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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第十四章 『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~ 著・普門院 ひかる』
123/126

たまに現実と混同してしまう時、作品の魅力を感じる。

 駄菓子屋に向かうマフデトとシーサー、南国ギャルとタキシードショタの組み合わせが許されるのも東京という魔の都所以、オタクの優しいギャルは現実少ないかもしれないが、ショタに優しいギャルは世界中ごまんと存在する。


「本作はドイツ風なのですが、貴族のモチーフはフランスに近そうなのですよ」

「そーねー、通貨も微妙に時代背景と違うねー」


 14~17世紀頃のドイツと仮定すると、教会とガチ喧嘩していた頃だが、比較的宗教とも共存しつつ政治が成り立っている。どちらかとえいば、仏英の貴族社会。西洋ファンタジーの世界基盤の中で独の色が濃いという感じなのだろうか?

 恐らく作中で名前だけ登場した大金貨以上の価値のある硬貨という物は恐らく100兆マルク紙幣のネタではないかと思われるが、ザクセン朝が登場し、どうやらローマ帝国時代があったと示唆される。


「可能性の示唆をしていくと、神代が終わらなかった世界線なのかもしれねーですね」

「だからモンスターがうじゃうじゃ?」


 ローマ的考え方でいくと、化け物共は基本神の末裔なのだ。神の時代は終わり、人間の王やらが覇権を握った的な物語がヨーロッパでは語られるわけだ。北欧などでは神々の黄昏とかいう厨二的な言葉で良く知られている。あれらは、要するに、エジプトだったり、そういうところを支配した話の寓話であり昔話として伝わっている。

 本作が、我々の生きる世界の別の表情なのだとすれば、歪みも記憶に存在する物も垣間見られるのかもしれない。

 そしてテラーであるマフデトさん的には、


「もし、ニーチェを行っているのであれば脱帽なのですよ」

「ニーチェ?」

 

 世界は繰り返す。永劫回帰というドイツの思想家ニーチェの一つの人間、世界、命のアンサーを本作から読み取るのはさすがに無理があるだろうか? しかし、ルードヴィヒはオーパーツを持ちすぎている。これは転移や転生でなければ、そもそも存在していた物、いや、かつての過去に存在した遺物だとすれば、遥か古代に文明のそれこそ、科学も医療も進んだ世界があったのだとすれば存在していてもおかしくない。

 これらは彼岸に達する事を目的としている仏教やキリスト教、イスラム教など、全ての宗教を否定する考え方なので当時水準でもやはりニーチェは頭やヴぇ奴だと思われた事だろう。


「フリードリヒ2世もでてくるもんねー」

「こいつ、滅茶苦茶戦争上手いんですよね? なんか最後の方は、村八分っぽい最後を迎えるんですけど、丁度油がのってた頃って事なのですかね?」


 ヨーロッパの父とか言われているカール大帝の何代目かのローマ皇帝の家督争いにも登場する今の時代にいればどこぞのCEOでもやっていたであろう破天荒な偉人だったとか、社会の勉強で学ぶと思われるので、詳しく知りたい方はぐぐるかドイツ史の本でも図書館で調べてみてください。


「大賢者マリア・テレーゼと女帝マリアテレジアは別の人という事でおけそうなのですね」


 おもいっきり、フリードリヒ2世と戦争する相手だが、ルードヴィヒの祖母という事でもうすでに崩御していることだろう。歴史的知識が役に立つのか立たないのかが実に本作において面白くともナンセンスなところである。


「ついにはアーサー王を名乗る奴まででてきたのですよ」

「アーサー王はブリテンの王様よー」


 伝説的人物と称されているが、多分相当する人はいたんだと思われる。選定の剣も恐らくささっていたかどうかは不明だがあったんだろう。実は海外はこういう寓話が少なすぎてなんでもかんでもアーサー王伝説と結び付けてしまう傾向にあり、代名詞ともいえるエクスカリバーも実は関連性ないんじゃね? と思われていたりする。ちなみに、このエクスカリバー伝説に影響されたのか、日本にも高千穂峰に抜けないと言われている鉾が刺さっている。坂本龍馬が抜いたとかで有名になったが、これは当時の日本がぱくっただけで、弁慶の立ち往生も多分ほとんどの人があまり知らないケルトの英雄伝説をまんまパクッてあったりする。


「ソロモンの悪魔まで登場したのですよ……この世界、多神教なのか一神教なのか、凄いパワー感を感じるのです」


 当方の紹介的になんどか説明したのかもしれないが、ソロモンの悪魔は他宗教の神様を一神教故にとりあえず悪魔という事にしておけというポケモン図鑑みたいな物である。ちなみに我らがダンタリアンさんもソロモンの悪魔において序列最下位に名前をつらねていたりする。実際の神様がなんなのかは自ら調べてみてください。


 しかし、ソロモンの図鑑に掲載されている悪魔という存在は、名付の悪魔で、真名を名乗ってるので、一般的な天使が堕天した存在とは別で扱われている。要するにめちゃくちゃ強いという事でルードヴィヒが派遣されるわけだが、


「たまにチートって無情なのですよね。ベリト瞬殺されちゃったのですよ。もはや、こいつなんでいたのかくらいの扱いなのです」

「悪霊の女の子の方が厄介なんねー」


 どうやら仏教寄りの死生観が存在するが、輪廻に関する働き方が真逆の性質を持っており、まさに一度悪霊落ちするとわりと地獄みたいなループが存在してしまうらしい。そんな中で、我らがルードヴィヒは悪霊と化した少女を生き返らせた。


「この因果律を乱しそうな事はカルマにならねーのですかね?」


 狸をいけにえにしたと記載がある事と、この世界のネクロマンサーは依り代を与える事で使者を使役できるらしい為、正確には生き返らせたのではなく、悪霊と化した少女に受肉を与えたにすぎないととらえるべきなんだろうか? 

