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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第三章 『サヴァイヴ・アライブ ―殺戮人形の矜持― 著・玉屋ボールショップ』
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カフェにて天才と神様が語る時

三月は去る。もう一年の四分の一が終わったと思うと、脅威なのですよ……本当にマジなのですか?

夏が来たらBBQは果たしてできるのでしょうか? 私が入ってからすぐにコロナで全然みんなと遊べてねーのですよ!

 神様は一人で神保町をうろうろしていた。毎日1000円のお小遣いを握りしめ、今日は何を食べようかと思っていたところ、チェーン店のカフェ。

 カウンターでコーヒーを飲んでいる目つきの悪いショーボブの男と目があった。ジャージファッションに小さめのリュック。小さいMacBookを開いて何かの作業をしているその男の元へ……


「貴様、確か師匠ちゃんではないか?」

「あぁ? なんだお前。マフデト関係のヤベェやつか?」

「私は神様だ!」


 ゴン!


 神様は、一瞬、何が起きたのか分からなかった。ゴンと自分の頭に音が響いた。そして続いてズキズキと痛みが走る。そう、殴られたのである。


「き、貴様! 私を殴ったな? 痛いではないかっ!」

「うるせぇ! いきなり出てきて好き勝手ごちゃごちゃ言いやがって、死ね!」

「初対面の相手に死ねはないであろう! どんな育てられ方したらそうなるのだ!」


 よいしょっと神様は師匠ちゃんの隣に座ると、カフェオレにカスクードを注文した。


「貴様、何をしておるのだ?」

「あ? んでもいいだろ死ねよ!」

「死ねとすぐに使うな! 全く最近の若者は……貴様Web小説は読むのであろ? であれば私の話に付き合え! どうせひまであろ?」

「暇じゃねーし、付き合わねー、死ね」


 そう言って師匠ちゃんは黒砂糖を齧りながら、なんらかの取引画面を凝視する。それを覗き込む神様にイライラしてカバンからさらに黒砂糖、そしてブドウ糖の塊を取り出してそれをガリガリ噛み砕く。


「んだよ。テメェは? うざさの神か?」

「私は全書全読の神様なのだ! 貴様、あれであろ? ドンパチする作品とか好きであろ? そうだの……『サヴァイヴ・アライブ ―殺戮人形の矜持― 著・玉屋ボールショップ』とか……」


 ガンとテーブルを叩きつける。そして神様を睨みつける師匠ちゃん。そしてカタカタと取引をする画面、そしてターミナルを開いてプログラミングを同時進行しながら師匠ちゃんは独り言を呟く。


「敵も味方も甘い奴らの作品だ。敵は見つけたら撃滅。それが戦だ」

「血気盛んな奴だのぉ……捕虜をとる、簡単には殺さないってのは常套手段なのだ。戦は政治手段の一つであるからな」

「んなことはお上の話だろーが? 兵隊は殺す事が仕事だ。だからこそ、バーンズという男のもくろみがおもしれーんじゃねーか」


 いきなり作品をディスるところから始まるのかと思ったが、師匠ちゃんは師匠ちゃんなりに作品を楽しんでいるという事を神様は知った。


「ボスが直々にM500とかいう銃を向けてやってきたの?」

「ハンドキャノンだろ。頭悪い奴らが作ったハンドガンに50口径乗せた銃だ。本来は突撃銃に使うような破壊力を持たせたなんに使うのか全く分からない銃の一つだ」


 デザートイーグルと並ぶ、厨二病全開の日本人が大好きな銃。M500。これはハワイで撃った事があるが、同じ50口径でもデザートイーグルは反動が大きい銃というイメージに対して、M500はとても筋肉が痛くなる銃だった。一応片手でも撃ってみたが、翌日軽い筋肉痛になったと師匠ちゃんは語る。


「貴様、銃のこと詳しいの。で、バーンズがこれを向けているのは理由があるのか?」

「さぁな、単純にカッコつけてるのか、あるいはドールズが超人兵だから念の為とかじゃねーの、このバーンズという男は戦闘力以外もなんつーか、人外じみてやがるから、そそるっちゃーそそるな」


 師匠ちゃんが興味を持つ。やはりカリスマ、革命家という者は変人に好かれやすいのだろうかと神様は思いながらカスクードに牙みたいな八重歯を入れる。


「しかし、情けない兵隊が多いな。銃は向けたら撃て。世界共通の言語だろうがよ。どいつもこいつも殺せねーのか? 目の前にご馳走がいるのにさ」


 ブラックコーヒーにフレッシュを2杯入れて師匠ちゃんは口につける。糖質制限をしているのでシロップは使わない。そのくせ黒砂糖を全力で齧る。


「師匠ちゃん貴様。デザインチャイルドが完璧な生き物か何かと勘違いしておらんか? 例えロボトミーをしても人間は人間だぞ」


 詳しくは調べて欲しいが、かつてロボトミー手術を行われ苦悩した人間の事件があった。人間と機械の違いは、心という不確定要素である。脳や遺伝情報をいくらかいじったとしても人間は人間であろうとする。

 迷い、トラウマ、躊躇、怒り、悲しみ、喜び、歓喜、絶望。


「フン、違うだろ神様。ドールズ相手にバーンズは銃すらいらねーんだろーよ。ただ一言、二言語ればいいってやつだ」


 犯罪者、そして犯罪者を抑えることに最強の武器は何か、そう言葉である。ある逃亡犯は政治批判という演説だけで狙撃兵の引き金を引かせずに民衆を味方につけて長時間数多の銃口と戦ったという実例もある。


