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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第五章『林檎転生  ~禁断の果実は今日もコロコロと無双する~』『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜』著ガトー
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大人が共感する時、それは歳をとった時

 始まればもうやめられない、それは作者視点? それとも読者視点? いいや、それは批評者視点だよ。

 作者はやる気が出なければ筆を置けばいい、読者はつまらないと思えばゴミの日にそれを出せばいい。


 でも批評者は、評価者はそうはいかないさ。


 何故かって? 作者と読者は作品を間にお見合いをしているよなものさ、だから時にはくっついて、時には離れていく恋愛が自由なようにね。


 批判者や評価者は違う。時には嫌われ、時には愛される。されど実態のないペンパルのようでなければならない。

 何もしなければアタシは消えてしまう。だからアタシは止まれない、アタシが偶然紹介した携帯小説が映画化した。感謝をされる筋合いはないしする必要もない。

 アタシが面白いと思ったんだ。世間が放っておくわけがない。そうそう、本題を忘れていたよ。今月末で店をしばらく閉めようと思うんだ。

 理由は入院。対した理由じゃない、すぐに帰ってくるよ。じゃあまた。くだらない携帯小説を書く君達に、古書店ふしぎの国、店主ダンタリアンより、ケイオス! 2007年11月7日 原文ママ

「まぁしかしだの! セシャトよ。達也とブルーが探そうとしている出てこられたら困る金。これがたまに世の中に出てきてしまうパターンがあるの知っておるか?」

 

 神様はチャンピョンカレーの三杯目を注文しながらセシャトさんに『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜 著・ガトー』の話をふった。

 林檎転生からの突然の変更に対してセシャトさんは名物のウィンナーカレーに舌鼓を打ちながら水を一口。


「どうでしょう? こんな感じで達也さん達のような方に見つけられるとかですか?」

「まぁ……惜しいかの、本作にもあるように、出てはならない金とな? 犯罪に使われたのか、何らかの偽装に使われたのか……偶然それを見つけてしまう奴が出てくるんだの? 当然、そのまま横領したら犯罪になるので警察に届けると、不思議な事に大金なのにちゃんとした持ち主からの申し出がないのだ。そして半年後、発見者の物に晴れてなるのだがの……本当に、それを手に入れられるかは知らぬがな」

 

 カチャンと神様は三杯目を食べ終わると四杯目の注文。

 このままいくと全メニュー制覇しそうだなぁと思いながらセシャトはスマホを取り出して神様に尋ねた。

 

「魔法使いの方々に警察のような組織があるというのは何とも興味深いですねぇ!」

「それに関しては逆も言えるからの! セシャトよ。魔界という世界体系に地球の仕組みが似ておるだけかも知れんだろ? まぁ、これはあれだのダンタリアンあたりなら、分かりやすく読者に認識させる為の表記だとか、面倒くさい事をいうのだろうの、この作品の達也とブルーの関係ってあれだの、寄生獣の」

「分かります! ミギーさんと新一さんにちょっと似てますよね! ミギーさんよりブルーさんの方が優しいですが! ふふふのふ」

 

 本作の一つの捉え方として、バディ物であると誰しもが思うだろう。

 広義の意味で言えば、同作者の林檎転生の大輔とグリダもバディと言えばバディだが、そこにはやはり男女の関係のような物を垣間見るが、このブルーと達也の関係は本当に相棒感を感じる。

 

「それ故に時代に合わせると、ブルー……どうしても悲しいお別れを考えてしまうの」

「ガトーさんの作風でもですか?」

「馬鹿か貴様、セシャト!」

「倒置法で馬鹿にされました!」


 セシャトさんはここ数年の作品群についての知識や経験が多い。ここ数年の作品は優しい。基本主要メンバーは死なない、ストレスを感じない。今の読者への配慮や、流行だろう。


「むむっ! 神様、それはおかしくないですか? 昨今、アニメ化などしている作品はそれなりに残酷な描写もありませんか?」

「馬鹿か貴様、セシャト!」

「ま、また私を倒置法で馬鹿にされました……」


 少し涙目になるたにに神様は語った。


「それら全部古いからの? それも結構古いぞ。十年前くらいから、それ以上前の作品だからの。大体今やってるの。最近の作品で映像化したものはギャグ多めの無双系とか多いだろ?」


 要するに何が言いたいか、プラネットアースに関してはその古い時代の作風の作品といえる。要するに、時代に合わせたエンディングもあり得るということだ。


「セシャト知っとるか? 昔の児童書とかでも、拾得物横領とか平気で行っていたりするが、そこは物語として許しておくれやすと言ったところだろうの。まぁ、達也は額がえげつないがの」

「地獄堂霊界通信とかでは三人分の座布団購入するのに一万円使ったくらいですもんね?」

「まぁの、僕レンタル中とかだと児童労働した挙句に三万円程の支払いだからの。しかし、本作。あれだの……あいつ誰だったかの? 人間のくせにダンタリアンと仕事をしておるやつ」

「師匠ちゃんさんですか?」

「そやつだそやつ!」

 

 当方に入る前から本作を読んでいた師匠ちゃんが、一つ、修正をした方がいいかもしれない点を上げていた。しかし、多分。多くいるWeb小説読者の中で本当に師匠ちゃんくらいしか気にしない内容なのである。

 本作は2017年の半ば頃に公開されている作品である。

 主人公の達也は15年前に戻っており、年末と年明けを迎えている。要するに、リアルな時間軸を経由していたりすると2001から2002の頭なのだ。ここを軸に考えると、これより過去だとほぼ確実に、そしてリアルタイムでも為替としてユーロと円交換できないんじゃないか……という指摘をミーティング時に一言言っていた。


