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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第十四章 『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~ 著・普門院 ひかる』
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学園と大会は物語のスパイス

「まーふー! だれこんこ? ちゅらかーぎー!」

「そいつは神を名乗る邪神なのですよ。秋文から離れやがれなのですよ! あー! 私のパピコ勝手にくいやがって!」

「まぁ、座れ! お? 貴様らが持っておるのは駄菓子ではないか! まぁ、それでも喰いながら話をしようではないか」


 秋文と一緒に『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~』を読んでいるのでため息をつきながらマフデトもスマートフォンを取り出して座った。


「ルードヴィヒ、この男。あれだの、貴族らしいというべきか、田舎くさいというべきか、どっちもなのかの?」


 貴族と田舎者は見栄を張る。これは、礼儀みたいな部分もある。いい言葉を使うとすればノブリスオブリージュ、それ相応の立場の物には責任が産まれるというやつで、奴隷落ちしていたとは思えない程にあざといマルグレットの持ち物も貴族たる従者であるルードヴィヒの品位に関わる部分であると値に糸目をつけずに用意させようと言う。

 普段ジャージかフリースで生活をしている師匠ちゃんや着流しを着て生活してるアヌさんがドレスコードを必要とするとき、貸衣装屋で服を借りてくるような物だろう。

 見栄をというのは国力であったり、個人の力に比例する場合がある。


 だから無理して自爆するキャバ嬢とかホストがいるわけだ。


 しかし、この作品世界に住む人たち、田舎者に対して何か恨みでもあるのかというくらい辛辣な奴が多い。田舎だろうがなんだろうが、服屋の店員なんてド底辺の位の人間であるのに、金を持っている恐らく貴族であろう田舎の顧客に対して恐れ多い事を口にする。

 本作をヨーロッパと同等と仮定すると、田舎の豪族やら貴族の権威は中々バケモノじみていて、資材も兵力も中央主権のそれを凌駕する時がある。


「なんというか、街中はアレなのですよ。中世というよりは近代なのですよ。店員のダレ具合とか、銀座の某デパートの店員みてーなのですよ。服のチョイスはいい線行ってるのですよ!」

「ほぉ、どういう事だの?」

「てめぇ、まだいたのですか……まぁいいんのですよ。正直、服は店員に見繕ってもらう提案なのです。どうしてもその時々の流行りを考慮しても、男作者と女作者でファッションセンス、理解度、趣味趣向が大きく変わるのですよ。よほど知ってる奴でもねーとここは地雷を踏みやすいのでこの流れにもっていくのはベストなのです」


 当方にも第三世代に絶望的なファッションセンスの女性が一人存在する。彼女に服装の事を聞くと、とりあえず食事時はイブニングドレスでも着せておけと言う。ちなみに元お水系であり、なぜふしぎに在籍しているのは新参者の筆者は知らない。


 実際この手のシーンを書きたい時は、普通に服屋に行って情報を仕入れるにこしたことはない、雑誌は少し遅れで、ネットの情報はいまいちあてにならない。

 

 心の声でルードヴィヒの心情から田舎の人特有の見栄を時々感じるのはとてもいい。

「しかし、冒頭で倒して居るグランドドラゴン。さして厳しい相手ではないとルードヴィヒが語っておるから、こやつがもし不埒者だと経済崩壊起こすの、大体小型のジェット機くらいの価格の価値をほぼ元手ゼロで仕入れてきよるからな。うまい棒に換算するといくらかの?」


 グランドドラゴン一頭、の出資額より長年の出資をしていたグンター夫妻の出資額の方が大きいとの事だが、これも一つのノブリスオブリージュなんだろう。単純計算しても出資額以上の回収は恐らく一代では不可能。純利益の0.数パーセントの回収をしても恐らく二代目、あるいは三代目で回収できる見込みと計算している。ちなみにうまい棒換算すると4億5千万本強である。


「強い雄に雌が集まるという。言葉通りラノベのテンプレ橋を渡っているのですが、わりといろんな種族があつまってきたのですよ。ルードヴィヒもここまで来たなら全員のヒロインと関係を持って子孫を増やしてほしいものなのですよ」

「作中の宗教の教えだと一夫一妻制みたいだけどね」


 異様に達観しているルードヴィヒはよく考えるとまだ十代の男の子なわけであり、時折美少年であるという描写が出てこないと不通に成人、それも中年くらいを想像して読んでしまう。が、子供である以上恋愛のいろはをどこまで熟知しているのか不明であり、単純に紳士として女性を扱っているだけなのかもしれない。

 独断ではあるが、ヒロイン達の幸せのルートにはルードヴィヒの子を宿す事だろうとも同時に思う。月並みな言葉で言えば愛の結晶、子供は何にも代えられない命のバトンでありトロフィーであるから。


