習得に関してのストレスが凄まじい。
システム部はプログラムを操る集団なので、割と外国語に精通しているが、師匠ちゃんだけ、実は外国語に滅法弱い。
「学校で習う英語は意味ないってフランチェスは言ってるが?」
「意味あるに決まってるのですよ。あれだけちゃんと勉強してれば日常会話くらいできるのですよ」
「意味あるよ師匠ちゃん、文法知らなかったらそもそも喋れないし、リスニングできないじゃないか」
教師のレベルが低すぎるという点で教え方には問題があるかもしれないが、日本の学校教育の英語は十分、使用可能なレベルの事を教えていたりする。東京の学生はコロナが蔓延する前は英語を扱い、外国人旅行者への東京オリンピックボランティアが決まっていた位には今の日本の英語教育は進んでいる。
「バンコクって師匠ちゃん、トト兄様と行ってなかったです?」
アヌさんの開く、男会という古書店『ふしぎのくに』の男性メンバーだけで遊ぶ会がコロナ前はよく開催されており、飲み会からキャンプ。北欧や東南アジアなどへの旅行もよく行われていた。
「あー、行った。ビアバーの屋台で焼き豚串食った覚えしかないけど、結構美味かったよ。アンジローはいい兄貴を持ってるな。大体物語に出てくる兄とか姉の達観している感じって、主眼に合わせているキャラクターを年相応に演出する為にこうなるよな。大体、兄弟姉妹って同じ精神年齢のクソしかいないけどな」
「「…………」」
師匠ちゃんは口が悪い、悪すぎる。
兄弟姉妹に何か嫌な思い出でもあるのか、そう言い放つので辛口のマフデトさんにレシェフさんですら閉口する。
「ふふ、舞は師匠ちゃん。君と同じことを言っているじゃないか! 日本人は日本語だけでいいってさ。まぁでも、君はどちらかと言えば成功者だから、英語を学ばなくても成功できると舞に教えてはあげられるよね? さて、本作のラブコメらしい部分が顔を出してきたよ。最近では、こういうアンジロー君に想いを寄せるヒロインと、メインヒロインがいるのに、どちらともくっつかないエンドと言うのもよくあるよね」
「……読者のご想像にお任せしますエンドとかもあるのですよ!」
「フランチェスカが、兄と慕うイケメンが出てきてアンジローがヤキモキする展開とかな」
3人は何気に、アンジローを気に入っている。
彼はある種主役らしい立ち位置で演じているのだ。
共感ができたり、鈍いなぁとか思わせたりと、彼はフランチェスカと違いリアルにはまず存在しえない少年である。
故に、彼を微笑ましく思ったり、羨ましく思ったり、ねーよ! と思わせたり、いずれの読者の反応も提供側、即ち作者からすればしてやったりである。
「フランチェスカは日本の生活が長すぎて、日本に染まりつつはあるね。くしゃみで噂は儒教だったかい?」
かどうかは不明だが、呪い、悪口などを言われている。
と語られていた。くしゃみをしだすと、風邪をひく、かつては風邪は死に直結する病だった為、くしゃみは誰かに呪われているという物から日本にはいい感じに曲解され一に褒められから始まり、憎まれ、惚れられ、風邪を引くと四段階で言われてきた。故にくしゃみと噂は日本や中国などごく一部の仏教系の国でしか語られない。
大体キリスト圏は託宣的な扱いで語られることが多い。
「レシェフさん、テメェーはくだらねぇ雑学だけはよく知っているのですよ」
「一応、宿主ライターだからね。江戸時代のくしゃみをした時の「くせえめ」を三回言う呪文も嚔。という呪詛返しだったと言われているからね」
語る語るレシェフさん、某有名雑誌で都市伝説系や民俗学系のコラムを彼女は一時期請け負っていたので、引き出しが異様に広い。
「フランシスコ・ザビエルが日本にきたのはスパイだとか言うのは事実なのですか?」
レシェフさんは生ハムをハモンセラーノから薄く切り取るとそれを食べ、師匠ちゃんの小皿にも切り分けてから語った。
「大体事実だよね。要するに、当時の宗教は政治活動でもあったわけだから、宗教文化を浸透させるのは、武力支配よりも容易く制圧がしやすかったわけだよ。日本人は独特の価値観を持っていたのと、当時、日本は最強クラスの武力を持っていたので、戦争にならなかったのもザビエル達のおかげとも言えるかもしれないね」
要するに、日本に来ていた宣教師たちは生の状況を母国に返せるわけで、当時の日本の蛮族ぶりは世界規模で言うと振り切っていたので、宣教師たちがこいつら怒らせたら何しでかすか分からないので温厚にと言った報告をしていた。
事実、戦国時代以降、日本の侍がヨーロッパに傭兵で言った際、失礼な事を言った雇い主の首を飛ばしたなんてことも日常だったとか……
「まぁ、あの当時。日本だけが重装騎兵だけの部隊で戦争してたからの。そう言う意味でいえば、ザビエル達。宣教師は平和の使者でもあったわけか」
「そりゃそうだよ。どんな宗教でも争いは基本ご法度なんだよ。できれば仲良くしましょうってのが、基本にあるんだから、エルサレムの取り合いをしている連中ははっきり言って自分の神に反した事をしている異教徒達なわけだよ。これって面白いだろ? 矛盾の体現者達なんだ」
スパイというと悪い面が多く聞こえるかもしれないが、海外からやってきた仏教なり、キリスト教なりの人々は独自の理論で平和を作ろうとしていたのは間違いない。
「無償の愛。人助けは宗教の根幹にある考えだね。はっきり言って胸糞悪いよ」
レシェフさんはそう言い切った。彼女はその真逆に位置する存在であり、それを認めたら自己のアイデンティティを失いかねない。
「フランチェスカが、いろんなところで、困ったことを解決しているのは、まさに今現代のザビエルなのですか?」
「そこまでは言わないけど、彼女は自分の信じる神に自ら祈り、そしてそれを行動で示しているのは間違い無いんじゃないかい?」
3人の考察が白熱すればするほど、店内の客が呼び鈴をいくら叩いても誰も出て来なくなる。
古書店『ふしぎのくに』のよくある光景であった。
『見習いシスター、フランチェスカは今日も自らのために祈る 著・通りすがりの冒険者』皆さん読まれているのですか? 今月もあとわずかなのですが、色々と学べることが多く。そして作品もとてもおもしれぇ、Web小説らしい作品と言えるのですよ! 出てくるキャラクター達に嫌味がないのもいいのですね! 物語が飽きる前に短編連作として進んでいくのも適切な構成と言えるのですよ! 私も小説を書くので、とても参考になるのですよ!
さて、皆さん、9月は本作『見習いシスター、フランチェスカは今日も自らのために祈る 著・通りすがりの冒険者』を楽しむのですよ!