 

「うちなーにもユターってひとがいるんよー! きっと生き返らせたんじゃないねー」


 悪霊少女カミラさんは中々に悲しい人生を送っていたらしい。悪魔に憑かれて念動力を使えるようになった彼女を使って悪魔が復讐という名の惨劇を起こす事になる。力をもって亡くなった者がそのまま力を継続したまま霊的な存在になるとサイキックゴーストなどといわれ、分かりやすく言うとポルターガイスト現象になるというが、悪魔の目的は一体なんだったのだろうか? 悪意や害意みたいな物の総称として悪魔が用いられたのか、それとも他に目的があったのかそのあたりは瞬殺されてしまったので謎である。


「そういえば、キリスト教に輪廻って考え方はねーのですか? 元々仏教の親戚みたいなものなんですよね?」


 沖縄はキリスト教が多い、シーサーもまた詳しく少し考える。実のところベースの宗教が同じなのでなくはないのだが、ルードヴィヒが行った事を例に話してみる。


「神による再創造はあるさー、まさにルードヴィヒがカミラを作り変えたのねー」

 

 ルードヴィヒの聖人っぷりは連載時から一貫して変わらないわけだが、倫理観も常識も持ち合わせている。学もあり、施し隣人を愛する事ができる人間である。神から仕事を与えられ、天使を従者としてつけられている。ここまでお膳立てされると、彼は英雄どころか救世主なんではないだろうかと考えてしまう。キリスト教の中で救世主はイエスキリスト氏、仏教であればミロクとか言われている存在。

 それらは未曾有の大災害とかから何かを救うわけではなく、ルードヴィヒがカミラに語るように陰徳をつむような、人としてあるべき姿を諭す者である。時には力技も必要かもしれないが、彼はそんな救世主として本作で息をしているのだろう。

 

「世界設定が相当壮大なのですが、これ回収する必要がないのが強ぇのですよ。物語の流れはルードヴィヒが神に指示された仕事を進めていく上での勧善懲悪なので、前書きにある設定はそうなんだくらいで頭においとけるんですよ」

「ふーん、前書きってそう使うのー?」

「いや、色々なのですよ。あとがきにどうでもいい事を書いて遊ぶ作家もいるので、このあたりはセンスなんじゃねーですか? この作者、とにかく説明には余念がねーので、できるかぎり世界観を理解してもらおうと丁寧にいれてるんだと思うのですよ」


 歩いてニ十分、ようやく駄菓子に到着するマフデトとシーサー、東京都。日本最大の街のハズなのに時代に取り残されたような駄菓子屋に到着する。


「この駄菓子屋、超昔からあるらしいのですよ。だいたいのメジャーな駄菓子は手に入るのでてめぇの好きなこざくら餅もあるのです!」


 年々数が少なくなっていくこざくら餅をシーサーは手に取ってふと、最近販売されているスナック菓子ドラゴンポテトを見つめてマフデトに話す。


「ドラゴンは異世界物で特別な存在よねー?」

「まぁ、一応最強の生物という枠組みにいるのもドラゴンなのですよ。日本人の恐らくほぼ全ての国民が知っている国民的ゲーム、ドラゴンクエストだって最初は竜王を倒す旅という意味だったのです。昨今の作品ではドラゴンもザコ扱いが多いのですが、本作の中でも一般的には接触禁忌レベルの生物という枠組みにはいるみてーですね。エルフってよくオークションとか奴隷市に出品される商品として日本の作品ではテンプレみてーになってるの、実は海外から苦情きてるのですよね」


 マフデトは全種類の美味い棒を籠に入れて、すっぱいブドウに要注意を買うか迷いながら、シーサーに異世界ネタあるあるを語る。


「時間を買う、もうルードヴィヒか血族はどう考えても貨幣経済が完成した資本主義体制の中にいた人物とみて間違いなさそうなのですよ。おっと、帰りはオートンで帰らないと昭文が来そうなのですよ」

 

 600円分程駄菓子を買い込むとマフデトがそう言うとシーサーは同じく購入した駄菓子の袋の中からセブンアップを二本取り出してその内の一本をマフデトに差し出した。


「懐かしいねー!」

「瓶のセブンアップなんて存在したのですね……ありがたくいただくのですよ!」


 タクシーを待ちながら秋文はどのあたりまで読んでいるだろうかと思いながらシーサーがじーっとマフデトを見てるので、マフデトは飲み終えた瓶を駄菓子屋に還しに行く。


「あーん、まーふー! それはわんが回収しっさー」

「黙れど変態! なのですよ」

『双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~』よくドイツの事を調べている作品だなと思うのです。さらに言えば、現実世界と混同してしまう部分も多くおもしれーのですよ! 是非今月はこの作品を楽しんでほしいのですよ!

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