「貴様は現実主義者だのぉ、もっとこう! あるであろ? バーンズは圧倒的強者であるから、ハーヴに躊躇させたとかのぉ」

「ハーヴ本人が言ってるだろーが、精神攻撃も半端じゃねーってな。要するに、この無敵とも思えるドールズ。超人兵にはなんらかの弱点があるんだろーよ。だから俺は、今から再突入をするさいのレイの装備は評価する」


 現実主義者、師匠ちゃんが評価した理由は当然、ロシアスペツナズはもちろん、合同訓練では日本の自衛隊も使用する世界一使いやすい殺人兵器AK突撃銃を選んでいる事。


「カラシニコフだったかのぉ? そんなにいい銃なのか?」

「実際AKは銃の性能はクソだ。大した事ねーよ。ただしドンガラで単純な作り、直しやすいし使いやすい。そして確率的に信用がおける武器を使う。銃なんてもんは当たって殺せればそれでいいんだよ。そういう意味ではカラシニコフ、マシンピストルMAC10あたりは二重丸だろ」


 神様は銃の話をしながら少しばかり嬉しそうにコーヒーを啜る師匠ちゃんに心からドン引きをしながらカスクードを食べ終え、店員にスコーンを注文した。


「貴様もスコーン食うかの?」

「いらねーよ。炭水化物控えてんだよ。ボケがっ。フィオラ、このメスガキ。拗らせ具合が悪かねーよな? コンプレックスの塊、いわゆるヤンデレ系の女か? いくとこまでいくと、敵になって銃口向けてくんだぜ? やばくね? 惚れるわぁ!」


 本心から言っているわけではないのだが、師匠ちゃんはやはりこの特殊な女の子を心から評価した。手に入らないならなんとやらである。


「だが、こいつらシャルのいう通りでもあるが……そもそも殺し合うつもりがないという信じられんジョークが混じっておるのだよな」


 これに関しては前述した人間臭すぎる部分なのだろう。本来であればカイルのスモークを焚いて優位に立とうとする事も正しい、フィオラの自らが得意としたステージでかつカイルを行動不能にする足への狙撃も正しい。


「こいつらの中では殺し合い以上にお互いのエゴを押し付け認めさせることが大事なんだろ? いるだろガキ同士の主張。第三者的に聞けば、どちらの言い分もわかるが、正直。どーでもいい。面白くね? 年相応のどうでもいい事をお互い大事な作戦中に行ってんだよ。これハリウッド洋画の常套手段な? だからおもしれーんだよこれ。こんなの書く奴がいるのが驚きだわ」

「その、眼差しだけで人をついて来させるようなカリスマになり得るかの?」


 神様がふと、そんなことを言う。バーンズに対するクレアの感想、もとい独り言。それに現実主義者である師匠ちゃんは補足するように話し出した。


「以前の話にもあるだろ? バーンズはガキどもに仕事をさせ、おやつを与えるだろ? こいつ、聖人あるいはサイコパスの極みなんだよ。カリスマってのは1日にしてならずだ。普段の行動、そして周囲のヨイショ。要するに固まった先入観という武器を持ったバーンズは敵味方もう何をしても、ただ普通に飯を食っているだけでも脅威であり神格化されるんだよ。これをアイドルって言うんだ。同じ神でもテメェは全然カリスマ性はねーな」


 神様をディスる師匠ちゃん。それに神様は師匠ちゃんの分も用意したスコーンをもぐもぐと食べてそして怒鳴る。


「貴様、私はこれでも全書全読の神様だぞっ! 書に関してはカリスマそのものなのだからなっ!」

「テメェ、所詮はガキだな。バーンズは子供使いに長けている節があっただろ? バーンズからすれば超兵も戦争孤児もおんなじなんだよ」


 戦闘能力も精神も信念もあらゆる事に関してバーンズという男は、ドールズのそれらを凌駕している事。子と大人の差というものか、それを師匠ちゃんは目の前で喚く神様を見ながらふと考えた。


「さてと、マフのアホの店に今日は行く予定だった」

「マフデトの古書店『ふしぎのくに』へ行くつもりなのか? 何をしにいくのだ?」

「は? マフのアホがホットプレートを買ったから焼肉をするとかしねーとか言ってるから仕方なくいくんだよ。丁度、偶然。知り合いの肉屋で仕入れた塊があるからな」


 焼肉という言葉を聞いて神様は目を輝かせた。普段中々食べられない焼肉。これにはあやからなければならないというのが神様の決意。


「私もついていってやろう。なんせあそこは私の店でもあるのだからな」

「は? 何言ってんのお前? 頭湧いてんの? 死ぬの?」


 そう言って師匠ちゃんはゴミでも見るような目でドン引きしながらそう言って立ち上がり、会計をしようとするので、神様は師匠ちゃんの足にしがみつく。そして大人気なく、見た目はガキんちょの神様はこういった。


「貴様、私も焼肉がくいたのだ! 共にいくぞ! この通りだ! のぉ!」


 今にも泣きそうな顔でそこまで焼肉が食べたいと言う神様にさらにドン引きしながら師匠ちゃんは言う。


「もう勝手にしろよ。死ねよ」

「おぉ! そうか、あのな? 師匠ちゃん」

「なんだよ気持ち悪ぃな」

「金がな? ないのでかしてくれ」

「もう、お前死ねよほんと」

サヴァイヴ・アライブ ―殺戮人形の矜持― 著・玉屋ボールショップ』皆さんはどこまで読みましたか? それとも何周目ですか? ある種、最近のヘタレたハリウッド作品よりもより楽しいと私は思うのですよ! 出てくるみんな弱くて強い。なんというか日本人の好きなメリケン野郎ばっかりなのです!

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