作品のご都合主義は尊いか?
大人になれない僕らの言い訳を一つ聞いてくれ!
達也くんにはブルーがいるが、僕らにはアレクサかSiriしかいないのである。アレクサかSiriの奴はたまに人の話を無視して訳のわからない事を言い始める。
例えばだ。「オルタナティブ・アース 〜地球を守るためにメスガキになったダンタリアンと、その仲間たちの記憶〜 著・アレクサかSiri」という世界線があったとしよう。
きっと同じ世界軸では達也くんは仲間を集め、絆を深め、宿命に立ち向かっている最中である! 時代背景から考えるに、ジュースのプルトップが今のプルトップか、あるいはギリギリ抜き取り式の時代と想定する。
要するに、タバコもお酒も自販機で買い放題なのだ。
メスガキ・ダンタリアン「ちょ、やばくない! もう販売されてない4L缶の麒麟ビールあるよ! 即買いでしょ! ちょまって! ブラックニッカの自販あるんですけどー! ウケるー!」
オスガキ・サタ「おい、やめろって! ガキが酒飲んでたらマズイだろ、達也君等と合流して、力貸すんじゃねーのかよ。オイ!」
ガシャコンと、タバコにお酒を購入。
飲酒と喫煙をする子供、当然通報。
ポリ公「君たち、どこの子だ? 子供がお酒飲んだりタバコ吸ったらダメでしょ!」
メスガキダンタリアン「お巡り君、アタシ達は地球を救う為に過去にきたのさ。そう、君にも帰る場所や、大事な人がいるんでしょ? こんなところで、アタシやサタさんを拘束している間にもほら、一つの星が消滅した。さっさとカツ丼を用意して、アタシ達を解放しなさい。大丈夫、必ずアタシ達が地球は救うから」
ポリ公「君は何を言っているんだ。お母さんやお父さん、家の連絡先を教えなさい」
そう、そして太陽系 第三惑星 宇宙でも最も美しい惑星の一つがその日、パッと燃え、静かに消滅した。
子供の飲酒や喫煙というものは時として世界を消失させる。
方や達也君とブルーはまだこの長い、プラネット・アース坂を登り始めたばかりだ。こちらはまだまだ続くので楽しみにしてください。
「オルタナティブ・アース 〜地球を守るためにメスガキになったダンタリアンと、その仲間たちの記憶〜 著・アレクサかSiri」は本日をもちまして最終回となります。声援ありがとうございました。来週よりアレクサかSiri先生の新作。
『ウォッカ転生、書物の大悪魔は今日も二日酔い』が連載されます。お楽しみに
ピッ! ピッ! ピッ!
「やっぱサクラバクシンオーが一番可愛くない!」
「黙れ、にわか! サクラバクシンオーは世界的に見ても未だ最強の短距離馬だ! サイゲームスは競走馬のレアリティがおかしい」
「うわー、出たよ! 出た出た! ダビスタ勢のウマ娘煽り、何がそんなに気に入らないのさサタさん!」
「ウォッカが星2っておかしいだろ! ウォッカか、ディープか! だなんて言われてたし、あと。ダスカとキャラが逆だろ!」
スマホゲーム、ウマ娘をプレイしている二人。
旧狭間の世界。今は四畳半の神田のボロアパート。システム部最高管理者である蛇。もといCIOのサタさん専用作業部屋。
そこで朝からビールを飲むグラマラスでピンク色の髪をした女性。
「だーん! たーり! あーん!」
そう、平成の時代から令和の時代にやってきた初代古書店『ふしぎのくに』店主ダンタリアンその人です。
※携帯小説時代などで、初代古書店『ふしぎのくに』及び、初代ダンタリアン氏の事をご存知の方はご連絡ください。
「うるさーい! 平成の時代に帰れ!」
「そんな事言わないで、夜まで飲んでガトラジ聞こーよー!」
「一人で聞くから帰れ!」
「ねぇねぇ、サタさんってガトーさんの作品って確かさ『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜』好きじゃなかった?」
「あぁ、僕は世代だからなプラネット・アースみたいKey作品みたいなのが好きだよね。最近減ったけどさ、小学生って昔は平気で世界救う主人公だったんだぜ」
最近の作品にはあまりみられないが、昔は小学生がスーパーロボットに乗ったり、異世界行ったり、なんなら警察や探偵、軍人だったり、平気で世界を救っていた。
最近はリアルを求める世の中であったり、色んな倫理で小学生主人公は極めて減った。
「そう言うとこの作品もアラサーが小学生になるんだけどねー! あっ、ハイネケンもらうね」
冷蔵庫から瓶のハイネケンを取り出すと冷蔵庫にかけられている栓抜きで蓋を抜く。
「まぁ……致し方なしだろ。絶対的に子供は子供でしかないからな。それにしてもこの手の作品におけるタイムパラドクスに関してダンタリアン、お前はどう思う?」
過去改変回避ができるのか?