 この時期に起きていた大きな事件として同時多発テロがあり、また2002年にユーロが正式導入された通貨流通量の関係やその他もろもろを語っていたが、聞きたい方は直接師匠ちゃんに聞いてください。一応ダンタリアンさん曰く、ベルギーあたりからのルートでフランから交換できたんじゃないかとの事だが、気にしなくていい。


「逆に私からすれば、師匠ちゃんに言ってやるがの、どこにも時間軸が書かれおらんので、気にするな! とな!」

「師匠ちゃんさん、細かい方ですからねぇ!」

「作品を研磨するのにはあーいう奴も時には必要だの、そしてあやつ、この作品から同じくリアルを感じておったな! 算数ドリル!」

「確かに!」

 

 そう、本作のシステム部はわざわざ算数ドリルを購入して、大人が問題を解いたらどうなるか、という疑似的に達也くんと同じ環境を作った。結果としてなのだが、達也くんと同じ感覚に陥った。

 意外と楽しかったのだ。連立方程式を使っていたら、それは小学生では使わないと、ならこれどうやって解くんだ? とか、分数の計算方法忘れた! とかである。


「大人は比較的勉強が楽しい物だの。子供の頃はあれだけ嫌だった勉強をなぜか楽しめる。そして子供に勉強しなさい! 自分は勉強していなかったことが後悔だった! と言うのだの。まぁその子供も同じループに陥るのだがな」

「むむっ! 私も勉強は好きですよぅ!」

「小さい子は何でも興味を示すからの、勉強だけが全てではないが、勉強をするかしないかと言えば、勉強をした方が子供の為になるのだがの。親の心、子知らずというやつだの」


 本作において、割とリアルだという意見が出た内容を一つ紹介しよう。

 達也くんは、一月二日に動物の餌やりに行く。

 三が日にである。小学校という謎組織は当番という謎の制度を使ってありえない時期に子供達に学校に向かわせるのだ。ブルーが言う通り、生き物に対しては割と酷な話である。子供はサボる。

 忘れる。

 今はどうか分からないが昔はそういう教育方針だった事もあったなぁと大人チームが盛り上がっていてヤングチームは閉口していたりしなかったり。


「ガトーの作品の細かい描写はある程度年食っているやつが読むとわかりみが深い部分が多いよの? 倅に引き継いだ店の味が落ちるあの謎現象とかの」


 同じ材料、同じ作り方をしているのにもかかわらず不思議な事に二代目の味が落ちるアレは、絆の部分も多いのだろう。


「神様はダンタリアンさん達とお話があいそうですねぇ! それにしても本作における歴史的シンギュラリティは複雑ですねぇ……救世主という存在がそもそも特異点という考え方は面白いです!」


 本作でも語られている事は実は今の世界の歴史を見ても間違ってはいなかったりする。

 救世主かどうかは別として……


「セシャトよ。歴史を動かす連中というのは至って短命な者が多かろう? この日本を見てもそうだし、世界規模で見てもそうだの。稀に現れ、天啓を得たかのように時代を動かし、進め、そして綺羅星のように舞台から去っていく」


 ある種、時代を進める連中は広い視野で言えば救世主と言えなくもない。

 何故なら、時代ごとに人が救いを求める願いは違うからである。


「シンギュラリティポイントのぉ……預言者ヨハネの駄文が恐ろしい程に令和の世を予言していたりと、偶然かもしれんが、人間は面白い。そして作品という物は必ず源流がある」


 そう、最初のお話に戻るのである。

 達也とカズヤ。この名前を聞いて高確率で思い浮かぶのはタッチの双子だろう。双子でありながら似て非ざる者として描かれた見事なキャラクター。

 星を守る者、人を守る者。

 通じる部分もあるが、やはり似て非ざる者である。こう記載するとそのように感じてくるかもしれない。ネームバリューと先入観という物は凄い。

 おそらく、本作の達也とカズヤはモチーフ、或いは影響、或いはあえてそうしたのかもしれない。


「ふむふむ、今回の神様は非常に古い作品のお話ばかりされますねぇ……それはアレでしょうか? 作品からうっすらと見える作者さんの触れてきた環境などを擬似的に感じ取れるという」

「まぁ、アレだの。半分正解で半分不正解だの。所詮、これらは私たちのカレーを前にした駄弁でしかないし、しいて言えば感想だの。逆に、次々にイメージとして他の作品を思い出させられるというのは、これは人間の財産だろうの」


 神様はそう言うと口元をふきふき、そして水を飲む。

 セシャトさnも小さいバッグを持ってお会計をと思った時、神様は手をあげて言った。


「店員よ! おかわりだ! 大盛りで頼むの!」


 神様はセシャトの奢りであるという事をいいことに、遠慮なくカレーを食べまくる。それはそれはジンベイザメが大きな口を開けてプランクトンを取り込むように、そんな神様に笑顔で見つめるセシャト。


「神様、おいしいですか?」

「うむっ! チャンピョンカレーというだけはあるの! 実に、んまいっ!」


 カレーライスだけで五桁食べてしまう神様にセシャトは一言こう言った。


「神様のお小遣いから、こちらのお支払いは引かせていただきますね?」


 さて、いよいよ次回、復活の紹介小説が完結しますよぅ!

 ひと月で二作品同時紹介をさせていただくのは今回が初めてとなります。紹介している側としても一作ずつの方が良かったかもしれない。

 感想をいただく方々からも一作ずつ紹介して欲しかったという意見もいただいております!

 夏休みもあっという間に終わってしまいますね! 皆さん、ラジオ体操は気の済むまで行いましたか?

 宿題は? そしてもちろん! ガトーさんの林檎転生、プラネットアースはちゃんと読みましたか?

 

 私、テストに出しますよぅ! ふふふのふ! それでは次回もお楽しみに!

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