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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第十四章 『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~ 著・普門院 ひかる』
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ご都合主義は読者の精神安定剤になる話

「誰もおらんの」


 古書店『ふしぎのくに』に戻ってきたのは神様。両手に駄菓子を一杯持って、かわりん棒を咥えながら店内の様子を確認してると、


「こんにちは!」


 真面目そうな男の子。神様もよく知る少年。秋文。セシャトかマフデトかに用事があってきたのだろう。そんな秋文に大人の対応。


「おぉ、よう来たの! まぁ、すっぱいブドウに要注意でも食わんか?」


 安定の駄菓子によるもてなし。


「あ、ありがとう神様くん」

「神様で構わんぞ。して、今回貴様らはどんな話をしてるのだ?」

「『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~』だよ。今は、オークションの話まで読んできたところ」


 ほぉと神様は頷くと、何もないところに手を向ける。本棚から本を抜くように一冊の本、双剣のルードの疑似小説を取り出す。


「ハラリエル用の服どんどん使われていくの」

「うん。それにしてもどうして作品内で奴隷オークションって高確率であるんだろうね?」

「怖いもの見たさと、一般的な生活をしている者からすれば、これでも十分邪悪な世界だからの。人身売買なんて実際現実世界でも本作のオークションとほぼ変わらない環境で行われてたりすからの」


 奇跡的に奴隷制度のない日本という国にあった事と、キリシタンによる奴隷制度をふせいだ織田信長、豊臣秀吉に感謝したいかぎりである。

 作品はやはり邪悪な事、不穏な物、不快な物はスパイスに大事だが、それがどぎつすぎると強烈なストレスを与えかねない。これらの奴隷オークションや奴隷商の場面という物はよくできていて高確率で美少女が綺麗な身体のままだったりする。それは病に侵されているとか、なんらかの呪いで触れられないなど多岐に渡るわけだ。

 

「物語のご都合主義という物は精神安定に必要だからの」

「……神様くんってなんかたまに年寄り臭い事を言うよね?」

「まぁ、年齢だけで言えばそこそこ年寄りなんだがの」


 先ほども老人会のオセロ大会に参加をしていたわけで、神様の年齢は物語が生まれた時に由来するので数千歳というところである。


「なんかもうルードヴィヒ、凄いではなくヤバいの領域におるの、ドラゴンを生命と表するなら、最初の生命であろう黒竜族とやらに匹敵する人間ではないか、神話の中では人間も神の末裔という考えのものもあるから可能性はなくもないが、今時点までで正確にルードヴィヒが何者かという事が明確には提示されておらんから想像がはかどるの」


 ルードヴィヒのハーレムもといレギオン、ギルド、いずれにしてもパーティーの話に物語が飛ぶわけだが、この世界観の中では人間以外の生物に非生産的な疑似生殖活動は行わないらしい。意外と同性愛は自然界に多く存在する。海洋生物から始まり、インコ等を飼っている方で鳥類などでもく見られるだろう。何気に、哺乳類でもまれにあったりする。

 このあたりの行動理念に関して正確な判断をくだせる者は当方にはいないが、いずれにしても社会性を持つ生物に見られる行動の為、繁殖厚意というよりは広義の意味でのファミリーを意味しているのかもしれない。


「いずれにせよ。ハーレムが完全に形成されつつあるの、作中に出てくる嫉妬深い女というのは、読者視点で考えると面倒くさい奴と思いがちだが、よく考えるとありがたいものよ」

「それはどうして?」

「それだけ想ってくれる相手がおる。というのは中々にうらやましいものだぞっ! 私なんか三日留守にしても誰も心配すらせんからの!」


 多種多彩な種族の女の子がそろったわけで、そろそろ人数的に動かすのが厳しくなってくる頃合いである。冷静に考えるとルードヴィヒの戦闘能力、各種スキル、そして資金力を考えると田舎者かどうかという部分はもはやとりわけ注視する事でもなくなってきているので、これより、どうこの個性を生かしていくるのか、という部分を神様は考えながら、おにぎりせんべいの封をパンと開けた。


「ほれ、秋文。中坊が遠慮するものではないぞ! 確か、冷蔵庫にアヌの奴が買ってきた大和ラムネがあったハズだの! あれをだしてやろうかの!」


 金髪に褐色。いつも水玉のパーカーを着ているこのじじくさい喋り方をする神様はそう言うとカウンターの椅子から腰を上げる「どっこいしょ」うん、やはりじじくさい。

 ちょいちょいと手を振って秋文を呼ぶので、母屋に上がる。この神様、小学校の頃からあまり見た目が変わらないが、いつも駄菓子を食べているのを至るところで見かける。


「おぉ! パピコがあるではないか!」


 そう感嘆の声をあげて、パピコを咥えながら木製の器に様々な駄菓子を持って母屋のテーブルにトンと置く。


「では続きを話そうかの、案外ルードヴィヒは俗な男だの。まぁ、ド田舎程性に関して開けているともよく言うがの」

「そうなの?」

「今でこそスマホ普及率が凄まじいが昔はやる事と言えば食うか、寝るかしかなければセックスも暇つぶしくらいになるのだろうの、まぁこの日本でも田舎はやはり未だその色合いが強いしの」