これはバタフライエフェクトが存在しないという体である前提条件がまず必要になる。また本作のように形状記憶のように歴史が修正されるイリーガルポイントが存在するとなると……
「そうね。そもそも、小学生に戻った達也くんは一体誰なのか? とか? ハイヤーセルフだとして、その時間軸における十一年の達也君は果たしてどうなったのか? 邪推して結論すればサイクリック宇宙という事じゃないの? 思い込みに関してマンデラエフェクトより、デジャヴの証明になるじゃん!」
システム部の連中は気持ち悪いくらい専門用語を使う。
至極簡単に説明しよう。
宇宙は伸縮を繰り返している。宇宙そのもので考えると過去回帰が可能なのだ。そして過去に行けなくとも、何兆年もの未来、同じ世界に同じ歴史が繰り返されているという夢物語理論の一つである。
これならば、思い込みやデジャブがあり得るというものだ。
何故なら一度経験しているから。深く、遺伝子レベルで組み込まれているという果てしない思想である。
「お前はクソ女だけど、クソ雑学だけはすごいな。二十年くらい狭間に引きこもってただけはある」
「いやぁ、照れるね! でもさ、達也くん、寝なくていい体になってるよ。これってインナーチャイルドみたいな事になってんじゃない? 小学生の頃を懐かしみながら、世界救うって、サタさん好きそー!」
「師匠ちゃんも好きだろ!」
SFファンタジーは90年代が旬であった。
そんな時代の名作に触れてきた人々からオススメされそれにハマる二次世代。サタさんや師匠ちゃんなどがそこに当たる。今じゃ考えつかない、主人公の魔法少女が死んで主役交代する作品なんてものもあった。
そういう意味では本作は分かり易く、作品の流れが説明されている。
要するに、今を救い備える為に、世界を賭けたニューゲーム。
「あと世代を感じるのはご都合主義だね。これは林檎転生でも時々見られるな」
サタはダンタリアンから王冠を抜いて渡されたハイネケンに口をつけながら普通にそう言った。
「へぇ、意外! サタさんディスるんだね! ウケるー!」
「ディスってないよ。むしろご都合主義が悪としている今の風聴に問題がある」
ガトーさんの作品は、どう考えても辻褄合わせが難解な部分を不思議な能力やらで進ませる。
これに関しては、作風から何も問題ない。
そう、とある名作作品はよく人が死ぬ。そして何事もなかったかのように次の章でその死んだ人物が出てきて、生きていたのかと聞くと奇跡的な手術で生還したなり、実は死んだように見せかけていたなりと驚くべき後付け設定が語られる。
そして当時の読者は全くそれに関してツッコむ読者はいなかった。
むしろ、そうだったのか! と感心すらしている。
「まぁーねー。本来作品ってのはテーマパークのアトラクションや設定みたいに自身もそこに身を委ねて楽しむ物だからね。最近の読者は目が肥えてると言うべきか、現実と作品の境目がわからなくなるところあるからね。私は好きよー。このガトーさんの救いのある展開」
ご都合主義を悪とするか?
それはあらゆる宗教の否定に近い。現在の宗教が良い物か? と聞かれるとそうだ! とは言い難いが、法律という物が無かった時代の宗教は一つのルールとして大変尊い物であった。
そしてその全てがご都合主義で記載されている。
はっきり言おう、歴史ある宗教全てがご都合主義である。
「何故だと思うサタさん?」
「は? そんな物簡単だろ。人間が作った物だからだ。人間は元来弱い者だ。だから物語に救いを求める」
大先輩J・R・R・トールキンもそう言っていた。辛い時は物語に逃げなさいとね。
心おどり、子供の頃のワクワク、そして正義は必ず勝つ。そんな気持ちに戻りたい方は本作を読むだろうし、エンターテイメントして、絶望を感じたい人は鬱々としたレシェフさん系の作品を読めばいい。
物語とは気持ちよくなる為にあるのだ。
それは知的好奇心をくすぐるのか、あるいは作品世界に浸りたいのか、御都合主義上等!