 さて、ヒロイン達がルードヴィヒにおねだりをするという描写、これも日本より海外の方が極めて顕著である。よく海外の富豪が連れている美人の奥さんだったり、愛人、ガールフレンド達はそれいる? というような服やバッグ、車なんかを買ってもらっているシーンをテレビなどで見た事があるかもしれないが、あれは物の価値ではなく、自分の価値の証明といえる。特に本作で言えばクーニグンデがルードヴィヒに貢がせるという発言をしているが、ハーレムの序列1位を語る彼女として自分の価値の証明、なんなら王女のようにほぼ対等関係のように振舞っている。

 ハーレムの代名詞であり、ライオンは種付けの順番があるらしいが、彼女からすれば自分を差し置いてマルグレットに服を一式そろえた事は由々しき事だったんだろう。


「まぁ、めんどくさい女という事だの」

「でも、こういう女性可愛いですけどね」

 

 酸いも甘いも知っているような神様が面倒くさがっていると、秋文はクーニングデみたいなアタシを見て! という女の子は可愛いと思うと発言。このあたりは時代に左右されやすいヒロイン像といえる。


「秋文は年上の女に弱ぇーですからね、セシャト姉様にいつもお熱なのですよ」

「ちょっとマフデトくん!」


 はずかしがる秋文、十四歳。が、セシャトは確かに十代から二十代前半までに見えるし、態度も大人のそれだが、彼女は今年四歳。マフデトと同い年である。


「あーきーはしーさーの事もすいちょるねー!」


 年上好きという事でショタ好きのシーサーは秋文に詰め寄る事に苦笑しながら……ふとシーサーをみつめて秋文は話す。


「シーサーさんもぐいぐいくるヒロインキャラですよね」


 みーつ、曰くミーティングで女性陣対男性陣でディベート大会になったのだが、ぐいぐい来る女性は男性陣からすると事実存在する。合コンなどでも、一番人気ではない女の子である事が多い。(男性意見である)故に、この手のキャラクターがヒロインとして抜擢されかつ、中々メインヒロインになれないのではないか? 

 アイドルオタクも声オタも自分の推しは清純であると思いがちなアレである。昨今はメインヒロインですらその枠から外れている事が多いので一概には言えないのだが、結果このようなハーレム物になった際、ヒロイン達は我先にと寵愛を受けたがる行動を取り、これは女性の本能というよりは男性読者がこうありたいという願望なんだろう。

 物語はルードヴィヒが学園に入学するという、これまたありそうな展開に突入する。ドイツの男子校ができたのは近代だったか? この学校に通う必要のない水準の主人公が学校に通うという展開、これは実は実際にあった事がベースになっている人はあまり知らない。大学編入の11歳の男の子が大学院卒業まで在籍していたのだが、人生にてやりたいことに、同じ年の友人がいる学校に通いたいというものでアメリカだったかイギリスかのお話。

 まぁ、当然知識量もチートでまわりの生徒達や教師陣はコイツ何者だと思ったとかなんとか。


「とりあえず学園と大会は物語のスパイスには大事なのですよ。しっかし作品の世界観がとにかくぶっ飛んでやがるのです。たまに違う作品を読んでいるのかという錯覚に陥るのですよ」


 突然始まる学園物、しかも座学のテストという事でルードヴィヒが律儀に裏までつかって論理的思考を示すという部分なのだが、なんというかこのありえない力を持った彼による無双劇を今まで読んでいた身としては突然ありえそうなマウント回答攻撃。ここは素直に彼の努力を認めるべきなんだろう。あぁ、こいつも普通の人なんだなと謎の親近感をかんじさせられる。

 前書きの使い方が面白いと思っていたが、認証切替にこのあたりで使われるようになる。Web小説のシステムのいい使い方だと思われるし、これは是非他の作家もパクるべきだと感じる。説明的文章にこれほどマッチした使い方も中々ないんじゃないだろうか?


「なんだか、先は見えているのに読みたくなる何かを感じさせるよね」


 本作の魅力の一つとしてルードヴィヒの嫌みのなさは大きいかもしれない。いい奴というのはよほどひねくれていない限りは好意的に移る。特に感情移入しやすいルードヴィヒを追従する上でほんとコイツいい奴だなと思える彼が次はどんなワクワクする事をしてくれるんだろうかと展開の予想をしながらかつ、彼であれば安心して読めるというところだろうか? えてして世の中はいい奴程不幸を見る傾向にあるので、こういうさっぱりとしてかつ、品性のあるキャラクター性は今向きなのかもしれない。

 

「まーふーもあと少ししたら、美ショタから美少年になるよー」

「うるせーのですよ。入学してからの学園無双がこれからはじまるってところなのですよ……秋文、今日はカレーなのですよ。食って帰るのです?」


 ゴールデンカレー激辛とこくまろ中辛を混ぜる古書店『ふしぎのくに』の特性カレー、秋文は頷いて夕食をご馳走になろうとするところ、古書店『ふしぎのくに』に誰かが返ってきた。「ただいま帰りましたよぅ!」とマフデトが猫みたいな目で反応し、秋文も身体ごと母屋の入り口に向ける。

 そう、そこにはこの店のもう一人の店主、セシャトの姿。

 今晩、本作を読み収めるのに役者がどうやらそろったらしい。

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