「……そうなんだ」

「しかしラノベの主人公という奴は奥手な奴が多かったり、ドスケベでも横やりでだいたい据え膳喰わない事が多いよの。このあたりは投稿サイトやレーベルの限界によるお約束と言ったところか」


 ラノベのヒロインは主人公と恋仲、それももっと深い仲になりたがるベタぼれ、悪く言えばビッチなキャラクターが多いが案外これは男性趣向に偏っているともいえるが、的を得ている姿ともいえる。一例でしかないのだが、当方には海外の方とお付き合いしていた者もおり、その方曰く、朝昼晩、女性の方から求めてくるとの事、それは動物がマーキングをするように、行為による愛の証明を欲するとの事、そして日本の女性よりも非常に嫉妬深い部分も大きいと、恐らくは育った環境やその他もろもろもあるのだろうが、一番は自分に対する自信の差なんだろう。

 ラノベのヒロインも自分に魅力がないのか? 今回であればエルフのマルグレットもその言葉が出るという事は自分の容姿その他に十分な自信があっての発現ととらえれる。

 

「元々どこぞの姫が実は生きてて戻ってきたとなると国の方は扱いに困るというが、そもそも位でいえばルードヴィヒより身分が上の自分がいると迷惑だという考えはこの娘にはないのかの?」

「どうなんだろうね? ラノベの王族ってよく考えると凄い権力持ってるもんね。どれだけルードヴィヒが凄い力を持ってても立場上の迷惑はこうむるよね」


 今までの物語の流れを見る限り、ルードヴィヒは騎士らしい騎士なので、それが必要な流れと知り汲み取れば死ねと言われれば死ぬだろう。お約束のチートを持っているので、世界全てと喧嘩をしても下手すれば勝ってしまうかもしれないが、彼の役割はそこではない。そんな彼の元に集まってきたハーレムの中に異質な他国の姫、元姫ではなく、実質姫である彼女の人間的価値は計り知れない。妾だろうがなんだろうが、王の娘であり、謀反をしようと思えば彼女を擁立してから第一位を名乗ってしまえばいい。

 

「長い奴隷生活で心が荒んだのかアレだが、政治権力としての自分の市場価値を考慮しておらんの、下手すればルードヴィヒがオークションで落とした金額より遥かに高いかもしれんの」


 本作の金銭価値に関して作中から鑑みると、意外と庶民の生活必要資産が高い事がうかがえる。高利貸のあたりの話から計算したが、1万ターラ、百万という金貨が滅多にお目にかかれないという事から大体一般的な日当が日本の3000円から4000円と言ったところと予測される。その月が30の週一休みとして月収9万1000円程。年収、110万円の1,1万ターラ程だろう。

 面白い事に中世ヨーロッパの一般職人の年収と大体同じか少し多いくらいか?

 余談ではあるが、ルードヴィヒが三毛猫亭にて10万ターラを預けて行ったが、これも簡単に借金を割り出した。三毛猫亭における1日にかかる光熱費に相当する水や火の代金、食材購入費用。店舗維持費用が恐らく0.5万ターラが月にかかる費用として、それを焼却できる金額は月に1430食の提供、日に55食、もちろん酒の提供がメインのようなので、その半分程で済む可能性が高い。借金仮に3万ターラだったとして、ルードヴィヒに提供できる料理は少し豪華にして12700食。11年と半年分の食事提供に相当する。


「日本でもそうだがの、服の技術が進歩するとインフレが起きる。すると金の価値が下がるので、物価が上昇して給与が比例して増える……まぁ、今の日本は給料は増えずに物価だけ上昇しておるがの……まぁそれはいいとしてインフレに乗じて物が大量生産に伴い廉価に作れると、次は高級趣向。匠の市場価値が上がる時代がやってくる。この作者、社会科が好きだのう。しかし、ファッションの流行が異常に早すぎるとも思えるのは、冒険者という職業が成り立つからなのかの……逆に重装備になりそうだが、このあたりはヘカ辺りにきくといいぞ」

「ヘカさんですか?」

「うむ、新宿で一応服の販売員しておるからな」


 原宿ではなく新宿なんだと驚きを隠せない秋文。まぁ、ラノベ他、ファンタジーの作品の女の子の露出の激しい服装はファンサ―の一環もあるんだろうが、少し世界観を鑑みて考えると、限界まで動きやすい物にしており、防寒や防御力はその他スキルやら魔法で代用できると考えておくのが無難ではないだろうか?

 

「ただいまなのですよコノヤロー! 誰かいるのですよ。セシャト姉様……じゃねぇクソ野郎の匂いがするのです」


 完全にマフデトが帰ってきたんだなと百人が百人思う甲高い声が響く。そして今、古書店『ふしぎのくに』に誰がいるのかも分かった上での発言、神様はパピコを咥えながら母屋の扉から顔を出すであろうマフデトを待っていると、


 ぴょこっと顔だしたのは褐色のギャル、同じく褐色の神様と目が合うと、


「あきしゃびよー!」

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