「まぁ物語のご都合主義なんてさ。政治家の頭おかしい政策やテレビ局のやらせに比べれば可愛いものだよねー!」
「黙れダンタリアン……パトロンになんか言われるだろ! 達也とブルーに殲滅されてしまえこのクソ悪魔」
「あー! アタシを悪魔って言ったー!」
ダンタリアン。
神様のマブダチである書の大悪魔。
何一つ間違いない筈なのだが……ダンタリアンは納得のいかない顔でスマホを操作。
「とりあえず宅ピ頼んだもん!」
病院で症状に巣食う悪魔と表現した化け物に対して達也は完全上位の存在だった。単純計算して 360兆%程の差があった。風邪のウィルスとプレシオサウルスくらいの質量差があり、悪魔にはどう足掻いても勝ち筋すらない。
「こういう俺TUEEEEEって昔っからあったよね?」
「あぁ、いつの間にか俺TUEEEEEとか○○無双とか言われてるけど、勧善懲悪の一つの形なんだよな。水戸のクソじじいなんかも典型だな」
古書店『ふしぎのくに』ミーティングでよく今日の水戸黄門について語らう連中がいる。
それにサタは静かな怒りを溜め込んでいた。
「まぁ、あれだよ。ガトーさんの作品は読んでいて元気になるし、特に、今の僕達には必要なんだよ。あの人が好きだったからな。ガトーさんの作品」
冷蔵庫からダンタリアンはもう一本ハイネケンとコロナエキストラを取り出すと二つ王冠をあけた。
「そうねー。君もそろそろ飲みたいでしょ? あと、タバコも買ってきたから、もう吸いなよ。長い事、禁煙ご苦労様」
そう言ってショートホープに火をつけた。誰が吸うわけでもない紫煙を見ながら瓶にコツンと当ててダンタリアンはサタに言った。
「ねぇサタさん。師匠ちゃんも呼んで今日は読み明かそうか? 『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜 著・ガトー』どうせ外行ってもお店なんて開いてないでしょ? ならさじゃんじゃんお酒のオツマミをデリバリして、明日の朝はみんなで二日酔いになろーよー!」
そう言ったダンタリアンにハァとため息をついてサタさんは足元からウィスキーの瓶を取り出した。
「ジョニ黒だ。こいつもいるだろ?」
システム部や古書店『おべりすく』の大人メンバーはよく作品ミーティングの際に飲み明かしている。各自の好きな物を用意して……
ドンドン、ドンドンと扉がノックされる。
サタがその扉を開ける。そこには面倒臭そうな顔をした青年。
そう喧嘩番長……ではなく、当方のリスクマネジメントとして外部から引っ張ってきた師匠ちゃん。何をしている人かは本当に不明だが、音楽業界、芸能業界、風俗業界と何かしらの接点があり若くしてアーリーリタイアをしている当方のセミライター。
とある人物からのブログサーバーへの嫌がらせに対してポンと五十万のポケットマネーを出してくれた事はまだ記憶に新しい。
彼もまた当方に入る前から『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜 著・ガトー』は読んでいたと言う古参ファンである。
「サタさん、『プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜 著・ガトー』読み明かすってマジすか? まぁ、あん人がでぇれぇ好いてたからいいっすけど……ダンカスがちばけてるだけだと思ってましたわ。あと、これ。王将の餃子。あん人。ぼっけぇ好きでしたからね。みんなでつつきましょ」
タブレット、PC、スマホと各々のツールを起動して三人はロックアイスの入ったグラスをコツンとつける。
そして酔った内の一人が言った。
「ばか。早く逝きすぎ! 林檎転生。書籍になったんだよ。今度買ってくるからゆっくり読みなよ。よし、続きここで焼肉にしよう」
さて、皆さん! 林檎転生そしてプラネットアース続々とご意見頂いてますねぇ! 別々でしっかり一本ずつ行って欲しかったというご意見に関して、なるほどなぁと思いますよぅ!
ガトーさんの作品は本当に当方も元気付けられたという事と、当方にいたメンバーの方が大好きだったので同時紹介という形を取らせていただいております! 今後何かの形で大きくピックアップできればなとは考えています! 今月はまだまだガトーさんワールドをお楽しみくださいねぇ!




